台所で気軽にできる草木染めが楽しい!染色ユニット<WUY>が目指す、 “染め直し”という選択肢が当たり前になるやさしい未来。


<WUY>が目指しているのは、誰もが日常的に衣類の染め直しをする社会。その選択肢が当たり前になれば、未来はもっとすてきになるのかなと思います。

草木染めを広めるために、何か意識していることなどはありますか?

章悟:僕らは伝統を重んじながらも、誰もが気軽にチャレンジできるものとして草木染めを広めたい。草木染めと聞くと淡い色味をイメージする人が多いと思いますが、<WUY>では研究を重ねて鮮やかで印象的な色味を出せるようにしています。気分が晴れやかになるようなピンクやブルー、グリーンが表現できれば、ファッションの選択肢の1つとして草木染めをやってみたいと思う人が増えるのかなと。

<WUY>のカラーチャートは、なんと300種類ほどバリエーションがあるそう。

歩美:色んな素材を使った草木染めにもチャレンジしていて。私は伝統的な染めの技術を学んでないぶん、こうしなきゃならないっていう固定概念がないんです。もしプロの染め師が見たらギョッとするような染め方をしているかもだけど……(笑)。失敗しても色んな発見があるのが楽しくて、人生で1番長く続けられていることかもしれません。どれだけ追求してもキリがない、染色って宇宙みたい。
何かの本で読んだんですけど、江戸時代ってゴミが出ない暮らしをしていたみたいで。きっと今に生かせる工夫があったんじゃないかなと。廃棄を活用するのも衣類を染め直すのも、日本人のもったいない精神に通ずるところがあると思います。そういう日本らしさは大切にしつつ、現代だからこそできる染色にチャレンジしていきたいです。

布地以外のものを染めることもあるんですか?

歩美:1度陶器を染めたことがありますね。以前MARZELでも紹介していた<ヨーヨー窯>の渡部彩弥さんと友人で、陶芸に関する彼女の知識と染色に関する私の知識を融合した陶器の作品を作りました。農業をしている弟にもらった稲を染めて、それを編んでしめ縄や鍋敷を作ったのも楽しかったなぁ。

章悟:和泉市の地場産業であるイミテーションパールの会社とタッグを組んで、コットンパールの藍染めをしたこともあります。そこで使った藍は、泉北の農家さんに依頼して栽培してもらいました。草木染めは、その地域の特色をアピールするのにもぴったりなので、町おこしを目的にした依頼をいただくことも多いです。

確かに、色んなところとコラボレーションできそうです。

真司:染色は多彩な場所や業種の人とつながれる、偉大なツールだなって実感しています。 自分たちに一体どんなことができるのか、その可能性を日々追求しています。

3人はどんな風に役割分担してるんですか?

真司:歩美は草木染めをメインに染め師として活動していて。僕らはそのサポートをしつつ、Web制作やグラフィックデザイン、イベント企画などを行なっています。

夫婦と親戚同士のユニット、なんだか不思議な関係性だなって思いました。

真司:逆にこの3人だから成り立っているのかも。僕らはとにかく対話を大切にしていて、ちょっとしたことでもすぐに話すようにしています。めちゃくちゃ居心地がいいんですよ。

章悟:本当に波長が合うんです。大切な家族であり仕事仲間であり、1番の友達なのかなと思います。

歩美:私も3人の関係性がすごく好き。この空気感が心地よくて。

真司:会社自体は3人でやっていますが、プロジェクトごとに色んな人が関わっていて、そこを起点に人のつながりがどんどん広がっています。

章悟:僕らの会社「COSHUU」は、漢字に変換すると“個衆”になります。目指しているのはまさにそれを体現できる場所。個人が必要に応じてタッグを組んで衆を生み出す。それぞれが好きなタイミングで必要な人と接続し、何かを生み出していける時代になったらいいなと思います。

今後、やってみたいことやチャレンジしたいことはありますか?

章悟:日本の伝統文化に注目する人が増えているので、国内だけでなく世界に市場を広げて、地球規模で染め直しの素晴らしさを伝えたいです。そのために、今年は特に外国とのパイプラインを太くしていきたい。あとは、染料のキットの販売です。染め直しを紹介して、実際に興味を持ってやってみる人が増える中で、染めのツールをしっかり流通させることが必要だなと。染め直しのキットは、すでにオンラインショップでも販売しています。染料を鍋に入れてグツグツ煮込んで、そこに服や靴下を入れて簡単に染められるレシピ付きのセットです。

こちらがオンラインショップで販売している草木染めのキット。説明書付きでわかりやすいのも嬉しい。

章悟:今後は、キットになっていない染めの素材のみの販売にも挑戦してみようかなと。そうすれば、商品としてたくさん染めたい企業の方にもひびくんじゃないかなと思います。

確かに。需要はめちゃくちゃありそうです。

真司:あとは、染め直しのHOW TO動画を作ったりオンラインのワークショップをやったり、オンライン系のサービスにも力を入れていく予定です。特にオンラインのワークショップですね。今は必ず現地に出向いてレクチャーするんですが、どうしても経費がかさんでくるので、オンラインでつないで教えるのもありかなと。実際、事前に幼稚園の先生とオンラインでやり取りして、染め方を先生に伝えたうえで、でっかいスクリーンに僕らの手元を映しながらオンラインワークショップをした事例もあるんです。今はより良い方法を模索している段階です。

歩美:今は、変色した衣類を郵送してもらって私たちが染め直すサービスもしているけど、最終的に目指しているのは、<WUY>が染めなくてもみんなが当たり前に染め直しをする社会。着ない服を10着捨てるなら、2、3着は染め直してもう1度着ようかなっていう選択肢が当たり前になれば、未来はもっとやさしいものになるのかなと思います。


<WUYさんのお気に入りスポット>

CALMAART(堺市堺区石津町)
グラフィティ関連のウェアーや雑貨、海外のスプレー塗料などを幅広く取り扱いしているショップです。堺市にあるお店の外壁は、ストリートアートが日々更新されていて毎回楽しむ事ができます。(章悟さん)

光明池
<WUY>の工房からも歩いて行ける距離にあるお気に入りの散歩コースです。大きな池の周辺は豊かな自然に囲まれていて何度行っても飽きません。染料の収穫もよくここでしています。(歩美さん)

アジアンバーラマイ 大阪あびこ店(大阪市住吉区苅田)
チキンベースのスープに具沢山の野菜が入ったカレーはやみつきになります。オススメのトッピングは、数量限定の鶏卵とアゲアゲブロッコリー。(真司さん)

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Profile

WUY

染め師の山里歩美さん(中)とその夫・章悟さん(右)、歩美さんの従兄弟・福村真司さん(左)からなる草木染めユニット。草木染めによる衣類の染め直しを「Re:染め」と呼び、ワークショップを開催したり自宅で簡単にできるキットを販売したり、草木染めをカルチャーとして紹介する活動を行なっている。仲良しの3人が醸し出す独特のゆるい空気感も心地いい。

https://wuy.stores.jp/

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