やりたいことは、みんなで!新しい時代のコミュニティスペース『chignitta』を立ち上げた谷口さんに、今ここで生まれてること、これからの動きについてたっぷり話してもらいました。

西のアートシーンを30年に渡って盛り上げ続け、アーティストの地位を底上げしてきた立役者の谷口純弘さんがFM802から独立し、以前から仕事仲間だった笹貫淳子さんと『chignitta』を立ち上げたのが2021年6月。走り始めて数ヶ月たった今、この場所からどんなことが生まれ、どんな動きが起きてるのか?そもそも、築き上げてきた立場を離れ、なぜ独立という大きな決断をしたのか?58歳になっても熱い想いがフツフツと煮えたぎってる谷口さんに、独立の経緯からコミュニティスペース『chignitta』のこと、これからのことなどをいろいろ聞いてきました!アーティストや何かを表現してる人だけじゃなくて、やりたいことを実現するためにみんなでスタートラインに立てば、何度でも走り出せる。そんな谷口さんの生き様が、垣間見えてきます。

本腰入れて『chignitta』を立ち上げようとした時に、「ちょっと待てよ。理想を語ってる自分は会社員やん。ラクしてるやん。リスクないやん」と思って。だったら、僕自身も独立してやった方がリアリティも説得力もあるなと。

『digmeout』や『UNKNOWN ASIA』のプロデューサーとして若手アーティストのサポートに奔走してきた谷口さんが、なぜ今このタイミングで『chignitta』を立ち上げたのか?まずはその経緯から教えてください!

元々コピーライターをしていて、イラストレーションやグラフィックデザインが専門だったんです。現代美術やアートの素養はそこまで持ってなかったけど、転職したFM802でプロモーションに従事するようになり、若手アーティストと関わるようになったのが全ての始まり。新人だったり、世の中的にはまだ認知されてないアーティストでも、僕らが「イイやん!」と思った人をフックアップし、広告に起用したりしながらサポートしてきた。それが、若手アーティスト発掘プロジェクトの『digmeout』でした。

1990年からプロデューサーとして関わられてましたよね。『digmeout』と言えば、関西の若手アーティストの登竜門的な存在。毎回どんなアーティストが出てくるのか、すごく楽しみでした。

僕らは個人で頑張ってるアーティストと30年に渡って向き合い続けてきたから、彼らの悩みや苦労もめちゃくちゃ知ってる。もちろん、有名になっていく人もたくさんいたけど、個人でサヴァイブしていくのはやっぱり大変。でもね、みんなで助け合いながら成長していくプロセスを見てきたので、アーティストだけに関わらず、個人で何かを表現してる人たちとも手を組めばいろんなものを生み出せるんじゃないかと思ってたんですよ。

個人の力だけではなく、それぞれの力を相乗させるチームとしてサヴァイブしていくことで、新たな道が切り拓けると。

そうですね。それに、コロナの影響も大きかった。リアルの場が失われる反面、オンラインでのコミュニケーションやクラウドファンディングといったフォーマットが普及してきたので、それをうまく活用した環境を用意できないかなと。シェアできるスペースを作ってみんなで使ったり、ワークショップしたり、集まってアイデアを出し合ったり。そんなリアルとオンラインでアーティストたちがコミュニケートして、おもしろいことを創造できる場を作りたいと思ってたんですよ。

谷口さんと共に『chignitta』を主宰する笹貫淳子さんは、谷口さんも絶大な信頼を置く人物。

それで『chignitta』を立ち上げることに?

まぁ、そうなんですけど…。僕はいつも「あんなことしたい!こんなことしたい!」とアイデアや想いをバンバン投げかけるタイプで、この話をしてた時に『chignitta』に参画してくれることになる相方の笹貫に、「それ、自分でやったらいいやん!」と言われて…(笑)

笹貫さんが背中を押してくれたんですね。

それで本腰入れて実現していこうと思った時に、「ちょっと待てよ。理想を語ってる自分は会社員やん。ラクしてるやん。リスクないやん」と。それはどうかなと思ったし、そういう苦労はしてこなかったから、いろんなものを背負う環境に身を置いてどうなるか実験するのもアリかなと。それに、僕自身もインディになった方がリアリティも説得力もありますからね。

谷口さん自身がインディとして同じ立ち位置になることで、周囲の人も想いの強さをいっそう感じられると思いますが、大きな決断ですよね。

もう58歳やからね。後2年で定年やから待っても良かったけど、このタイミングも縁。想いもどんどん広がったし、自分のモチベーションが間に合わないと思って。自分のやりたいことを実験的にやってみることで、アーティストのみんなも「何かできるかもしれない!」って感じてもらえたら本望だし、「こんなんできるで!」という実例に自分がなるのが大事やなと。それと、昨年に同年代の友人が何人も亡くなってしまって…。僕もええ歳やし、早く動かないとヤバいなと感じたのも正直ある。

身をもって体現する。起業というカタチを通じての、これも表現ですよね。やりたいことを実現するには年齢なんか関係ないとはいえ、確かに動ける体があってこそですし。

それに、想いやいろんなアイデアを発信すれば、サポートしてくれる人がいることも見せたかった。『chignitta space』をオープンするためにクラウドファンディングを活用したんですが、400人の方にサポートしてもらえたんですよ。この場所ができる前に400人のサポーターがいるってこと自体スゴイこと。「おもしろい!」と思ってくれて、僕らの夢や理想に共感してもらえたことは、めちゃくちゃ励みにもなった。だから、そのプロセスも共有して、「自分もできるかもしれない!」ってことも示したかったんですよ。

参考になるだけじゃなく、『chignitta』を立ち上げたお二人の行動も、誰かの背中を押すことになると。ちなみに『chignitta』とは、どういう意味なんですか?

谷口の逆さ読みですよ。かっこいい名前はいくらでも考えつくけど、類似も多いしね。昔の業界っぽい逆さ読みもええなと。それと、「逆立ちする勢いで頑張ります!」っていう覚悟と想いも込めて(笑)

『chignitta』が発信するメッセージの一つに、「君の自己実現をみんなでやろう」というのがあるんです。この場所でみんなと助け合いながら何かを実現していくこともそうなんだけど、アーティストに会わせたい人を呼んだりする日々のアクションも、自己実現の一つだなと思ってます。
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Profile

谷口 純弘

1963年生まれ。京都府出身。デザイン会社のコピーライターを経て、FM802に入社。1990年より若手アーティスト発掘プロジェクト『digmeout』のプロデューサーとして、数々の企業プロモーションやアートブックの発行、国内外での展覧会を手がけるなど「街」と「アート」と「人」をつなぎながら多岐に渡って活動。2015年にはプロデューサーとして『UNKNOWN ASIA』を発足してアジア各国のアーティストと日本をつなぎ、各方面で注目される国際アートフェアへと育て上げる。2021年6月にFM802を退社し、クリエイティブコーディネイターの笹貫淳子と『chignitta』を設立。アーティストやさまざまな表現者たちの自己実現のために奔走している。

https://chignitta.com/

Shop Data

chignitta

大阪府大阪市西区京町堀1-13-21
営業時間/13:00〜20:00
定休日/月曜

https://chignitta.com/

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