ガマンできへんくらい銭湯が好き。365日皆勤の温浴施設愛好家、桶美さんに沸き続けてる銭湯愛と、温冷浴という奥深き世界。


風呂が音楽に勝った。『フルタイム風呂タイム』が主催するイベントで、その瞬間を見てもうたんよ。

やっぱり風呂の話に落ち着きましたし、音楽の話も出てきたので、桶美さんたちがやってるイベントについて教えてもらえればなと。『末広温泉』さんでもされてましたし、昨年11月26日の“いい風呂の日”には、『二の丸温泉』さんでもされてましたよね。

『熱く温冷申し上げますWITH浴場SOUND』は、温冷浴の素晴らしさを広めるためのイベント。銭湯でやる音楽イベントじゃなくて、目的はあくまでも風呂に浸からせることなんよ。予約制にして人数を限定してるのも、それが理由。だって風呂のイベントやのに、人であふれて風呂に入られへんかったら意味ないやろ。芋洗いにならんように、男湯と女湯の両方に温冷インストラクターを8人動員して、インカムで常に指示を飛ばしながら風呂に誘導してるから。

銭湯でやってるでー的なオシャレ系イベントとは、そもそも目的が違うと。

温冷浴を広めて、来た人みんなに気持ち良くなってもらうイベントやから。『末広温泉』の井上さんも、ただの音楽イベントやったら許してくれるわけないしな。僕らもイベントで儲けようなんて1ミリも思ってないし、愛する銭湯を我がの利益のために利用したくもない。まぁ、そんな感じやから好き勝手に自由なこと言える。だから、時にはキチ●イ扱いされたりもするけど(笑)

『二の丸温泉』で開催した『熱く温冷申し上げますWITH浴場SOUND』のポスターがこちら。

本気の銭湯愛があるからこそですね。

正直、『二の丸温泉』の時は、スゴかった。風呂が音楽に勝った瞬間を見てもうたからね。

えっ!?それはどういうことですか?

EVISBEATSが久しぶりに出演してたから、みんなタイムテーブルを聞いてきとったんよ。でも、あれだけEVISBEATSを楽しみにしとったのに、いざ始まる時間になったら会場にあるソファでみんな寝てもうて…。タイムテーブル聞いてきたヤツに「おい!EVISBEATS始まったで!」って起こしたら、オカンにキレるみたいな感じであしらわれた(笑)

エグいですね。まさに、風呂が音楽に勝った瞬間やったと。

そりゃあれだけ温冷浴したら、気持ち良くなって寝てまうなと。浴場内にはDJ陣がプレイする曲が流れてるけどブースの前には人がいないし、みんなが上がってきてようやくブースの前が盛り上がるかなと思ったら、寝てる(笑)。DJ陣にはほんま申し訳ないねんけど、僕らとしては目的を達成できた証。あくまでも風呂がメインっていう。

まさしく求めてる最高の結果。

でも、それだけでは終わらせへん。前に『末広温泉』でやったイベント『熱く温冷申し上げます』の時は、帰りにタオルとその日流してた音楽のCDを渡したんよ。どうなるかって言うと、家に帰ってそのCD聴いたら、また気持ち良さを思い出して銭湯に行きたくなるねん。そうやって持続的に銭湯へ通ってもらうギミックを入れてるのが、僕らのイベント。

さすが、抜かりがない。そんなイベントを主催してるのが、『フルタイム風呂タイム』なんですよね?

そうそう。『フルタイム風呂タイム』は、元々僕がインスタにアップする時に付けてたハッシュタグの言葉。自分で閃いた言葉やとずっと思ってたんやけど、実は違うかってん(笑)。風呂の曲を探してる時に、ふと思い出してジャノメの湯名人のCM曲を調べたら、最後のキャッチコピーで『フルタイム風呂タイム』って言うてて…。ナチュラルにパクってた(笑)

2023年2月23日に公開する映画『湯道』。桶美さんは試写会で見て、マジで泣いたそうです。

正直なカミングアウト、ありがとうございます(笑)

で、そんな言葉なんやけど、耕平君が「風呂のメディア作ろうや」と言うてきて。それでインスタのアカウントを作って、東京のメンバーもジョインさせて全国の温冷浴情報をメインに発信するようになってん。ただ、『フルタイム風呂タイム』は慈善事業団体で、儲けたらあかんっていうのがルール。

