【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.9】 もう、この道を極めていくしかない。韻を踏んで一歩を踏み出し続ける、HIDADDYさんの俺 is HIP HOPな人生。


HIP HOPって何?ラップって何?と聞かれたら、俺なんですよ。俺がHIP HOPであり、俺の歌がラップなんです。

韻踏合組合、HEAD BANGERZ、そしてソロとしてラップの道を極めるために邁進してきたHIDADDYさんですが、ラッパーとして転機になった出来事って何かありますか?個人的には2005年から2008年のUMB大阪予選4連覇とか、本戦での活躍がそうかなと勝手に思ったりはしてるんですが。

確かにUMBで名前も売れたし、ラッパーとしての状況は大きく変わったかもしれません。UMBに合わせて楽曲をリリースしたり、本戦のタイミングでアルバムも作ったりしてましたからね。ただ、俺自身としては、そこまで勝ち負けにこだわってる感じじゃなかったんですよ。

というのは?

フリースタイルやMCバトルって、ほんまに運とスキルとタイミングの全てが重なって勝てるもの。金あってスキルもあって体調が万全でも、負ける時は負けるんですよ。

なるほど。そんなフリースタイルやMCバトルの中で、HIDADDYさんが絶対的にこだわってることは何でしょうか?

バトルとしての勝ち負けよりも、自分に負けないってこと。体中にある全てのものを出し尽くすことなんです。だから、全てを出し尽くして負けたとしても、その時はちゃんと評価もされるし、見返りもある。何も目立たず、印象にも残らず優勝するよりも、1試合で伝説を作る気持ちで挑んでますね。これは江頭イズムですが、1クールのレギュラーよりも1回の伝説みたいな。

例えば2006年のUMB本戦1回戦のFORKさんとのバトルは、延長に次ぐ延長で、各所でも歴史に残る伝説の試合って言われてますもんね。今見てもやっぱりエグいバトルですし。大阪はもちろんですが、日本のシーンにも大きな影響を与えてきたそんなHIDADDYさんの店がアメ村にあるってことで、たくさんの若いラッパーたちが集まって来たんじゃないでしょうか?

ラッパーだけじゃなく、ただただラップが好きな奴とか、いろんな年代のお客さんがいますけど、若い子たちも増えましたね。『一二三屋』でHIP HOPに触れることで、別に服を買わなくてもイベントに来てくれるようになったり、ラッパーだったらイベントに出演してもらったり。『一二三屋』を通じて、お互いが利用し合えたらいいなと思ってます。だから俺自身も、あらゆる可能性に期待してるんですよね。

健全な利害関係って、いいですよね。ちなみにHIDADDYさんに教えを受けたラッパーの方々は、“HIDA塾生”と名乗ったりしてますが、若手の育成についてはどんな考えを?

別にそこまで意識はしてなくて、さっき言ったみたいに利用し合えたらいいなと。ただ、ラップが好きで努力して自分を追い込んでる奴は、ちゃんとキャッチアップしてやりたいなと思ってます。まぁ、努力は1人でするもんやけど、1人じゃないでって感じでね。HIDA塾も誰かが勝手に言い出したもので、作った覚えなんてないですから。

それがちょうどいい距離感なのかもしれませんね。

俺から何か受けた奴が勝手に言ってるだけやけど、ドンフレックスで知り合って『バラカ』にラップしに来てた遊戯がHIDA塾1期生と言われてて、GAZZILA、22(ニッツ)を経て、3期生はYUZENか?って感じ。

でも、みんな活躍してますし、照れくさいけどうれしかったりもします?

やっぱりうれしいですよ。確か2013年やったかなぁ、歩歩って奴が京都のUMBの予選を優勝した時に、ウイニングラップで「レペゼンHIDA塾生!」って言うててね。それを聞いた瞬間は、思わずシビレました。

それはグッときますよね。HIDA塾生の活躍を見る喜びもありつつ、HIDADDYさんがラッパーとして活動してきた中で大切にしてるものがあれば教えていただければと。

そうですね、これはGAZZILAのリリックを引用させてください。「金じゃねぇ何か掴むため 掴むまでに金がいるだけ」ってことです。

めちゃ深い。活動していくには先立つものがいるけど、得るものは金ではないと。

好きに楽しんでYouTubeにアップするだけなら別にいいんですけど、本気で活動するならやっぱり金は必要になってきますからね。そして、その先で掴むものは人それぞれの何か。

