私を好きでいてくれる人のために、ぜったい炎上したくない。SNS黎明期から活動する「よい子のための悪口メーカー」原田ちあきさんの現在地。


誰も悪口のイラストなんてやってないし、もしかしたら一番になれちゃうかも!と思って。失うものも何もなかったから、嫌われてもいいかなって。

初期から現在まで、原田さんの表現のスタイルはどのように変化していったのでしょうか?

最初に個展を開いた頃は、キャンバスにアクリル絵の具で大きめの作品を描いてました。当時は展示が面白くて。日本橋に亜蛮人(あばんど)って、自由にさせてもらえるギャラリーがあったんです、天井抜いてもいいよとか、砂利敷いてもいいよとか。だから、壁を黒く塗らせてもらったり、いろんなことをさせてもらって。でも、だんだんインターネットでやるほうが楽しくなって。それこそ、数増やしゲームみたいな。それにデジタルは、家でテレビとか見ながら描けるじゃないですか。

最初の頃は、どんな作品をアップしていたんですか?

ミリペンって細いペンで描いて、スキャナーで取り込んでました。色を塗るのが苦手だったのでモノクロのまま載せたり、一色だけ塗ったり。『ガロ』に憧れてたので、ガロっぽい絵をアップしたりもしてました。どんな絵がいいのか、どんなペースであげればいいのか、本当に時間だけはあったので、お金になるかどうかも考えずにやってました。

そこから、「毒のあるセリフと女の子」という作風には、どうやって行き着いたんですか?

20代前半は恋愛とか、家庭の事情とかで鬱屈としてる時期が長くて。あと、自分の才能の無さもですね。絵も演劇も下手くそで、仕事もコールセンター以外は全然ダメで。だから、なにかひとつでも特技が欲しくて、好きなこととか得意なものを書き出してみたんです。そしたら、自分は悪口を言うのがもしかしたら好きかもと気づいて。悪口を題材にしてみようと思ったのが最初です。

鬱屈した気持ちを吐き出してみようかと。

当時のTwitterは、ほのぼのしたカップルとか親子とかの、素敵なイラストが流行ってたんですよ。誰も悪口のイラストなんてやってないし、もしかしたら一番になれちゃうかも!と思って。失うものも何もなかったから、嫌われてもいいかなって。

反応はどうでした?

予想以上に良かったです。その頃のSNSは、みんなもっと自分を隠して明るいものだけを共有する場だったから、こういう暗い気持ちを発信する場がなかったんですよね。最初は、私以外こんなこと思ってないだろうなと思ってアップしたんですけど、意外とみんな同じことを考えてるんだって3枚目くらいで気付いて。本当に嬉しかったです。友達ができたみたいな気持ちになって。自分の中の邪念をどんどんイラストにしていったら、ありがたいことにたくさん拡散してもらえるようになりました。

原田さんの書くセリフは本当に「私のことだ!」と思えるものばかりです。誰かの影響を受けたりしたルーツはあるんでしょうか?

子供の頃、家では漫画を禁止されてたんですけど、通ってたピアノ教室の本棚に楳図かずお先生の『漂流教室』と、吉田戦車先生の『伝染るんです』があったんです。この2作品がすごく好きで、漫画を読むためにピアノ教室に通ってました。

ちょっと変わったピアノ教室だったんですね。原田さんの作品はビビッドな色使いが印象的ですが、あの独特な色彩感覚はどこから生まれたものなんですか?

webで初めて連載を持たせてもらった時の担当さんに「Twitterは流れていっちゃうんで、色がないと読まないっすよ」って言われて。でも私、色が苦手だから、全部のコマを違う色で塗ったら、もう塗らなくていいって諦めてもらえるかなと思ったんです。1コマ目の人間の顔がピンク、2コマ目が青、3コマ目がピンク、4コマ目が赤とかやってたんですけど、なぜか止めてもらえなくて。2~3年連載させてもらったんですけど、最後その担当さんが辞めるときに、「原田さん、顔が全部違う色っていうの、やめたほうがいいかもしれないっす」って言われて(笑)。でもその期間にいろいろ試せたおかげで、色の組み合わせとか相性みたいなのは学べました。今はもう色塗りが好きですね。

それまでは私の絵を好きな人たちがフォローしてくれてたのが、おすすめとかで勝手に流れて、まさかの人に届いたりするようになって。
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Profile

原田ちあき

イラストレーター・漫画家・コラムニスト・京都芸術大学イラストレーション科非常勤講師。大阪府出身。ドロドロカラフルな画風で、誰の心の中にもあるマイナスな気持ちに焦点を当てた作品を得意としている。画業のほかに、映画・テレビ・ラジオ出演をはじめ、コラボカフェやアパレル、音楽分野などジャンルを越えて幅広く活動。Twitter黎明期から活動を始め、SNSの総フォロワー数は約26万人を誇る。2025年大阪・関西万博では「Co-MYAKU‘25」に参加し、会場の壁画を担当。「面白いことは何でもやってみたい、誰かに喜んでもらえるなら何でもやりたい」

https://asobisystem.com/talent/chiakiharada/

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