自らのかっこよさを自らの手で茶化していく、「かずき山盛り」のシャバくないスタイル。


コロナになって、まわりのバンドがどんどんやめていって。それシャバいなと思って(イサム)

学校のイベントでライブをやって、それからの活動遍歴を教えてもらってもいいですか?

モリヲ:学外で活動しはじめたのが2019年7月で、でも2020年3月ぐらいからコロナが流行り出して、あんまりライブができなくなったんですよ。でもそのタイミングでたまたま、YouTuberがバンドを取り上げてくれる企画に採用されて、それの反響がけっこうあったんです。

イサム:まあでもネットでは反応あったんですけど、ライブがそもそもできへんから、集客にはつながらんかったんですよね。

活動をはじめた時期とコロナの流行がけっこうかぶってるんですね。

モリヲ: YouTubeで紹介されたのが3月で、でも6月ぐらいまで一切ライブができなくて。しょうがないから、無観客の配信ライブとかやってました。

アズマ:無観客ライブって恥ずかしいんすよ、受けてるか受けてないかわからへんから。

モリヲ:お客さんの声とか全くないのに、アズマはハゲづらみたいなん被ってイエーイってやって。実際にもレスポンスないし、コメント欄も反応ないし。手のひらの絵文字1個か2個みたいな。

アズマ:地獄絵図でしたね。

いつ頃からライブ活動は再開されたんですか?

モリヲ:8月にアルバム出すと当時に、自主企画をスタートさせた感じですね。

アズマ:でもまだその時期って、150人ぐらいのキャパに2~30人しか入れられないんですよ。ライブハウスに椅子置いて、発表会みたいやったな。

イサム:ステージの前に透明のビニールみたいなん張ってあったり、扉を閉めた外にスピーカーだけ出してあったり。なんか変な感じでやってましたね。

ライブハウスはどこも大変そうでしたもんね。

モリヲ:そういうライブが11月か12月ぐらいまで続いたんですけど、その時期にいま所属してるレーベルの社長からDMがきたんです。最近話題を耳にして気になってました、ライブも何回か見ましたって。

イサム:TRUST RECORDSていうんですけど、僕そこのバンドめっちゃ好きやったんで、入りたかったんですよ。

アズマ:レーベルの人と会って、入れてくださいよ~みたいな感じで、じゃあいいよって、ぬるっと入った感じやったな。

イサム:で、そこからアルバム出して、今に至るって感じです。

コロナ禍で大変だった時期に、苦労しながらライブ活動をやろうと思った理由はなんだったんですか?

イサム:結構みんなやめていってたんですよ。それシャバいなって思って。「俺ら音楽でやって行くんで!」みたいなこと言うてたやつが、コロナなって「やめます」みたいな。それシャバってなって。

アズマ:ほんまに、周りはみんなやめましたね。

イサム:逆いきたなるんで。あんまシャバなりたくないなって思ってやってたら、今に至るっていう。

シャバくなりたくなかったと…。

モリヲ:わかる言葉で言うと、イサム的にはみんながやめていってる時に活動をしてたら、もっと近道できるというか、みんな止まってる間がチャンスやと思ったみたいで。私は人数制限とか外出自粛とかやし反対してたんですけど、イサムの強行突破でやることになって。でも結果的にはそれがプラスにつながった感じですね。

大変ではあったけど、そこが逆にチャンスになったというか。

アズマ:確かに、目につきやすかったかも。分母が減ったから。

モリヲ:コロナじゃなかったらもっと人呼べたのにって思いもあったけど、人がやってない時期やったから、うまく潜り込めたってのもあるかもしれない。

そういう時期でも活動を続けていたからこそ、レーベルの人に目にも止まったわけですよね。

イサム:でも正直、コロナがこんなに長引くとは思ってなかったですけどね。半年ぐらいで終わるんかなと思ってた。僕めっちゃライブキッズやって、モッシュとかダイブとか好きで、なんならそれを見るためにバンド、ライブやりたいぜって感じやったから。でもコロナで全然それが見られずに、いつ見れるんやろっていうのがモチベーションでもありましたね。

モリヲ:コロナ禍でも続けてきたけど、いつまでも規制があるままやから、結局やめたって言うバンドも結構あったんで。

和歌山県紀道神社で行った、無観客配信ライブ。イサムが着ているTシャツには十字架のプリント。

これまでの間、みなさんはモチベーションを下げることなく続けてこられました?

アズマ:まあ、コロナ前からやってる人は下がるかもしれんけど、僕らガラガラからガラガラやから。別にコロナなくてもこれぐらいやったやろなって。

モリヲ:コロナ前からお客さん1人とかやったもんな。その1人も友達やし。

アズマ:あと、知らんおばちゃんとか。

そんな感じだったんですね。

モリヲ:活動始めた頃は、ほんまに変わった人がたまーに1人来るか来ないかぐらいの感じで。大勢のハコを経験してないままやったから、モチベーション下がることもなかったんかなと思います。

そこからレーベルに所属して、ライブに出る機会が増えてきたんですか?

モリヲ:そうですね。ライブの本数も月に5~6本になって、アニメのエンディングとかフェスとかも決まったり。メディアにも出してもらえるようになりました。

歌詞がつけられへんって言うから、「かもめのピーちゃんでええんちゃうん?」って言うたら、それや!!ってなって。(アズマ)

曲についてお聞きしたいんですけど、イサムさんは曲を作るに当たって、影響を受けたものってありますか?

イサム:まあ普通に言うと、ELLEGARDENとか。

モリヲ:なんでそこ嘘つくん?

