【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.4】 THE・アメ村世代と新・アメ村世代が語る、アメ村の今と昔、これから。そしてとっておきの古着の話。


ずっと大事にしたい服に、長年変わらず好きな服。みんなのとっておきを教えてもらいました!

アメ村のお話ありがとうございました!ここからは、洋服についての話を色々とお伺いしたいです。あれ、前川くんどうしました?

前川:すみません。実は今日の内容をあんまり把握してなくて、何にも持ってきてないんです……。

まぁ仕方ないです!ご愛嬌ということで(笑)。それでは最初にずっと大事にしたい服を教えてください。

平賀:3着あるんですけど、1着目は12年くらい前に『ルナバイノアノア』という店で買った<Lee>のデニム。もともとペンキは飛んでたけど昔はもっと色が濃くて、それをずっと穿いて叩いてこんな感じになりました。

前川:デニムってこんな風になるんや。なんか嘘みたいな服っすね。

平賀:こうなる前に売ってしまう性格なんですが、ここまで叩いて売らんかったんは、自分でもなんでかわかんないです。穿いてるうちに愛着が湧いたんかな。これは一生手放さないと思います。

前川:ホンマにすげーです。

平賀:2着目は、大阪に出てきて初めて働いた店の先輩にもらったBEASTIE BOYSのTシャツ。もらったやつやから手放せなかったっていうのもありますが、その先輩のおかげでちょーさくにも出会えて、色々とコミュニティが広がっていったっていう感謝もあって。いつの間にか価格が高騰してました(笑)

前川:高くなってますもんね。いいなぁ。

平賀:3着目は、中学3年生の時に熊本の古着屋で買った<チャンピオン>のパーカー。使い始めて30年くらい経つんやけど、今も普通に着ています。黒やしサイズ感もジャストやし、昔の俺めっちゃナイスって思ってる(笑)。ちょこちょこ自分でお直ししてて、邪魔にならないよう袖口とかを留めてます。熊本から出てきて残ってるのはこれだけですね。

前川:どうやったらそんな感じになるんすか。

平賀:この3点、思い入れって感じやろ。

前川:やばいっすね、愛しかない。こんな風になるんや。アメリカ人じゃないとならないと思ってました。

平賀:きっと前川もこんな服が出てくるよ。今買って俺の年齢になったら10年選手やん。

前川:僕も育てたくなりました。

蝶野さんはいかがですか?

蝶野:ずっと大事にしたい服がないんで、今大事にしたいモノを持ってきました。

一同:(笑)

蝶野:かつてはいっぱいあったんですけど。店やるってなって色んな事情があって、全部無くなりました。

平賀:売って買うのが古着屋あるあるやからな。

蝶野:『wit』の1年目はコロナで周年ができなかったけど、2周年の時にイベントをやったんです。その際アーティストのMASAGONさんに、古着のTシャツにシルクスクリーンプリントをしてもらって。これはその中の希少な1着です。彼の知り合いもたくさん来てくれて、イベントも結構盛り上がったんです。思い出もあるので今後売らないでおこうと思っています。

蝶野:これは70年代の<リーバイス>646のフレアデニム。僕は身長が低いんで、自分に合わせてレングスをくるぶしくらいの丈に切りました。これをお店で売るとくるぶしの位置よりもっと短くなって、めちゃくちゃダサくなるんです。やから売ろう売ろうと思いつつ、でも売れへんなってずっと持ってます。

平賀:古着好きな人って割とためらいなく切るよな。

蝶野:全然切る。お客さんにも「それ裾切って穿いたらカッコいいで」って言うんですけどあんまりしてくれないです。自分でやるん怖いんかな。お客さんのヴィンテージのデニムとか代わりに切ったことあるわ。

平賀:丈上げ1つも渋るお客さんいるもんな。

蝶野:まぁでも今の自分やったら切らんかな。それやらんかったらもっといい値段で売れてたモノいっぱいある。

平賀:わかるわ(笑)

前川:でもそういうのが流行ってましたもんね。カットオフとかフリンジとか。

蝶野:それもあるな。

次は廣島さんいいですか?

