コラージュは人生とリンクする。コラージュアーティスト・ASOTAさんが、挫折と選択を繰り返して見つけた、いつでも心に“遊び”を持つ生き方。

正解のないパズルのように、紙片を重ね合わせて生まれる奇跡のような偶然。自らの作品作りをそう語るコラージュアーティストのASOTA(あそた)さん。10代でのめり込んだスケートボードカルチャーから、自分の表現を探してたどり着いたコラージュアートは、幻想的でどこかドリーミーな世界観が魅力的。スケートボードと映像、挫折と再生。幾度となく大きな選択を重ね、がむしゃらに走り続けてきた20代。30代になって気づいたことは「コラージュと人生は同じ」ということ。しっかりキメるところはキメるけど、心に“遊び”を忘れない。ASOTAさんの人生哲学から、今をより良く生きるための秘訣を学びました。

コラージュは奇跡に近いような偶然。環境を用意して、その瞬間を待つ。

自宅にお邪魔させてもらってのインタビューですが、普段はここで制作作業をしてるんですか?

そうですね。素材をカットする時はサッカーの試合やYouTubeを観ながらやったり。好きな音楽を聴いてリラックスしながら作品を作ってます。最近は日中は外でガッツリ働いてるので、制作作業の時間も限られていて。

どんな生活リズムなんですか?

日中、仕事に行かなければいけない時間は決まっていて、そこを崩すわけにはいかないので、仕事と制作がうまく好循環になるように生活リズムを工夫しています。朝早く起きて制作してから仕事に向かったり、夜は軽めにしてしっかり睡眠を取ったり。できるだけ良い状態で制作と仕事を両立できるように心がけていますね。土曜日はフリーにしていて、遊ぶかスケボーするか制作するか、という感じです。

今年の3月19日から4月23日まで心斎橋PARCOで行われたPARCO Wall Gallery SHINSAIBASHI『ART ON DECKS ~滑走絵~』への出展作品。

めちゃめちゃ規則正しい生活してますね。

これまでは規則正しい生活とかルーティンみたいなのが苦手だったんですけど、意外と自分に合ってたみたいで(笑)

制作の進め方も、完成に向かってカッチリと設計図を描いて進めるんですか?

コラージュって絵を描くわけじゃないから、正解のないパズルをやっている感覚なんですよ。だから、実際に切って置いてみないと作品の世界観に合うかわからない。それがどんどん積み重なっていくと、思いもよらない面白い世界が出来上がるんですよね。

じゃあ、ある意味で偶然性も作品に込められていると。

そうですね。でも全くの偶然ってわけでもなくて、コントロールされた中での偶然というか。構成やパーツがバチっとハマる「奇跡に近いような偶然」を生み出せる環境を用意して、あとはその瞬間を待つ、みたいな。だから、作品に使う素材はすごく整理するようになりました。

「Sea」「Bird」「After Dark」といった具合に素材ごとにファイリングされている。

すごい数の素材ですね!そして整理整頓されてる。

本屋で買った1冊の本が切り取ったページになり、さらに切り抜かれて素材になるんです。たとえば「海」をテーマに作りたいと思ったときに、本からだと素材を探すだけでも労力がデカくて。なるべくストレスなく制作できるように、自分が一番楽しめる環境を作ることにフォーカスしてます。でも、わざとちょっとぐちゃっとした部分も残しておく。そうすると、思いがけない瞬間に「あ、この組み合わせめっちゃいいじゃん!」ってなるんですよ。

素材のソースは古本からで、海外の雑誌や写真集が多い。

まさに偶然が生まれる場所を作って待つ、ですね。アナログでのコラージュにこだわるのはなぜですか?

アナログこそ至高、とかは全然思ってなくて。小さい頃からモノづくりが好きだったので、自分の手で触れられる感触があるものが好きなだけなんです。デジタルだと素材は無限に引っ張ってこれるし拡大縮小も自在だけど、モニターやマウスというツールを1つ挟むことで、どこか思い通りにいかない部分もある。アナログっていう制約を課すことで、表現としての面白みが増すと思ってます。制約があるから面白いっていうのは、スケートボードとも同じかもですね。

1ミリ以下の細かさでパーツを切り出すこともあるカッティング作業。
スケートカルチャーが、自分の表現を拡張していった。
1234
Profile

ASOTA(あそた)

1995年神奈川県葉山町生まれ、大阪在住。16歳でスケートボードの映像制作を始め、映像作家として創作活動を開始。19歳の頃、地元逗子市のスケートショップ UNOWN で、スケートデッキのグリップ面にコラージュを施したことをきっかけに、アナログコラージュの制作を始める。
スケートビデオの編集を通して培った、異なる断片をつなぎ合わせることで、想像していなかった新たな世界を立ち上げる感覚。それはやがて映像からコラージュへと受け継がれ、現在の制作の根幹となっている。
古書や雑誌などから見つけた写真や印刷物を、拡大・縮小することなく本来のスケールのまま切り取り、緻密なカットワークによって組み合わせる。一見すると自然に調和しながらも、細部には矛盾や齟齬が潜み、「しっくりくるのに、どこか辻褄が合わない」独自の視覚世界を構築している。
その背景にあるのは、自身の名前「遊太」にも由来し、人生の軸として大切にしてきた「遊び」の感覚である。スケートボードのためにつくられていない街の風景からスポットを見つけ、そこに新たな可能性を想像するように、既存のイメージの中から断片を発見し、組み合わせることで、現実から少しだけ離れた世界を立ち上げていく。
ここでいう「遊び」とは、単なる娯楽ではなく、日常の中にある可能性に気づくための余白や余裕でもある。現実と想像の世界を行き来しながら作品をつくることで、鑑賞者にもその感覚を手渡し、日常へ戻ったときに、いつもの世界をもう一度違った視点から「遊ぶ」きっかけを生み出すことを目指している。

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE