すべての芸人にリスペクトを込めて笑いに向き合う。アマチュア史上初のR-1ファイナリスト・どくさいスイッチ企画の知られざる素性に迫る。

去る3月9日(日)に開催された「R-1グランプリ2024」。ピン芸人なら誰もが憧れる決勝の舞台に、史上初のアマチュアとして出場を果たしたどくさいスイッチ企画さん。一見すると普通のサラリーマンのようですが、実は社会人として仕事をこなす傍ら、合間を縫ってネタを書き、舞台に立って1人コントを披露するR-1戦士なんです。決勝は惜しくも同率4位でしたが、スピーディに時間の経過を提示しながらコントを進める「ツチノコ発見者の一生」は、大きなインパクトを残し話題となりました。今回は、R-1グランプリが終わって4日後のまだ興奮が覚めやらぬ中、彼の仕事終わりをキャッチして、夢の舞台に実際に立った感想やお笑いを始めたきっかけ、今後の展望などを伺いました。普段は、MARZELでも取材した『楽屋A』の舞台に出演することが多いそうなので、ぜひ出演予定をチェックして!

人生の目標の1つに掲げていた「R-1グランプリ」のファイナリストになれて感無量でした。プロの芸人さんの本気を間近で見られたのは大きな財産です。

改めて、R-1グランプリの決勝お疲れ様でした。めちゃくちゃおもしろかったです!早速ですが、実際に出演していかがでしたか?

終わってもなお、自分が決勝に出場できたことが信じられない気持ちでいっぱいです。今年は出演者数も過去イチ多かったそうで、まさか自分が出られるとは思いませんでした。今までお笑いライブにしか出演したことがなかったので、テレビにはこんなにたくさんの大人が関わって、真剣に動いてるんやとびっくりしました。ほんと一生テレビ番組のことバカにできないです。

やっぱりすごく緊張しましたか?

どちらかというと、準々決勝や準決勝の方が緊張しました。僕、R-1グランプリの決勝に行くことを人生の目標にしていて。決勝に行けた時点でかなり達成感があったので、決勝自体はお祭りとして楽しめました。

仕事終わりのインタビュー。ビールを飲んで、「くぅ〜」と最高の表情をしてくれたどくさいスイッチ企画さん。今回の取材場所として、新町にある居酒屋『よりみち酒場 ちょこっと』(大阪市西区新町1-7-9)さんをお借りしました。

楽屋などで他の出演者さんと交流する機会はありましたか?

ありがたいことに、たくさん喋らせていただきました。皆さん共通して口にしていたのは、「いい大会にしましょうね」ということ。もちろん僕だけアマチュアで、他の皆さんはプロの芸人さんなので、大会に懸けてる思いは全然違うと思うのですが。それでも1人のプレイヤーとして的確な距離感で接していただけて、めちゃくちゃ嬉しかったです。

この方とたくさん喋れて嬉しかった、みたいな人はいらっしゃいますか?

僕は真輝志さんの大ファンで、単独とかもほとんど観ていて、自分でネタをする上でもすごく参考にしてるんです。その真輝志さんに色々話しかけていただけて、1人のファンとして純粋に嬉しかった。決勝のネタ順が、真輝志さんから始まって僕で終わったのも印象的でした。

普段、事務所に所属している芸人さんと関わる機会はあるんですか?

舞台に呼んでいただいたら関わりが持てますが、普段はなかなか交流する機会がないですね。僕がお客さんとして舞台を観にいく時だけです。真輝志さんには1年に1度、R-1グランプリの予選会場でだけ運が良ければ会えるんですよ。たまたま去年の予選の出順が前後だったので、そういう話もさせていただきました。

決勝の出順がトリに決まった時はどう思いましたか?

正直そんなワケないと思いました。僕のネタで1stステージを締めるなんて……と、目の前が真っ暗になりました。

出順に合わせてどのネタをやるか考えたりもしたんですか?

準決勝では「結婚の挨拶」というネタをやったんですが、吉住さんと少し設定が被ってるんです。僕は吉住さんの後の出順だったので、やりづらいかなと思ってそのネタは避けて選びました。

今年は芸歴制限が撤廃されて、予選の審査もかなりシビアになっていたそうですね。その中で、昨年と戦略を変えた部分もあったんでしょうか?

準々決勝の会場を東京にしたことです。昨年までは大阪で受けていたんですが、大阪から勝ち上がるのは難しいのではないかと感じて、東京会場で受けることを選びました。そもそもの母数もあると思いますが、大阪は少ない枠を吉本の実力派たちと奪い合う形になるので、そこにアマチュアが食い込んでいくのはかなり厳しそうだなと。東京だったらまだチャンスがあるかもと昨年から考えていて、今年は準々決勝まで進めたら東京で受けようと決めていました。

東京のお客さんはどうでしたか?

最初はコイツ誰やねんみたいな空気もあったんですが、しっかり聞いてもらえてる感じはあって。ネタを進めるにつれウケが大きくなって、最後はしっかり笑ってもらえました。大阪より東京の人の方が、全く知らない状態でもフラットに観てもらえるのかなと思いました。

決勝前と決勝後で、周りの反響はいかがですか?