イベントでも儲けないと言ってましたが、その真意って。

別府の『鶴の湯』という温泉で『シティ情報ふくおか』の撮影してたら、スーパーボランティアの尾畠さんに偶然会ってん。ボランティア活動してない時はほぼ毎日温泉に入るってことで、『フルタイム風呂タイム』のタオルを渡したんよ。その時は写真も撮らせてもらって終わってんけど、『フルタイム風呂タイム』でカレンダーを作ることになって、せっかくなら尾畠さんの写真も使いたいなと。それで、『シティ情報ふくおか』の古後編集長にお願いして、尾畠さんに許可を取るために別府まで飛んでもらって…。

スーパーボランティアの尾畠さんと会うきっかけとなった、『シティ情報ふくおか』の温泉ムックがこちら。

古後編集長さん、フットワークめちゃ軽いですね。

写真掲載はOKもらったんやけど、尾畠さんから一つだけ条件があってん。「お前らも身を削れ」と。

めちゃ重い言葉。

その教えを守ってるから、『フルタイム風呂タイム』は慈善事業団体。カレンダー150枚も、送料負担で配ったし。タオルやワッペンとかのグッズも当然無料やけど、誰にでも渡すもんじゃない。僕の中で決めてる資格があって、平均して週4回以上銭湯に通ってるヤツにだけ渡してる。グッズ欲しくて一時的に週4回行ってもダメやねん。ほんまに銭湯に貢献してるヤツにしか渡せへん。「こいつはほんまに行ってるな」と思ったら銭湯に誘って、スッと差し出すんよ。

スーパーボランティア・尾畠さんとの一枚。アソコを隠すタオルは、『フルタイム風呂タイム』のもの。

粋なはからいですね。

いやいや、やってる方は大変やで。今の世の中、みんな売るのに必死やけど、『フルタイム風呂タイム』のグッズは、無料やけど買えないアイテムとして存在してる。僕らの目的は銭湯に行くヤツを増やすことやから、最初はアイテム欲しさに行き出すけど、そこでハマってくれたら思う壺なわけよ。僕らも本気やし、お前らも本気を見せてくれよと。

団体としての性質もそうですし、グッズを扱うブランドとしても他とは違いますよね。

以前、すごい現象があったんよ。東京の友だちにタオルを渡して、そいつが銭湯に持って行ってたら声かけられたみたいで。「このタオルどうしたんですか?桶美さん知ってるんですか?」って。『フルタイム風呂タイム』のタオルを持ってるってことは、最低でも週4回以上は銭湯に行ってるわけやし、風呂に関しては信用できるヤツという証にもなる。結局、そいつらは仲良くなって、一緒に銭湯に行ってる。僕らとしては、銭湯を介して出会ったその先の関係性も見ていきたいんよなー。

まさしく理想の展開。SNSとは違うリアルな場でのつながりが、より深いなと。

SNSは手軽で便利やから、僕としてはメリットもあるで。写真撮ってタグ付けしてアップしてるのも、どの銭湯に連れて行ったかを記録するため。この前はここ行ってるから、次は違うとこ連れて行こかなってすぐ分かるし。ただ、簡単にはグッズは渡せへんから、ハードルは高い。

だからこそ、もらえた時の感動がスゴイ。

急に渡すから。それに、ほんまに通ってるヤツは、堂々と僕の前に現れる。「桶美さん、見てますかー」って(笑)。週4回ってことは2日1回のペースやし、そうなったら自然と毎日行くようになるし。まぁ、『フルタイム風呂タイム』のグッズは、一緒に盛り上げてくれてありがとうっていう気持ちのカタチ。

どんな場所でも気持ち良くなろうとするヤツが本物。ほんまの銭湯好きは、その瞬間をマジで楽しもうとしてる。
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Profile

桶美

大阪市在住、温浴施設愛好家。2022年は365日皆勤で、トータルで500回以上銭湯へ通う。全国の温冷浴情報を発信する『フルタイム風呂タイム』、風呂をテーマにした音楽レーベル<桶MUSIC FACTORY>も主宰。我が身のために、今日も銭湯と温冷浴の魅力を広めている。

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