まるで公園みたいに人が集まる、Shuriさんのコーヒーショップ『heys』。誰かのためになりたい、その想いがあるから、今日もハッピーとラッキーが交差する。

「最近よく思うんですよ、いろんな人と関われてハッピーだな、ラッキーだなって。私、運がいいなって」。そう語ってくれたのは、北堀江のコーヒーショップ『heys』のShuriさん。近所のショップスタッフからクリエイター、起業家、地元の人など、とにかく多種多様な人が集まり、Shuriさんの淹れるコーヒーとそこで過ごす時間を思いっきり楽しんでいます。そんな街のコミュニティの場にもなってる『heys』がオープンしたのは、2022年4月。いろいろ話を聞いていくと、オープンしてからの1年7ヶ月も濃いめだし、お店を始めるまでにも怒涛の展開があって、平坦じゃない人生はいわゆるビター系なのです。本人は超がつくほどのポジティブバイブスの持ち主なんですが、ただ口に出してるわけでもなく、そこにあるちゃんとした想いと理由も教えてくれました。待ちのスタイルはないし、何事に対しても自分から出会いに行く、動いていくスタイルは、キュートさとは裏腹のかっこよさ。Shuriさんが話してくれた、『heys』という場所と自分の人生に込めてる言葉の数々、じっくりと読んでみてください。もちろん、『heys』でコーヒーを飲みながらで。

コーヒーを飲みながら、何かを生み出すとか、何かに没頭するとか、心をリセットするとか。みんなが集まって来て、居酒屋みたいになっちゃう時もありますけど、それぞれの時間を楽しめる場所になればいいなって。

ここは緑もいっぱい感じられるし、街なかにあるけど路面店とはまた違う雰囲気。ちょっと隔離感もあって、ほんと気持ちいい空間ですよね。Shuriさんが『heys』をこの場所にオープンしたのは、どんな想いがあったんですか?

元々ここは、2020年4月にオープンした『グランノットコーヒー』の2号店があった場所なんです。私は堀江にある1号店でアルバイトしてて、2号店に異動してからも気持ち的には店長以上の感覚で働いてました。でも、会社の方針で丸2年を迎える前に移転することが決まってしまって…。そろそろコロナ禍も明けそうだったし、ここでコーヒーを楽しんでくれている常連さんもたくさんいたから、離れてしまうのがすごく悔しかったんです。

思い入れのある場所だったと。

そうですね。私にとっては大切な場所でした。休日に移転先のお店も見に行ったんですが、ロケーションもいいし、内装もとてもかっこよかった。でも、やっぱり悔しくて。私の人生は、あの堀江の場所にあるって思ったんです。

同じお店でも、場所が変わると雰囲気も含めて別物になっちゃいますしね。

だから、オーナーに「あの場所で続けたいです」って伝えたんです。暖簾分けにするか、引き続き会社で運営するか、独立するか、いろいろ話させてもらいました。私をコーヒーの世界に引き込んでくれたオーナーには感謝でいっぱいなんですが、「もし無理なら、ここに残って1人でしたい!」って。

強い覚悟があったんですね。で、結果的に独立することに?

はい。オーナーにも後押ししてもらい、独立することを選びました。リニューアルまでの準備期間は2ヶ月ほどで、店舗の撤退から『heys』としてオープンするまでは10日間。めちゃめちゃ大変でしたね。

エグいスケジュール!

移転の話を聞いたのが2021年12月末で、打ち明けたのが2022年1月末。そこから準備して、2022年4月に『heys』をオープンしました。この場所自体、シェアオフィスの一画を間借りしてる形になるので、内装などはそのままですが、名前やペルソナ、ターゲット層を考えたり。まぁ、友だちに相談して「ペルソナを考えた方がいいよ」って言われた時は、何それ?阪急のカード?って思うくらい無知だったけど、自分の行きたいお店の理想をとにかく考え続けることから始めました。それで、やっぱり人が会いに来てくれるお店がいいなと。実際、元々のお店もそうだったなと思って。

『heys』という名前の由来は?

たまたまSpotifyで流れてた曲のフレーズを聴き間違えたのがきっかけです。正しくは「I JUST WANNA STAY HIGH」を「I JUST WANNA SAY HEY TO YOU」って聴き間違えて、「HEY」っていいなと思って。偶然だけどインスタのアカウント名も、iPhoneの「Hey Siri」をパロって「heyshuri」にしてたし、周りのみんなも会ったら「Hey ! Shuri !」と言ってくれてるから、最後に“s”をつけました。呼びやすい名前にもしたかったので、ピッタリだなと。“heys coffee”にしようとも思ったんですが、コーヒーだけじゃなくて、コーヒーをツールとしていろんな人と繋がっていきたかったから、最終的に『heys』だけにしたんです。

語呂もいいし、Shuriさんのパーソナルともリンクしてるし、なんか元気の出る名前ですよね。ロゴとかもめちゃ可愛いし。

ありがとうございます!とりあえず、知り合いのプロの人たちに頼りまくりました。元々アパレルの販売員をしてたので、好きな色や柄、雰囲気を伝えたり、曲を聴いてもらったり、私の中にあるものをどんどん共有していったんです。このロゴとか、派手だけど嫌味も毒味もない色合いとデザインに仕上げてもらえたから、ほんと気に入ってます。たまにステッカーをスマホケースに挟んでくれてる人を見ると、ドキドキしちゃう。人の生活に入り込んでるって思えるし、めちゃくちゃうれしいですね。

元々働いてた場所ですが、自分のお店になったことで、見える景色とか気持ちに変化はありました?