まず準決勝まで進めた時点で反響があって。アマチュアで準決勝に行けた人が最近いなかったので、周りの友人やお笑い関係の人から嬉しい言葉をたくさんいただきました。だけどいざ決勝に進むと、その比にならないくらいの反響があって、X(旧:Twitter)やYouTubeの登録者数が急に増えたりとか。Youtubeなんて登録者数が2,000人くらい増えたんですよ。そういうのが数字で跳ね返って来ましたね。

決勝の舞台でもコメントされてましたが、会社の上司の反応はいかがでしたか?

上司はテレビで観て初めて決勝に行くことを知ったようで、それは自分の口から言えよみたいな感じで怒られました。だけどこれ、ちょっと弁解させてもらってもいいですか?

はい、もちろんです。

決勝に進めることを知ったのが3連休の中日でして。準決勝の結果が2月11日(日)に出たんですが、翌日が祝日で会社が休みだったんです。その次の日、会社へ出勤した時に「『めざましテレビ』で初めて知った」と怒られました。じゃあ連休中に連絡すれば良かったのか、果たしてどの対応が適切だったのか今でも疑問です。

休日に連絡するのは失礼かなと思いますもんね。社会人ならではの発想のように感じます。ネタ終わりに霜降り明星さんと掛け合いをされてる時、カメラの方向を見ずにずっと客席を向いてたのが印象的でした。あれは狙ってのことですか?

どのカメラを向いたらいいかわからなくて、1番近くにあるカメラに向かって喋っていたんです。僕だけ素人丸出しでしたね。決勝でやった「ツチノコ発見者の一生」はかなり酸素を消費するので、平場のことを何も考えてなくてボーッとしてました。

なるほど、やっぱりテレビに慣れてないと難しいですね。審査員の方からのコメントはいかがでしたか?

バカリズムさんの「途中までおもしろかったけど後半失速した」というコメントが印象的でした。自分がずっと追いかけてる人でもあったので、「途中までおもしろかった」と言っていただけるだけで、めちゃくちゃ嬉しかったです。途中までおもしろいと思って観てくれてたんやって感激しました。

決勝の舞台に「ツチノコ発見者の一生」を選んだ理由を教えてください。

先ほどもお伝えしたように、準決勝でやった「結婚の挨拶」が吉住さんのネタと被っていたのが1つ。あと、それがずっと椅子に座って喋るネタで、ルシファー吉岡さんの構図とかなり似ていて。それなら動きのあるネタをした方が、皆さんにインパクトを残せるんじゃないのかなと。今回の決勝はコントが多くて、僕の出順はラストだったので、だいぶ変わったことしないと目立てないなと。それもあってツチノコのネタを選びました。

ちなみに「ツチノコ発見者の一生」はどういうところからネタを思い付いたんですか?

あれは、時間の経過をスピーディに組み込んでいったらおもしろいんじゃないのかというところから。手を上げて経過を伝えつつ、コントで世界観を表現したらいいんじゃないのかと。

個人的には、未経験で始めた息子のタカシくんのバンドが成功しているのも良かったです。

最初はあの設定はなかったんです。何度も調整を重ねて、ネタの中に2人分の人生をまとめて盛り込むことにしました

そうなんですね。R-1グランプリの後でX(旧:Twitter)を見ていると、「土の子の字は“土”なのか“槌”なのか」「息子のタカシの漢字は“孝”の場合、“土ノ子”って書くからそこまで考えてるのすごすぎる」とか、色んな考察がありました

僕も見させていただきました。ありがたいけど、ネタ作りでそこまで細かく考えてないですよ(笑)。ほんと偶然の産物なんです。

あと伊藤沙莉さんのお名前がネタの中に出てきましたが、どうして彼女の名前を使ったんでしょうか?

単純にファンなのと、10年後も芸能界にいそうだなっていうので名前を使わせていただきました。

確かに、現実味がありますもんね。

地下のライブでそのネタをやる時は、もっとマイナーな芸能人の名前を使わせていただいて。10年後もその人が芸能界にいるんかいっていうので1つ笑いを取っていたんです。ただ全国放送でそれは通用せんのかなと思って調整して辿り着いたのが伊藤沙莉さんでした。3年後とか1ヶ月後、1週間後……と年月を刻むところも、違和感が出ないよう、正確な時間の流れに合わせて調整しています。

決勝でプロの芸人さんを間近で観て、何か感じたことはありましたか?

1つのネタをこんなにも調整しているのかと。当日リハーサルがあって事前にネタをちょこっと見たんですが、ギリギリまで楽屋で台本を詰めて調整をかけている方や、リハーサルと本番でネタが全然違ってるなと感じる方もいました。本職の芸人さんの覚悟を間近で見られたのは、すごく貴重な経験でした。お客さんに合わせて色んなパターンのネタを用意してはるんやとわかって、これがプロかと思いました。

もともと大学の落研出身で、就職後も社会人落語と1人コントをしていました。大喜利好きの奥さんに支えられながら活動しています。
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Profile

どくさいスイッチ企画

1987年、神奈川県生まれ。11歳の時に父親の仕事の関係で神戸に住み始める。大学時代に落語家や1人コントをスタートし、就職後も仕事をしながら社会人落語やお笑いの活動を続ける。現在は、大阪・四ツ橋の『楽屋A』を中心に月3、4本の舞台をこなす。R-1グランプリ2024ではアマチュア史上初の決勝に進出し、同率4位の成績を収めた。

YouTube:@walleityoutei

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