独立から3年かけてたどり着いた、深さと広さのあわい。メジャーレーベルと手を組み、再び“恋させる”べく動き出したyonigeの姿。

ぶっきらぼうなようで、その実どこまでも正直。飾らない言葉で恋や生活の機微をすくいとり、聴く人の胸の奥に小さなざわめきを残していく……そんな楽曲を届け続けてきた、大阪・寝屋川発のロックバンド・yonige。ボーカル・ギターの牛丸ありささんと、ベースのごっきんさんは、2017年にメジャーデビューを果たして日本武道館に立ったのち、2022年に独立。自分たちのやりたいことに向き合う年月を経て、2026年にソニー・ミュージックレーベルズと契約を結び、再びメジャーシーンに舞い戻りました。第1弾シングル『芽吹くとき』は、TVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』のオープニング主題歌で、劇中歌も収録。「とにかくモテたい」と笑う一方で、「100人のうち1人に刺さればいい」とも語る2人。相反するようでいて地続きな、その言葉の核心に迫ります。表現を突き詰めてきたyonigeが、もう一度“広げる”ことを選んだ理由とは。
表現を追求し、自身を見つめ直した年月を経て、もう一度メジャーで「モテたい」。

最初に、メジャー再契約の経緯から教えてください。2017年に最初のメジャーデビューを果たしたのち、2022年には所属事務所から独立。そして2026年に再びメジャーへ、という流れになりますが、何かきっかけがあったのでしょうか?
ごっきん:昨年3月に日比谷野音でのライブを終えた頃、今の事務所と出会って。そこに入ると同時に、事務所側から「ソニーさんにもお声がけして、一緒にやってみませんか?」と提案してもらいました。そこからは、ありがたいことにスムーズに話が進み、契約に至りました。
独立時代は、活動に関するあらゆる責任が降りかかってくる苦労と同時に、手作り感のようなものも味わっていたのかな、とも思います。そこから手を引く、名残惜しさみたいなものはなかったですか?
牛丸:名残惜しさはなかったですね。メジャーから離れた期間は、広く誰かに届けるというよりは、自分たちがやりたいことだけを突き詰めてきました。私的には「好き勝手、自分のためだけに」というのは、その期間でやりきった感覚があって。「ここからは、より広く届く曲を作りたい」と思っていたところ、今回のお話をいただいたのは、ベストなタイミングだったと思います。
今の率直なお気持ちを聞かせてください。
ごっきん:バンドとして、とにかく人にモテたいですね!(笑)。yonigeの活動を振り返ると、“潜る”時期もあったりで、何度か波がありました。今はまた“広げる”期間に入ってきたと思っていて。ソニーさんと組ませてもらうことになったとき、ある社員さんが「もう一度、みんなをyonigeに恋させましょう」って言葉をかけてくれて。恋させるっていい単語だな……って響いたんですよね。以前聴いてくれていた人に、もう一度yonigeの音を響かせながら、新しく出会う人たちも振り向かせたい。培ってきた経験値を丸ごと使って、やっていきたいと思っています。

恋、モテる……キャッチーでありながら、yonigeらしさも感じられる言葉ですね。メジャーという選択肢が浮上してきたのは、いつごろだったか覚えていますか?
牛丸:2、3年前くらいから「メジャーに行きたいよね」って話はしていました。だから私たちとしては「ついに!」って感じです。
ごっきん:ほんとに大変やったから。何でも自分たちでやるって、どっちも向いてなかったんだと思います。
特に苦労したのは、どんなことですか?
ごっきん:マジな話をすると、お金を貯めて独立したわけじゃなくて、「次の段階に行かなきゃ、このままじゃダメだ!」って見切り発車だったんです。ライブしないとお金は稼げない、でも制作にはお金が要る。物販も、自分たちで畳んで発送して、伝票を作り……そこから制作の時間をつくらなきゃいけない。大変だったけど、それまで自分たちがいかに支えられていたか、実感できた時期でもありました。やりたいことも少しずつ定まり、仲間も増えてきた中で、今回こうしてバックアップしてもらえる体制ができた。言い換えるなら、今は自分たちがつくってきたyonigeの基盤に乗っかってもらっているというか、後押ししてもらう感じだから、全然違う。
メジャー再契約は、作品をより広く届けるだけでなく、これまでに固めたyonige像を、さらに補強していくための選択だったんですね。周りの方たち、特にファンの反応はいかがですか?
牛丸:最初のメジャーデビューのときは「メジャーに行っちゃうんだ、寂しい」みたいな声も一定数ありました。でも今回は、そういった声は少なくとも私たちの耳には届いてなくて。むしろ、前回は自分の好きなことができなくて病んだ、という経緯を知ってくれてる子たちが多いから、「またそっちに行って大丈夫かな」って心配しているような反応は、少しだけ見聞きしました。でも基本的には、大多数が祝福してくれてる感じです。
祝福するムードをつくっているのは何だと思いますか?
ごっきん:酸いも甘いも経験してきた私たちの姿を、周りも見ていたからじゃないですかね。最初のメジャー契約が終わって、2人で会社を立てて完全に独立して。でも実際は、支えてもらいながら、やりたいことに集中する方が向いてると分かった。そうやって、あくせくしてるのも、近いファンは見てたと思うから「いいじゃん、いいじゃん」って感じで見守ってくれているんじゃないかな。
牛丸:それもあるし、もがきながらだけど、ちゃんとかっこいい作品を作ってたから、次のステージに行くことを喜んでくれてるのかなって思います。


yonige
大阪寝屋川出身。2013年結成。牛丸ありさ(Vo&Gt)、ごっきん(Ba&Cho)の2人からなるロックバンド。ソリッドなバンドサウンドとポップなメロディ、恋愛や人生観をリアリティのある言葉でつづった歌詞が10〜20代を中心に共感を呼び、2015年8月リリースの「アボカド」のMVが話題を集め、2017年にメジャーデビュー。2019年8月13日の日本武道館ワンマン公演はソールドアウトで成功を果たす。2024年1月に3rdアルバム『Empire』をリリースし、全国ツアーを開催。2025年3月15日には、バンド初となる日比谷野外音楽堂でのワンマン公演『yonige"I'm Back"』を開催。
同年5月29日からはバンド初の試みとなる47都道府県ツアー『yonige〜Homing tour〜』で全国を巡り、2026年春にはソニー・ミュージックレーベルズにて再メジャー契約。併せて4月クールのTVアニメ『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』OP主題歌が新曲「芽吹くとき」に決定した。
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