39組の作品が京町堀を彩る、現代アートまみれの3日間!見どころが満載すぎた、第2回目の「メタセコイア・キョウマチボリ・アートフェア」
絵って1人よがりだなって、自分1人で描いているときは思っていて。絵を通してどうやったら他人とつながれるか、その方法を模索したいなと思いました。(海と梨/時任梨乃さん)
最後は、ZIZOでライブペインティングをされていた「海と梨」さん。時任海斗さんと時任梨乃さんの2人の画家によるアートユニットで、2人同時に筆をとり、同じ画面に即興的に描くスタイルで絵画を制作されています。そのスタイルも個性的ですが、さらに驚いたのが絵を描く道具。この日はソードとトリケラトプスで描いておられて、あまりに気になったのでお話を伺いました。(ちなみに前日はソフトボールと長い棒で描いていたそうです)。
道具のセレクトはどうやって決めるんですか?
梨乃さん:今日はランダムに選んでるんですけど、会場のお客さまに選んでもらうこともあるんです。“場”とも協調したいっていうのもあって、飲食店だったらしゃもじとか、お客さまに選んでもらいます。お客さまに選んでもらうことで、自分たちだけの作品じゃなくなるっていうか。
その場にあるものだったり、お客さんの選んだもので描くから、ご自身たちも思いもよらない作品になると。
海斗さん:あとは、その場の明るさだったり、ライブと合わせる場合は曲の長さとかにも左右されますよね。バンドだったりダンサーだったり、他の表現者と一緒にやることもあって、やっぱり直接ではなくても影響は受けるなって。
1人より2人、さらに他者からの影響も受けながら、作品を作られるスタイルなんですね。
海斗さん:そうですね、他者を受け入れるみたいな。
梨乃さん:2人で描くときも、「お互いを受け入れる」っていうことだけ、決めています。
2人またはそれ以上で描くというスタイルには、どんな理由があるんですか?
梨乃さん:絵って1人よがりだなって、自分1人で描いているときは思っていて。絵を通してどうやったら他人とつながれるか、その方法を模索したいなと思いました。いろいろなつながり方があるんだなって。
1人で描くと、どうしても「ああしよう、こうしよう」って思ってしまうんですけど、でも2人で描くと、想像しないゴールにたどり着くのが面白いところだなって思います。
しかも、道具も自分たちで選ばないものを使ったり、その場のものとリンクしたり。アトリエとかで制作するとは、また全然違うものですか?
海斗さん:そうですね、違いますね。ダンサーさんと一緒にライブパフォーマンスをしたときは、やっぱりダンサーさんを見ていると動いている人を描きたくなったり、ダンサーさんも動きの中で絵具を手に付けて描いてくれたりとか。これはわりと直接的なパターンですけど、場や人の影響は受けますね。
梨乃さん:ライブペイントをよくするんですけど、展示に合わせてしてくださいって言われることが多いので、ファッションビルだったり百貨店だったり、場の感じも取り入れつつ、ですね。
どこで誰と何を使って描くかによって作品は変わっていくんですね。
梨乃さん:小さい子どもたちと一緒に、ワークショップ形式で大きな人の顔を描いたり。2人以上でひとつの画面の調和を目指して描くっていうのもやっています。2人だったり、それ以上で制作するのが、海と梨です。
PROFILE
海と梨
ペインターの時任海斗と時任梨乃からなるアーティストチーム。2019年結成され、絵画表現を中心に、作詩や映像、音楽などを柔らかく交差させながらパフォーマンスも行う。
Instagram:@umito_nasi