廣島:今年でちょうど10年目のシンプルなスウェットです。18歳の頃、心斎橋商店街にある『WEGO』の古着フロアで働いてて、知識もなくピンクヘアでキャラT着てる派手な若い感じやったんですけど、なぜかこれを8,000円くらいで買ったんです。その後『JAM』に入ってヴィンテージについて色々と知るようになって、そういえばあの時買ったスウェットってどうなんやろうと思って見返したら、前Vやん!はめ込みやん!50年代やん!ってなって。昔の自分いいの買ってんなぁと。そこからめっちゃ着倒したんで、もともとキレイやったけどこうなっちゃいました。これは捨てないで取っておこうかなと思います。

昔の自分に拍手ですね。肩も結構破れちゃってる……。

廣島:昔は破れてなかったんですけど、上司と飲みに行ったら指突っ込まれたりして、気付いたらどんどん穴が広がっていきました。実は脇にも穴が空いてて……(笑)。実家に帰る時は親やおばあちゃんに「穴空いてるやん」って言われるから着てないけど、古着知ってる人と遊びに行ったり古着屋行ったりする時に今でもよく着ています。

蝶野:あかん上司おるやん(笑)

廣島:苗字が廣島なんで「HIROSHIMA」って書いてるTシャツ。peaceって書いてるんで、たぶん原爆のやつやと思います。『stück』っていう名前で古着屋やっていて、それはドイツ語なんですけど英語にしたら「ピース」になるんです。stück自体はpeaceじゃなくpieceなんですが、独立したら「ピース」にまつわる名前にするのは決めていて。中崎町の『ピグスティ』で働いてる時に、洗濯物を干してたら見つけて速攻買いました。今は結婚して廣島になったんで、離婚しない限りは手放さないと思います。

前川:離婚とか絶対ないやろ(笑)

蝶野:しかもその広島と関係ないやん。

廣島:まぁでも1回も着てないです。もしかしたら日本から海外に行ってまた帰ってきてるのもしれない。自分の名前や生まれ年が入ってるアイテムがあると集めちゃうんです。94年生まれやから「94」って書いてる<チャンピオン>のリバースとか、旧姓の頃“きたピー”て前呼ばれてたから「P」って入ったモノとか。そういうのは手放してないです。

廣島:あと、この帽子は蝶野さんの店で買ったから絶対に売れない。中崎町にインターナショナルスクールがあって、そこの幼稚園児が全く一緒なのを被ってるんです。だからこれを被ってる日は、歩くのがちょっと恥ずかしかった。

前川:わー可愛いなぁ。

蝶野:そっから仕入れたんやで。

一同:(笑)

前川:僕もほしいっすわ。幼稚園に買いに行こうかな。

廣島:形がめっちゃ好きなんで、これは手放さないです。大好き。

次は、ずっと変わらず好きなモノを教えてください。

平賀:昔からスケーターブランドが好きで、これは<ショーティーズ>っていうブランドのTシャツ。袖に「S」が入ってるロゴの配置がおもしろいと思って買ってたら、いつの間にか4枚になってて。めちゃくちゃ好きなブランドってわけじゃないけど、ロゴの配置とスケートモンっていうので集めています。

前川:こんなに見つけられるもんなんですね。

平賀:自分の店と同じ『Epic』のロゴが入ったアイテムも集めてて。TMCの安藤くんが「Epic」のロゴ入りのボディを見つけたからって、ボクタノ(<ボクハタノシイ>)の刺繍をしてプレゼントしてくれたやつも持ってきました。

蝶野:ええやん。『ピグスティ』時代の後輩やもんな。

前川:蝶野さんはどんな感じですか?

