「俺らにしかできない楽しいことをたくさんやりたい」。『THE SECOND』ファイナリスト、信じる道を突き進む<ヤング>の素顔。

先日『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜』(フジテレビ)のグランプリファイナルに出場したお笑いコンビ<ヤング>をご存知ですか?2011年に個人事務所『フールズ』を立ち上げ、大阪・玉造の『ライヴ喫茶 亀』を中心に活動しています。ボケの嶋仲拓巳さんとツッコミの寺田晃弘さんは、中学からの同級生。中学3年生の頃から遊びの延長で漫才を始め、高校1年生で『M-1甲子園』(現:ハイスクール漫才)決勝、20歳で『M-1グランプリ』準決勝に進出しました。事務所に所属する選択肢もあった中、「自分たちのやりたいことを追求したい」と個人事務所を設立。現在は、嶋仲さんはバンド活動と喫茶店の運営、寺田さんは大学でレスリング講師を務めながら、お笑いを続けています。今回は、そんな謎多き彼らの素顔に迫るべく『ライヴ喫茶 亀』を訪問。コンビ結成のきっかけから現在の活動、『THE SECOND』の裏話まで、たっぷり話を聞いてきました。少し強面な印象とは裏腹に、とっても気さくで優しいお2人。この記事を読んで気になった方は、ぜひ『ライヴ喫茶 亀』に足を運んでみてください!

大会当日は、髪に関するプチハプニングも?! 「現場はずっといい雰囲気で、敗退後は楽屋でビールを飲みながら観ていました」

(左)嶋仲拓巳、(右)寺田晃弘

少し日にちが経ってしまいましたが、『THE SECOND』のグランプリファイナルすごく面白かったです。本当にお疲れ様でした!全国賞レースの生放送、出演してみていかがでしたか?

嶋仲:テレビ局のキラキラしたスタジオセットで、生放送で漫才してんねやと思ったら楽しかったですね。

寺田:テレビでやれること自体がね。僕らスタジオも初めてやったんで、いい経験ができたと思います。

初戦のお相手の金属バットさんは、若手時代からずっと一緒にやってきた仲でもありますよね。抽選会で当たると決まった瞬間はどう感じましたか?

嶋仲:金属バットとは15年前くらいから一緒にやってきて、それこそ『ライヴ喫茶 亀』でライブもしていました。それをまさかフジテレビの生放送でやらせてもらえるなんて、めっちゃおもろいやんと思いました。

寺田:僕は優勝するために、初戦は金属バットと当たりたかったんです。もし向こうが負けたら、これまで積み上げてきたものを全部持っていかれることになる。だからこそ、個人事務所でやってきた僕らと戦うのが、相手にとっては1番嫌やと思っていて。逆に、僕らが勝って1番得する相手も金属バットやろうなと。「来い来い」と思っていたら本当にそうなったので、パズルのピースがどんどんハマっていくような感覚でした。結果的には負けましたけど、得点が出るまでは想像していた通りの展開でしたね。

抽選会で金属バットを引き当てたのは、不思議な巡り合わせを感じました。予選のノックアウトステージやグランプリファイナル当日の裏話を教えてください。

寺田:当日は16時にフジテレビ入りの予定で、距離は近かったんですけど、念のため15時くらいに電車に乗ろうと思ってたんです。その前に1,000円カットで散髪しておこうと思って、Googleマップで調べて14時くらいに近所の店に行ってみたら、まさかの360分待ち。ほんまにびっくりして、これが土日の東京かってゲボが出そうになりました。あと1軒出てきたところも同じような状況で、「終わった」と思ってバリカンを買いに行ったんです。そしたらその商業施設の1階に、マップには載ってない散髪屋があって、偶然そこで髪を切れて難を逃れました。あかんでGoogleマップ、死ぬほど焦ったぞっていう。土日の東京の散髪屋ナメてたわ。あんなに待つと思わんかった。

本番直前に、かなり心が乱されることがあったんですね。なんとか間に合ってよかったです。嶋仲さんはいかがですか?

嶋仲:髪の毛で言うと、大きい賞レースだけあって、本番前はきれいにヘアメイクをしてくださるんです。僕なんて女性2人がかりで髪をセットしてもらって。「どうしますか?」って聞かれたので、「お任せします」って答えたんです。実は『THE SECOND』の1〜2ヶ月前くらいに、生まれて初めてパーマを当てまして。当日もうねっている感じはあったんですが、寝癖やと思われたのか、アイロンでめちゃくちゃ伸ばしはって(笑)。ピシッと整えられて、あんまりパーマの意味がなくなっちゃいました。でも何も言えなくて、「ありがとうございます」ってお礼を言いました。

