梅田サイファーがニューアルバム『ビッグジャンボジェット』をリリース!メンバーのR-指定、KOPERU、KennyDoesが語る、本気でラップが好きなヤツらとだからできること。


それぞれが日本のヒップホップシーンと日々戦ってるけど、やっぱり一番刺激をもらってるのがこのメンバー。それに、一番振り向かせたかったり、一番悔しがらせたいのもそう。

まさにメンバー全員の個性やスタイルがテンコ盛りのアルバムですが、お三方の推し曲ってありますか?

R-指定:それよく聞かれるんですが、ほんまに日によって変わるんですよ。だから、日によって変わるくらい全曲が好き(笑)。今日も東京から新幹線で一通り聞いてたけど、あくまでも今日の推し曲として言うならば、「始まりも終わりも」かな。

KOPERU:最後のやつね。

R-指定:梅田サイファーの初期メンバーであるKZとふぁんくの曲。ほんまに年齢とかは関係ないけど、兄貴的な存在の2人なんですよ。俺らのラップの根底に流れるものを作った2人が、アルバムの最後にこの曲で締めるっていうのがめちゃくちゃ感慨深くて。俺らが10代の頃から変わらずに思ってるラップの大切な部分を、まさにギュッと詰め込んだ曲になってますね。

梅田サイファーとしてのルーツが、この曲に凝縮されてるんですね。ちなみに、聴いてる時の気分によっても推し曲は違う?

KennyDoes:全然違いますね。僕の場合、強い気持ちになりたいって思う時は『無敵ライクセブンティーン』とか『レインメーカー』がしっくりくる。後は『HEADSHOT pt.2』とかね。

KOPERU:俺は『リズム天下一武道会』かな。ほんま二郎系みたいに全部のせ的な、スキル増し増し状態やから。

KennyDoes:あれは純粋にラップを楽しんでもらう曲ですもんね。

メンバーの個性とスタイルがあるからこそですよね。それにアルバム全体を見ても、やっぱりその部分が際立ってる感じがします。

KennyDoes:ビートメイカーもぐるぐる変わるし。

R-指定:メンバー全員が全部できるんでね。これがソロ活動してるメンバーが集合体になった強み。例えばKennyDoesなら、一人でバースもいけるし、フックもブリッジも飛び道具もいける。もちろんKOPERUもそうだし、俺もそう。誰が楽曲の顔を張ってもイイし、足腰になっても、心臓になってもいけるメンバーが集まってるんです。だから曲の幅も広がるし、聴き飽きないアルバムになってると思います。

KOPERU:無意識のうちに、このアルバムを聴いてる時がけっこうあるからね。しかも自分はメンバーやのに、一人で聴いてたらちょっと泣きそうになる時もある(笑)。なんかジーンときたりするんよ。

R-指定:マジか(笑)。でも、違う血筋を持ったメンバーが集まって、それぞれが思いを込めた曲ばっかりやからね。会社員してるメンバーがコロナで変わった働き方のことを歌ったり、地元に帰れないジレンマのこと、子どもと過ごすこと、今の時代の苦しさのこととか、一つのテーマに対してもいろんな角度や視点で切り取ってるからこそ飽きないし、聴き応えもあるはずです。

その多様さが梅田サイファーの魅力ですよね。ラップで繋がり、今もなおラップで刺激し合える関係だからこそ、グループやユニットではなく、チームや仲間なのかなと。

KOPERU:刺激し合える関係は、ほんと変わらないですね。輪になってラップしてた頃と同じように、音源作りを通じて切磋琢磨し続けてる感じ。

KennyDoes:僕らはラップで繋がってるので昔からフラットだし、年齢とか職業とかも当時から関係なかった。自分たちの領域であるラップを通じて、今も純粋に繋がってる感じですね。

R-指定:それぞれがソロ活動したり、ユニットを組んだりしてて、あくまでもその集合体が梅田サイファー。軸足はみんな個人の活動にあるけど、日本のヒップホップシーンや音楽シーンと日々戦ってる中でも、やっぱり一番刺激をもらってるのはこのメンバーなんですよね。それに、一番振り向かせたかったり、一番悔しがらせたいのもそう。

そこまで言い切れる関係性は、ほんまスゴイです。昔からラップでバチバチやり合ってたんですよね?