イサム:いや、これほんまに中学の時とか聴いてた。あとはSHANKとかメロコア系。大学入ってから、インディーズのメロコアとかも聴き出して。それぐらいの頃から自分でも曲を作り出したんで。ルーツっていうとそんな感じになるんかな。

みなさん大学に入るまでに、何か音楽はやっておられたんですか?

イサム:高校2年からギターやってました。ベースは3年から。

アズマ:細かいな。

モリヲ:私は高校時代から、バンドでいつか飯を食えたらいいなと思ってました。

イサムさんはもともとはコピーをやってこられたのが、いきなりオリジナル曲って作れるものなんですか?

イサム:なんかいけたっすね。

モリヲ:でもほんまに初期は、ギターの空弾きに鼻歌みたいなんやったよな?

イサム:最初はギターと歌だけで、あとは何とかしてください!って感じやって。でもだんだんおもろなってきて凝りだして。

モリヲ:今はもう全部の楽器入れて作ってきますね。いつの間にかGarageBandを使いこなすようになって。

先輩からの情報によると、iPadで作曲されているそうですが、今もですか?

イサム:今もiPad。でもパソコンは買いました。まだモニターは買ってないけど。

モリヲ:意味ないやん。ようiPadでやるわ。

イサム:俺がいちばん使ってるんちゃう?iPadでGarageBand。

密着取材されていたテレビ「バズリズム」では、イサムさんは音楽の成績は1だったとお話しされてましたね。

イサム:そうですそうです、ありがとうございます。中学の音楽とか、歌のテストとかシャバいシャバいみたいな感じでずっと喋ってたんで、真面目に受けてなかったんですよ。あのとき真面目に受けてたら、もうちょっとええ大学いけたかもしれへんな。

じゃあ、音楽をちゃんと勉強したとかじゃなくて?

イサム:じゃないっすね。でも音楽いっぱい聴いてたんで、ある程度のセオリーみたいなんはあるじゃないですか。そういうのは勝手にしみ込んでたんかなって。

みなさんは最初にイサムさんの曲を聴いたとき、どうでした?

アズマ:けっこうびっくりしました、メロディとかちゃんとしてるやんって。

モリヲ:スタジオで楽器持ってやってみたら、ああ意外とカタチになったなみたいな感じでしたね。

作るときは、歌詞と曲、どちらが先ですか?

イサム:あんまり考えたことないな…。なんやろ。

モリヲ:アズマがおもしろそうなワードをイサムに送って、歌詞のヒントをあげるみたいなのはあるやん。

イサム:そやな、ワードいっこ思いついて、そこから歌詞と曲、一緒にドーン!みたいな感じかな。

アズマ:ドーン!ってなんやねん。

イサム:でも、歌詞と曲はほぼ一緒。自分のなかで、サビはこの音でこの言葉みたいな。

「かもめのピーちゃん」とか、どこから出て来るんかな?って気になりました。

イサム:あれはまたちょっと特殊で…。

アズマ:なんか一時期、イサムが「かもめのピーちゃん」て言葉にハマってて。アルバムのタイトル何にする?て聞いたら、かもめのピーちゃんがええんちゃう?って。ええわけないのに。何聞いてもかもめのピーちゃんて言うんですよ。

イサム:なんか半年ぐらいハマってたな。

アズマ:それで、メロディできたけど歌詞がつけられへんって言うてきて、それこそ、かもめのピーちゃんでええんちゃうん?って言うたら、それや!!ってなって。

それで歌詞が、かもめのピーちゃんに。YouTubeのコメント欄でも、「曲のかっこよさをサビの歌詞で台無しにしていく感じ好き」みたいによく書かれてますよね。

イサム:よう言われますね。自分でもちょっと思います、あ、もったいなって。

モリヲ:思うんや!その感覚はもってるんや。

イサム:このままいきたいなって。

でもあえてそれはしない?

イサム:しない。岡本太郎さんみたいな感じですね。芸術です。

どんなときに、曲が思い浮かぶんですか?

イサム:なんやろ…。でも曲を作るってなって考えてて、曲の途中でラジコン走らせたらおもろいんちゃうん?そや、「ドライブアゴーゴー!!」やみたいな。

曲が先じゃなくて、ライブでラジコンを走らせることが先?

イサム:そうです。

そういえば、かもめのピーちゃんも飛ぶし、フェイスパックもするし、衣装も着替えるし、すごい小道具を使いますよね。あのスタイルは最初からですか?

アズマ:最初からですね。でも当時は身内でやってたんで、「琉球サンライズ」の衣装もイサムじゃなくて、人に着せてたんですよ。ラジコンも誰かステージに上げて操作してもらって。でも外でやるようになって、自分たちでやるしかなくなって。

イサム:最初マジで衣装着るん嫌やったもんな。

アズマ:でもだいぶこなれてきてるで。

例えば「ちんかすだらけの運動会」なんて、ほんまはコーラスしたくなかったですし。(モリヲ)
123
Profile

かずき山盛り

イサム(Ba,Vo)、アズマ(Gt)、モリヲ(Dr,Cho)からなる大阪発スリーピースバンド。2019年に1stデモ「琉球サンライズ」、1st EP『暴走天使』、2020年に1stアルバム『CRかずき山盛り』を発表。シングル「かもめのピーちゃん/バイキング行く前におかしたべるなよ」を経て、2021年のミニ・アルバム『R.I.P.かずき山盛り』でデビュー。2022年7月TVアニメ「KJファイル」エンディングテーマ「怪獣ファイヤ」リリース。
TRUST RECORDS / LD&K RECORDS 所属

YouTubeチャンネル:かずき山盛り

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE