スケボーに乗る土偶がかわいい!<ヨーヨー窯>の屋号で活動する陶芸作家・渡部彩弥さんは、なぜ13,000年前の縄文土器に魅せられたのか。

スケボーに乗る遮光器土偶や、カラフルな釉薬の彩りをまとった火焔土器など、縄文時代の土器を独自の解釈で作品に昇華する陶芸家の渡部彩弥さん。歴史の教科書で見たあの土器が、新たな命を吹き込まれて今目の前に現れると、なんだか不思議な気持ちにさせられます。土偶や土器以外にもお皿や花瓶、指輪など幅広い作品を手掛け、<ヨーヨー窯>の屋号でアパレルショップへの出店やワークショップなども開催されている渡部さん。なぜ縄文時代の焼き物に惹かれるのか、作品にどんな思いを込めているのかなど、じっくりお話を聞いてきました。縄文時代から続く人の営みみたいなものにも思いを馳せてしまう、そんなインタビューになりました。 ぽってりかわいい土偶たちの魅力も味わいながら、ぜひ最後まで読んでみてください!

私はできるだけ土と釉薬の偶然に任せるというか。こうなってほしいというのはあるんですけど、その上でさらに美しいものができたときの喜びは大きいです。

渡部さんが陶芸を始めたきっかけを教えていただいてもいいですか?

もともと絵を描くのが好きで、美大に行きたいなと思って。で、受験するんですけど、「工芸学科も滑り止めで受けときや」って兄に言われて、受かったのが工芸学科だったんですよ。

滑り止めで受験した工芸学科に合格されたんですね!ご自身は、絵画のほうに進みたいというお気持ちだったんですか?

イラストとかデザインとか、そういう事ができたらいいなって当時は思ってました。だから工芸学科に入ったら、もうやったことのないことばっかりで。金属とガラスと染色と陶芸の4つを1回生のときに一通りさせてもらって、そこから専攻を選ぶんですけど、ガラスと陶芸で迷って、陶芸を選びました。初めての素材でなかなか上手に扱えなくて。いろいろな物に慣れるのに時間がかかるタイプなんです。

では、大学の4年間で陶芸を学ばれて。

そうですね。大学で始めて、卒業後は陶芸教室で働きたいなと思って。先生に相談したらちょうど、堺の実家の近くの陶芸教室が人を探していたので、そこで働くようになりました。働き出してからですね、陶芸の楽しさを知ったのは。

制作は自宅のダイニングで、焼成は堺にある実家の窯で。取材中もずっと動いている渡部さんの手。

大学時代は、陶芸を楽しいとは感じておられなかったんですか?

素材を扱うことに慣れなくて、なかなか思うようにいかないというか。働いているときも、本当にこのまま陶芸を続けていくのか悩んでました。でも、何かを作りたい、何かを作る仕事をずっとしたいなと思ってて。だから、結局今も、土をさわってます。

在学されているときは、まだ土とどう向き合っていいのかわからなかった…というような感じですか?

そうですね、先生は「土と仲良くなれ」みたいなことを言ってたんですけど、その意味がわかってきたというか、仲良くなれてきたのってここ数年で。土は放っておくと乾いちゃうし、乾いてなさすぎても柔らかくて崩れちゃうし、水加減とか時間とか、そういうのを知るのにすごい時間がかかりました。

それでも、卒業後はまだ陶芸を続けたいと思われたんですね。

せっかく大学に入って出合えたから、できたら続けたいなと思って。

もともと希望されていた絵画は平面ですが、陶芸は立体なので、また全然違うのかなと思うんですけど、そのあたりはどうですか?

でも、陶芸も絵付けがあるし、それって絵を描くのと一緒で。私イラストとかデザインとかしたかったんですけど、それも平面だけじゃなくて立体とかにも描きたいなって漠然と考えてたので、ちょうど良かったというか。

ガラスと陶芸で迷われたっていうのは?

ガラスも窯の中で溶けて形を変えるんですけど、自然の素材が、人が手を加えることで変化する魅力というか。実験をしてるようなところが面白くって。次はどうなるんやろうみたいな。そういうところにガラスも陶芸も同じ様な魅力がありますね。

ガラスも陶芸も、偶然の要素みたいなものがあるんですね。

どこまで人がコントロールしたいか、にもよるんですけど。私はできるだけ土と釉薬の偶然に任せるというか。こうなってほしいというのはあるんですけど、その上でさらに美しいものができたときの喜びは大きいです。

完全にコントロールして思ったままの形に仕上げるより、偶然の余地を残す感じですか?

そうですね。例えば、こういうシワとかって意図して作れるものじゃないんです。これも土が乾いてなかったら出ないんですけど、多少あやつれる程度に乾いてくるとシワがこういうふうに出て。自分がこのぐらいのシワ加減がいいなっていうところで止めて、それを残す。

今は乾いてシワが出てますが、この土も水分を増やせばもっとつるつるにもできるんですよね?

はい。普通の陶器と同じなので、つるっと綺麗に作ろうと思えば作れるんですけど、やっぱりそれは、やろうと思えば誰でも出来てしまうというか。まあ誰でもってことはないんですけど。でも、偶然っていう、意図して起こらないことを残したくて。

自分が作りたいと思う部分と、ある程度偶然にゆだねる部分が共存するような感じなんですね。ちなみに、屋号の<ヨーヨー窯>には、どんな由来があるんですか?

窯を譲ってもらったときに、窯の名前をつけないとねって言われたんです。その日の帰りに、今8歳の長男がまだ3歳くらいだったんですけど、「窯の名前決めなあかんねん」みたいなことを言ったら、「ヨーヨー窯です」って言われて。

えー!?

「え!?何でなん?」って言ったら、「ヨーヨーって行ったら帰ってくるから」って言って。「あ、じゃあそれ!」って言って即決(笑)

すごい!由来もいいですよね。それでヨーヨー窯に?

そうなんです。

“YO!YO!”のほうかなと(笑)

じゃなくて、おもちゃのヨーヨーらしくて。でも本人は、全然覚えてないそうです(笑)

縄文マニアの人が声かけてきはったんです。「一緒に縄文土器を作ってみませんか?」って。それで、作らせてもらうことになったんです。
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Profile

渡部 彩弥(わたなべ あや)

大阪府堺市生まれ。絵を描くことが好きで美大を受験するも、工芸科に入学。陶芸に出合い、作陶を始める。大学卒業後は地元・堺の陶芸教室で働く傍ら自身の作品を手掛ける。土や石に触れながら、その中で生まれる模様や窯の中で渦巻く炎によって釉薬が溶けて混ざる色を大切にし、器や植木鉢などを制作。自然の現象から着想を得た、独創的な色の表現も魅力。

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