寺田:僕ら髪の毛は苦労してるんですよ。

嶋仲:しかもヘアメイクを本番の2時間くらい前にやったんですけど、崩れたらあかんから顔も髪も触ったらダメで、癖で触ってしまうのを我慢するのが辛かったです。まあそれも初めての体験で、面白かったんですけどね。
あと、フジテレビのスタッフさんがみんな優しかったのが印象的でした。勝手にドラマや映画で観るような、ザ・業界人みたいなプロデューサーさんとかいるんかなって思ってたけど、漫才に愛とリスペクトを持ってる方ばかりで。すごく演者を尊重してくれるし、「面白い漫才をテレビで届けたい」と全員が同じ方向を向いていました。それは決勝まで行って、初めて知ったことでしたね。世間にどれくらい届いてるかわからんけど、少なくとも演者にはその想いが伝わって来ました。そんなすてきな場所に、自分たちも居合わせることができて嬉しかったです。

視聴者側にも伝わっていました。めっちゃいい大会やと思いました。

嶋仲:ただ4時間40分の生放送ってめちゃくちゃ長いですよね。

※一部地域では放送時間が異なる。

私も家で観ていて、1回寝転ぶ時間がありました。

嶋仲:僕らも初戦で負けたんで、そこからエンディングまで暇やなぁって言ってたんです。そしたらスタッフさんが、楽屋にスポンサーのアサヒゴールドを「飲んでください」って持って来てくれて。しかも「ケータリングも取ってくるので食べてください。エンディングだけ出てもらえたらいいんで、寝ないでくださいね」って言われて。「ありがとうございます!」って言ってガンガン飲みました。

寺田:5本くらい飲みましたよ。

わ〜お祭りみたいですね。

嶋仲:楽屋の畳の上に寝転んで、「これどっち行ったと思う?」とか言いながら漫才観て。ただの視聴者みたいになってましたね。もちろん悔しさもありましたけど、ビール飲んでみんなと喋って、「まぁ今日は楽しむか」みたいなマインドになれました。

『M-1』では絶対になさそうな光景ですね……。

寺田:さすがにないんちゃう?

嶋仲:『M-1』の雰囲気とは違うと思いますね。この前も『THE SECOND ライブツアー』の福岡公演に呼んでもらって、吉本興業の先輩方や、僕らが普通に活動してたら絶対出会わへんような東京の芸人さんとも共演したんですけど、みんなほんまに優しかったです。もちろん『THE SECOND』は戦いやけど、長年お笑いを続けて、いろんな経験を積んできたベテランの漫才師ばっかりで。負けたこともスベったことも、若手とは比べられへんくらい経験してる。そういう人ってきっと優しいんやろうと思います。大会を通してずっとそんな雰囲気がありました。もちろん勝った人には「おめでとう」を伝えるけど、その空気感も他の賞レースとは少し違う気がしましたね。

寺田:嫌なやつはここに来るまでに負けてますね。これはマジである。たぶんお客さんに見抜かれてるんすよ。嫌なやつって相方にとっても嫌なやつだから、あんまりコンビの関係性が良くない。それがきっと漫才にも現れてるんやと思います。

嶋仲:『THE SECOND』のネタ時間は6分で(『M-1』は4分)。そのぶん、ネタの本筋だけじゃなく、人間味も伝わりやすいと思うんです。だからなのか、変に関係性が冷めてたり仲が悪そうな雰囲気があったりするコンビは、決勝メンバーにいなかったですね。

今回、リニアさん以外は同級生コンビだったそうですね。

寺田:そうでしたね。シャンプーハットさんなんて、まだ2人でロケしてるのテレビで観ましたよ。あの芸歴で2人でロケなんて信じられへん。

嶋仲:32年やってはんねんな。俺もシャンプーハットさんに「コンビ仲悪くなったことありますか?」聞いてみたんです。そしたら「1回もないです」って言うてて。それ逆にちょっと変でしょっていう。デビューしてからずっと好調やからっていうのもあるけど、長年やってきたらちょっとはあるやろうと思いません?『THE SECOND』のエントリーも自然な流れで決まったみたいやし。「やっぱり漫才好きやねん」って言うてました。

『ライヴ喫茶 亀』の店内には、ファンからの贈り物や手紙がたくさんディスプレイされていた。
高1で出場した『M-1甲子園』では大阪代表として決勝進出。「中3の頃から仲間内で漫才をして遊んでいたのが原点です」
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Profile

ヤング

中高一貫校の同級生として嶋仲拓巳(左)と寺田晃弘(右)が出会い、2003年8月、高1の時に<ぷくぷく隊>としてコンビ結成。2011年1月に<ヤング>へ改名し、同年個人事務所・株式会社フールズを設立。2015年から谷町九丁目の『ライヴ喫茶 亀』を中心に活動。2019年に立ち退きのため一旦休業し、2020年に玉造で再オープン。第1回『M-1甲子園(現:ハイスクールマンザイ)』ファイナリスト、2008年『M-1グランプリ』準決勝進出、2026年『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜』のファイナリストとなり話題に。

寺田: Instagram / X
嶋仲: Instagram / X
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