こちらは、HIDADDYさんの2枚目となるソロアルバム「FUNKY DADDY」。

なるほど。続けていく難しさ、そして覚悟の必要性も込められたリリックですね。例えばですが、HIDADDYさんにとっての、金じゃねぇ何かとは?それはやっぱり生きてく上での核になるようなものなんでしょうか。

人ですね。金とか家とか車よりも、今まで出会ってきた人が俺の財産なんですよ。会社とか上辺だけの関係で知り合ってるんじゃなくて、一緒にラップしてライブして、酒飲んで笑って、そんな奴らの連絡先がこの携帯の中にはいっぱい入ってる。最近は若手も増えてるから繋がってない子もいるけど、日本にいる大体のラッパーとは連絡取れますからね。HIP HOP 104できるんちゃうかなと(笑)。昔は西のHIDADDY、東のダースレイダーって言われてたんですよ。何かあれば、こちらまで的な感じで。

それはほんまに財産ですよね。出会って築いてきた人との関係や時間って、金じゃ買えないものだし。そして、そこにはHIDADDYさんの人徳もあるんかなぁと思います!ラッパーとしての活動はこれからも続いていきますが、HIDADDYさんの目標を聞かせてください!

とりあえず『一二三屋』が20周年を迎えるので、2024年5月25日(土)にアメ村のSUNHALLで入場無料のイベントします!俺のへそくりを全部注ぎ込んで!!

それはヤバいです。HIDADDYさんのラップ人生と『一二三屋』がクロスオーバーして揃い踏みするなんて、また伝説の日になりそう。しかも入場無料って、太っ腹すぎます。

俺のへそくりでやるんで、参加アーティストにはその辺も汲み取ってもらえたら。正規のギャラで言うてこんといてよと(笑)。この20周年はジャパニーズHIP HOPを中心にやるつもりなんで、みんなも楽しみにしてもらえたらと思います!!

めちゃくちゃ楽しみです!では最後に、この質問をさせてください。愚問かもしれませんが、HIDADDYさんにとってラップとは!?

そうですね、体の一部みたいなもんかな。HIP HOPって何かなと考えた時、ラップ、ダンス、DJ、グラフィティという4大要素があるけど、スケートボードからもHIP HOPは感じられるじゃないですか。ZORNのリリックにある「洗濯物干すのもHIP HOP」とか、いろんなところで感じることはできると思います。でもね、感じるんじゃなくて、俺はHIP HOPを感じさせてるんですよ。だから、HIP HOPって何?ラップって何?と聞かれたら、俺なんですよ。俺がHIP HOPであり、俺の歌がラップなんです。


<HIDADDYさんのお気に入りのスポット>

大阪市内の銭湯
元々は清水湯にロッカー持ってたけど、今はなんば温泉(大阪市浪速区難波中)、ヘルシー温泉タテバ(大阪市浪速区桜川)、三光湯(大阪市大正区三軒家東)、JOY大正(大阪市大正区平尾)の4つをルーティーン。俺は「ラッパー?ダンサー?アッパー?ダウナー?いやいや、サウナー!」って言うくらいのサウナ好きで、週3〜4日ペースで通ってます。「すげえサウナ好き」って言葉は頭文字がトリプルSで、温泉マークにもなるから『一二三屋』のメンバーにこれで曲作ろうと提案したんですが、「1人でやってください」と言われました(笑)。だから、サウナ好きのラッパーと楽曲制作したいなと密かに企んでます!


<INFORMATION>

一二三屋 20th ANNIVERSARY

日程: 2024年5月25日(土)
場所: SUNHALL(大阪市中央区西心斎橋2-9-28 ビッグステップサウスB2F)
時間: OPEN/START 17:00〜
入場: 無料(別途ドリンク代 ¥600)

LIVE: ジャパニーズマゲニーズ、茂千代、伝説建設(SILENT KILLA JOINT/MOL53/CIMA)、J-REXXX、TAKABO、AND MORE!!

問い合わせ: 一二三屋(TEL 06-6245-4646/12:38〜20:00)
https://www.hifumiya.com/
Instagram: @hifumiya

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Profile

HIDADDY

本名は肥田直幸。1979年3月15日生まれ、豊中市出身。韻踏合組合やHEAD BANGERZのメンバーとしてはもちろん、ソロ活動でもジャパニーズHIP HOPの黎明期から活躍し、圧倒的な押韻スタイルでシーンを牽引。自身がオーナーを務める『一二三屋』は、ラッパーの、ラッパーによるラッパーのための店として人気を博し、大阪をはじめ全国からファンが集まる。サウナーでもあり、4児の父でもあり、指スケ20年選手でもあり、アメ村の村人でもある。吸ってるタバコはecho。

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