最初は不安しかなかったです。今までは守られた環境で自由にのびのびできてたけど、抱いてる不安を糧にして真っ直ぐ進むしかないなと思いましたね。自分で選んだ豆、自分で淹れるコーヒーの味、オートミールのクッキーやグラノーラ、ブラウニーなど、全てに自分の責任がついてくる。でも、その責任がもっと大きい楽しさを呼んでくれることを、実感できてたと思います。もちろん今もそうですし。

Shuriさんが提供する『heys』のコーヒーのこだわりは?

豆は、開業時からお世話になってる奈良の『THE INY COFFEE』さんと、本町の『aoma coffee』さんから仕入れてます。浅煎り、深煎りそれぞれでおいしいお店はありますけど、その中間でおいしいお店って意外と少ないので、『heys』としてはそのバランスを追求してるのがこだわりです。あっさりだけでは物足りない、飲みごたえだけではちょっと…、みたいな方がおいしく飲める一杯を目指してますね。

コーヒーの世界はほんと奥深いですが、その“ちょうどいい”味って、すごく難しそう。

天気や気温で豆の挽き目を変えたり、お湯の温度を調整したり、その日のベストなバランスの味が提供できるようにしてます。あと、味の部分だけじゃなくて、早さ、きれいさ、居心地の良さも大切にしてること。スピーディな提供と整理整頓された美しいカウンターでコーヒーを淹れるお店がかっこいいと思ってるので、そこもこだわりです。だから、ラテアートもめちゃ早いんです(笑)

確かに。作ってもらいましたけど、めちゃくちゃ早い!(笑)。普通はもっとゆっくりな気がします。

ラテアートはゆっくり注ぐ人が多いんですが、早くておいしいっていう部分を大切にしてるから、早くできるものしか描かないんです。まぁ、せっかちな大阪人の気質が出てるかもですが(笑)

Shuriさんならではのおもてなし精神でもありますね。居心地の良さの部分で言うと、お客さんにはどんな時間を提供したいと思ってますか?

コーヒーを飲む時間を楽しんでもらうことが、まずは1番だと思ってます。そして、リラックスして、ポジティブな気持ちになってもらえれば。間借りスタイルなので、私たちが主張できるのは、コーヒーとお菓子、接客、グラスやプレートなどの食器類と、自分たちの存在くらい。だから、接客もフレンドリーだけど丁寧さも忘れず、着る服もかっこよくなりすぎないようにしたり、限られた主張を目で楽しめるようになればなと。

内装はシェアオフィスのものだから、そのディテールに『heys』らしさが詰まってる。でも、空間全体に『heys』が生み出す気持ちよさが流れてる気がします。

緑もいっぱいだし、隠れ家感もあるけど、公園みたいな雰囲気もあるなと思ってて。実はお店の名前もそこにちなんで、「park」と「coffee」を合わせて“parc”にしようと考えた時もあったんです。でも、PARCOやん!これはアカンやんって(笑)

ええやんと思っても、すぐ気づいちゃうことってありますよね(笑)。そんな風に、いろいろな考えを巡らせる場所にも『heys』は適してそう。

ここで過ごす時間が、そうなれば理想。コーヒーを飲みながら、何かを生み出すとか、何かに没頭するとか、心をリセットするとか。みんなが集まって来て、居酒屋みたいになっちゃう時もありますけど、それぞれの時間を楽しめる場所になればいいなと思ってます。それこそ、やっぱりここは公園みたいな存在なのかも。

心がすさんできてて、このままだとアカン!給料とか関係なく、新しいものを取り入れないと!って考えて飛び込んだのが、コーヒーの世界でした。
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Shop Data

heys

住所: 大阪市西区北堀江1-17-8 ワークスペースCUE内
営業: 9:00〜18:00(土曜10:00〜18:00)
休み: 日曜・祝日

Profile

Shuri

北堀江のコーヒーショップ『heys』のオーナー。短大入学後からアパレル販売員やウェディング関係の仕事を経て、コーヒーの世界へ。よく通っていたお気に入りの『グランノットコーヒー』で未経験からコーヒーのイロハを学び、2022年4月に『heys』をオープンする。休日はどこかのお店でコーヒーを飲むところから始まり、お出かけしたり、遠出することが多いそう。1日に飲むコーヒーは、だいたい3杯。食べるものによって、コーヒーの味も細かく選ぶタイプ。ヨガを始めようと思いつつも、体験に一度行ったきり。でも、ヨガパンツは購入済み。

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