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ガマンできへんくらい銭湯が好き。365日皆勤の温浴施設愛好家、桶美さんに沸き続けてる銭湯愛と、温冷浴という奥深き世界。

どんな場所でも気持ち良くなろうとするヤツが本物。ほんまの銭湯好きは、その瞬間をマジで楽しもうとしてる。

桶美さんの中で、銭湯に行く時のルールとかってあるんですか？

毎日いろんな世代のヤツを誘ったり、誘われたりして銭湯には行ってるけど、銭湯代だけは絶対に奢らん。メシは奢ったりするけど、銭湯代を奢るのは違うと思ってる。人の金で遊んでるうちは、ほんまの楽しさが分からんのよ。例えばイベントにゲスト枠で呼ばれるより、自分で金を払って行くイベントの方が絶対にとことん楽しもうとするやんか。それと同じで、銭湯に金を払う癖をつけてたら自分から気持ち良くなろうとするし、ハマったら当たり前に行くようになるから。

なるほど。そこも銭湯に足を運ばせるために徹底してると。

一人おもろいヤツがおって、『末広温泉』にハマりすぎて交通費がかさむから奈良の大和高田市から大阪に引っ越してきたんよ。場所聞いたら、僕の家から30mくらいのところで（笑）。そこからいろんな銭湯に一緒に行って、懐事情も分かってるからメシは奢るけど、週1ペースで一緒に行く今でも絶対に銭湯代は奢ってないもんな。

『末広温泉』さんの外観には、熱いメッセージが！浴場内にも刺さる言葉が綴られてるから、必読です。「風呂に入ってスッキリした状態で読むと、マジでスッと入ってくる言葉ばっかり。気持ち良くなって、心まで素直になってる証」と桶美さんは言います。

『末広温泉』さん、ほんまに聖地ですね。

後は、銭湯の批判や批評は絶対にせーへんし、ランキングとかつけるんもイヤ。その時のおすすめの銭湯は言えるけど、あそこの銭湯はちょっとぬるいとか、水質がイマイチやとかいろいろ言う人もおるやんか。でも、基本的にはどんな場所でも気持ち良くなろうとするヤツが本物。温冷浴するにしても、ちょっとぬるいなら長めに浸かって、水風呂の時間を短くしたらええねん。気持ち良くなる方法なんか、いくらでもあるから。ほんまに銭湯好きなヤツは、その瞬間をマジで楽しもうとしてるから目がちゃうんよ。

どんな場所でも気持ち良くなろうとするヤツが本物。まさしく銭湯へのリスペクトそのもの。

おすすめの銭湯もよく聞かれるけど、銭湯ごとに強みもあるし、一括りでは言えない。季節だったり、その日の気分とかでも変わってくるし。

これも、桶美さんが所有するペイントアーティスト・ESOWの原画。この水風呂の場所、分かる人には分かると思います。

今日の話を聞いてると、その真意も少し分かった気がします。

気持ち良くなれる選択肢が山ほどあって、しかも大体がワンコインで入れる銭湯って、ほんまに世界で誇れる日本の文化。海外にはスパもあるけど高いし、水質も日本とは全然違う。海外からの観光客とか、伏見の酒蔵に行って日本の水に感動してるけど、その近所の銭湯に行ったらその水を全身で感じることができまっせと言いたいもん。ちなみに酒蔵の近くにある地下水かけ流しの銭湯の水質はマジでヤバいから、機会あればぜひ入ってもらいたいわ。

日本の銭湯文化、奥深いっす。最近はサウナがブームとなり、銭湯もブームになってますが、その現状について想うことは？

正直、銭湯がブームになる日が来るとは思ってもなかった。繋がり目的とかチャラチャラしたヤツが増えてるのも事実やけど、中にはきっちり筋を通してくる20代の若いヤツらもおるから。僕のことを「師匠！」って言うくせに、呼び出して送迎させて足軽みたいに扱うけどな（笑）。でも、銭湯が持つトラディショナルな良さを理解して、ハマってくれてるのはうれしいよ。

足軽扱いって（笑）。この先、桶美さん自身の何か大きな目標とかってあるんですか？

銭湯に行ってるのは、自分が気持ち良くなりたいから。それ以上でもそれ以下でもないねん。実は僕の中での最大の目標があって、今はまだ車の運転ができてるからいろんな銭湯に行けてるけど、もし運転できなくなった時のために、近所に銭湯を何軒かは残しておきたいんよ。じゃないと、マジで終わってまう。ガマンできへんくらい銭湯が好きで、潰れてもらったら困るからみんなに広めてるだけ。銭湯は都心やのにあれだけ広い土地があって、マンション建てた方が絶対儲かるのに、毎日僕らみたいなヤツのために風呂を沸かしてくれてるねんで。そんなん絶対に潰したらあかんやん。

その想いが熱すぎるし、とは言え、桶美さんのやってることは簡単じゃないですけどね。

キレイゴトちゃうんよ、かっこええ言葉なんか出―へんで。じいさんになって足がヤバくなっても、近所に『末広温泉』があったら最高！みたいな。これで生きていけるわーってなるはず。サーフィンとかゴルフとか、誰しもがいろんな趣味を持ってると思うけど、80歳になっても90歳になっても、なんとか歩けてたら死ぬまで楽しめるんが銭湯ちゃうかなと。だから、とりあえず今日も誰か誘って銭湯行くんよ。自分のために（笑）。これは、マジやから。