KOPERU:ですね。みんな尖ってたし、生半可なラップしたら目も合わしてくれない。目の前で普通に「ヘタクソ!」ってディスられる環境でしたから。

R-指定:すごいレベルが高い上、人のバースには無関心で、自分のバースをひたすら極めてくみたいな。

KOPERU:だから、自分のバースでどれだけ他の人をアゲさすかばっかり考えてました。だいたい土曜日に開催されてたので、その日に向けてめちゃくちゃ考えて、当日に披露する。で、盛り上がらんかったらへこんで帰って、また次の土曜日に向けて練習する。その繰り返しやったんで、生活の中心がサイファーそのものでしたね。

KennyDoes:僕にとっては道場的な存在で、毎週そこに行って腕試しするみたいな。

KOPERU:最初来た時は、完全にナメてたもんね(笑)

R-指定:そうそう、ナメてたやろ?(笑)

KennyDoes:ちゃうちゃう!これからイイ話しようと思ってたのに、全部安く聞こえるやん(笑)

KOPERU:では、続きをお願いします(笑)

KennyDoes:サイファーに行き出したのが2011年頃で、そのキッカケになったのがKOPERU君だったんです。「B-BOY PARK UNDER20」のMCバトルで優勝したKOPERU君のドキュメンタリーを見て、同年代でこれだけできるんやったら僕もできるかなと思って。

KOPERU:やっぱナメてるやん!

KennyDoes:いやいや!それで高槻でKOPERU君が出てるイベントで声かけて、サイファーに行かせてもらうようになったんです。DJをちょっとやってるくらいだったんで「ラップしてます!」とは言いにくかったんですけど、結果、良かったという話です!

R-指定:最初は「DJです…」みたいな感じやったんで、流れで「じゃ、やってみてー」って回したら、めちゃくちゃうまかった。つたない感じを想像してたけど、「そんなこともできんの!」みたいなレベルやったし。

KennyDoes:まぁ、最初は様子見てたんですよね。誰をナメたらええかなと(笑)。そういう気持ちで最初はやってました。

R-指定:ほら出たで。

KOPERU:だから僕は、ほんまに誘わんかったらよかったと思ってました(笑)

おっしゃる通り、フラットな関係やったんですね(笑)。当時、サイファーが終わった後はどうしてたんですか?

KOPERU:毎週土曜に開催してて、雨の日も雪の日も、電車が止まってても集まって来るようなメンバーばっかりやったんでね。

KennyDoes:終わってからはカラオケ行く組、終電で帰る組、メシ食べて車で帰る組に分かれてましたね。

R-指定:俺はカラオケ行く組で、サイファー終わってからもひたすらラップしてました。カラオケ行かない日は、歩道橋の上でラップについて語り合うみたいな。そんなことをずっと繰り返してたら、メンバーのたまこぅに言われたんですよ。「梅田サイファーは、日本語ラップ界のオックスフォード大学や」ってね。

オックスフォード大学?

R-指定:俺らもびっくりして聞き返したら「オックスフォード大学の奴らは、授業が終わった後に生徒同士や教授同士で学問について語り合うねん。常に多角的な視点で見て、考察を続けてるから頭も良くなる。お前らも一緒や!ラップを実践した後に語り合って考察して、それを次週に生かしてるやろ?だから、ラップが上手くなって当たり前や!」と言われて。と言うことで、梅田サイファーは日本語ラップ界のオックスフォード大学らしいです。ただ、たまこぅにしか言われてませんけど(笑)

KOPERU:めちゃくちゃ高貴な表現(笑)

でも、間違ってはないですよね(笑)。メンバー同士の関係性しかり、環境もラップまみれだったと。

KOPERU:それぞれが外の世界も経験をしてる今思うと、あの時ってめちゃくちゃ狂ってたなと。でも、すごい大切な時間を共有できてたんやと思いますね。

R-指定:ほんま尊いと思うわ。本気でラップが好きなメンバーばっかりやったからね。ラップで成功したいと思ってる人からしたら、サイファーなんかせずにデモCD作って売り込む方が早いけど、俺らはそうじゃなかったし。ただラップがやりたかっただけ。大げさに言えば、ラップができてる時点で目的は達成してたもんな。

KennyDoes:歩道橋だけじゃなくて、知り合いのイベントのDJタイムとかにも端っこでサイファーしてましたからね。

KOPERU:今考えたらすごい迷惑なことしてたけど、それだけラップが好きやからね。あの時は、ほんますいませんでした(笑)

メンバーそれぞれが自分を薄めず、他人に寄せないスタイル。それがステージ上で混ざり合うからこそ見ていて楽しいし、最高に濃いライブになると思います!
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Profile

梅田サイファー

大阪・梅田の歩道橋で行われていたサイファーから生まれた、ラップが本気で好きなメンツたちによる集合体。メンバーそれぞれがソロやユニットとして活動し、日本のヒップホップシーンやMCバトルなどで活躍中。2021年4月21日に最新作『ビッグジャンボジェット』をリリース!

https://www.umeda-cypher.com

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