蝶野:すぐ売るから手元に残ってないねん。強いて言えば<ラルフローレン>っぽくない<ラルフローレン>かな。ロゴの入ってないシンプルなストライプシャツとキャップなんですけど、昔からそういうラルフのシャツはつい買ってしまうかも。あとは大体売ったんで、今残ってるのはこれだけやな。

「好きやから今日も着てきました」と廣島さん。
「僕も2着持ってるけどこの前酔っ払った人に落書きされてん」と悔しげな前川さん。

廣島:これもいくつかあるけど、まずはスヌーピーのヴィンテージスウェット。古着が好きになった時にスヌーピーも好きになって、高いんですが頑張って買いました。今は高くて手が出ませんが、メルカリで安く出てたら買ったりとかで5、6着くらいは持っていて。ちょっと古いスヌーピー系の服や雑貨もめっちゃ集めてます。

廣島:ジャガードTもめっちゃ好き。今日はスマイルだけを持ってきたけど、ハーフジップやレースアップ、シャツにロンT、家にはもっとあります。ジャガード素材の服って小さめが多くてあんまり着ないけど、素材感とか総柄の感じが好きで集めてます。

こちらを1枚で着るという廣島さんに、「いやいや、パンツ見えるやろ!」と総ツッコミが入ります。

廣島:つながっている服も好き。オーバーオールとかももちろんやけど、こんな感じでおしめみたいになるロンパースみたいな形に惹かれます。

前川:これを好きって言ってるやつ初めて見た。

廣島:このタイプは1枚で着れるから。

前川:これを1枚で着るん?バケモンやん。

蝶野:いや、着ようと思ったら全部着れる。勇気と覚悟さえあれば。

「これが1枚で着てるやつ」と、実際に着ている写真を見せてもらいました。

廣島:全然着ます。チャリ乗ってたらパンツ見えそうだったけど。ホンマにキワどいやつは、ボトムの上に垂らして着たりとかズボンの上から穿いたりとか。まぁキモいですね(笑)

前川:ちなみにどこで買ったん?

廣島:これは『ASAGI』で14.000円くらい。絶対着いひんやんって思ったし値段見てうお~ってなったけど、ロンパース好きの精神が出てしまって買わずにはおられへんかった。

前川:14,000円でこれを売る『ASAGI』がカッコええな。

廣島:可愛いけどちょっと意味がわからん変な帽子も好きで、これは高級フルーツになった気持ちになれるやつ。

蝶野:誰が買うねんそれ。

一同:(笑)

廣島:誰が着るねんって思うキモい服を買っちゃうんです。自分の店やったらどんな格好でもできるからそれが嬉しいな。

お店のいち押しアイテムに、密かに注目しているアイテム。気になるモノがあったらお店に足を運んでみて!
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Profile

平賀 拓郎

『Epic』オーナー

熊本県出身、古着屋で働くために20歳で大阪へ。『ピグスティ』をはじめとした古着屋数軒で15年ほど働いたのち、2016年に大阪・北堀江で古着&BMXを扱う『Epic』をスタート。昨年アメ村の路面に2号店をオープン。

Profile

蝶野 博章

『wit』オーナー

大阪府出身。高校時代に古着の魅力にハマり、17歳で『ビッグマン』に入社。その後20歳で『ピグスティ』に入社し、2019年に独立して『wit』をスタート。持ち前のコミュニケーション力を生かし、ポップアップなども積極的に行う。

Profile

前川 宗輝

『TOI』オーナー

兵庫県出身。5年間働いた『ピグスティ』から昨年独立し、南船場で『TOI』をスタート。国や年代に固執しない、若い感性を活かした遊び心のあるセレクトが話題を呼んでいる。

Profile

廣島 千波

『stück』オーナー

大阪府出身。『WEGO』、『JAM』を経て『ピグスティ』に入社し、4年間勤務したのちオンラインベースの古着屋とポップアップイベントをスタート。今年5月1日、大阪・寺田町に実店舗をオープン!

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