好きが高じて、北海道の旭川で銭湯を再建。<FRO CLUB>のMICHIさんに宿る風呂愛と、衣食住湯の先にある夢について。


勢いと夢を持って、旭川の銭湯『菊の湯』を再建中!自分がオーナーになって考えを尽くし、お客さんに気持ち良くなってもらう…。想像しただけで、ヤバいです。

旭川で取り組んでいる『菊の湯』のプロジェクトについて聞かせてください!どういう経緯でMICHIさん自身が銭湯を始めることになったんですか?

ずっと銭湯をしたいと思ってたんです。<FRO CLUB>という名前で活動してアパレルも展開してるけど、自分たちの風呂を持ってないのはカッコ悪いなと。銭湯やサウナのブランドはいっぱいありますが、他とは違うところを見せたかったんですよ。本気の風呂愛ってやつをね。

それで旭川に?

実は2〜3年前に上賀茂エリアで銭湯を引き継ぐ話があったんです。その銭湯は白山湯という名前で、高辻店や六条店とは全く関係がないんですが同じ名前だったから、僕自身もすごい縁を感じてて。決まりそうだったけど、お客さんが増えることがNGになり、破談になってしまいました。だいぶヘコんでたんですが、旭川にある『ニュー銀座サウナ』の方とたまたま出会ったんです。僕らのポップアップに来てくれて仲良くなり、話してるうちに「旭川のいい銭湯がなくなりそうだから見に来てほしい!」と言われて…。それが2022年の年末くらいの話です。

銭湯の女神は見捨ててなかったと。

でも、最初は「旭川かー、遠いなー」と。ただ、<KEBOZ>の川村君の地元が旭川なんですよ。しかも昨年に直営店を旭川にオープンさせたので、そのついでに見に行ってみたんです。もちろん見るだけのつもりでしたが、銭湯の上にアパートがあって、その上に大きい看板も付いてるスケール感にやられてしまって…。なかなか都心の街中にはないスケール感だし、地元の議員さんや前オーナーも協力してくれるとのことで、軽い気持ちで再建を引き受けちゃいました(笑)

その場で?(笑)

完全に勢いですね(笑)。<FRO CLUB>としても銭湯1軒だけじゃなく、これから増やしていくのも夢のある話だし、成功させたいと思って。クラファンで資金を調達して再建の工事を進め、いよいよリニューアルオープンも間近に迫ってきました。ほんまは6月にはオープンの予定でしたが、機材の到着が遅れるなどのトラブルもあって、7月中にはオープンできればなと。

写真左は、設備工事などで改装中の浴場。写真右は、京都在住のアーティスト・TIM氏による下駄箱のペインティング。サウナやスーパー銭湯は昔のままの感覚でタトゥーをNGにしてるところが多いですが、そんな偏見をなくしたいと思っていたMICHIさんの想いを汲み取り、TIM氏が可愛くピースに仕上げてくれたそう。北海道は長靴用の下駄箱があるのも新鮮です。

銭湯を再建するだけでも大変なのに、京都と旭川という距離間もいろんなギャップを生みそうですが…。

勢いと夢を持って始めましたが、工事が進むにつれて銭湯再建の大変さを痛感してます(笑)。やっぱり規模がデカイですし、設備を整えるも簡単じゃない。僕も月に3回は旭川に飛んで工事の立ち合いや現場をチェックしてますが、行く度に「これもしないと!」って感じで課題が出てますね。でも、めちゃくちゃ楽しんですよ。

夢がカタチになっていく過程のど真ん中にいるわけですもんね!MICHIさん以外に現地のスタッフもいるんですか?

最初に声をかけてくれた『ニュー銀座サウナ』を営んでるアサヒサウナとの共同事業でもあるので、そのクルーもいますし、「一緒に再建したい!」と手を挙げてくれた子を京都から派遣してます。

下駄箱の鍵も<FRO CLUB>仕様にチェンジ。ちなみに白山湯の横山社長も現地に視察に来てくれたそうです!

なるほど、それは心強いですね。オープンが間近に迫る中、銭湯のオーナーになる心境はどうですか?

マジで楽しみでしかないです。僕らも銭湯でいろんな企画やイベントをしてきましたが、やっぱり借りてる立場なのでオーナーの意見に合わせないといけませんでした。仕方ないことですが、カタチにしたくてもできないことも多かったので、自分がオーナーになればやりたいことがそのままできる。これまで温めてきたことを、旭川から発信していくのもまたおもしろいなと。

MICHIさんとしても、<FRO CLUB>としても、これまでのいろんな想いが全て注ぎ込まれるわけですね!それに、湯、水、サウナの設定温度とかも、決めることができますもんね!

自分の考えた温度設定などでお客さんに気持ち良くなってもらう…、想像しただけでシンプルにヤバいです。ほんまに最高の温度で、オープンしたいと思ってます!

その醍醐味を知ると、絶対に沼りますね(笑)

すでに沼ってます。大阪生まれで京都在住の人間が旭川で銭湯をするって、それだけでも特殊ですが、自分がオーナーになったことで思考もどんどん広がっていくんです。街や地域、住民のことをすごく考えるし、その流れで例えば九州や沖縄で銭湯をするなら、どんな風にしたらおもしろくて愛されるようになるかな、とか。旭川という土地のおもしろさを実感することが多々あるので、いろんな場所で銭湯を兼業すれば、ほんまにおもしろいだろうなって。今まさに、人生がもっと楽しくなるなと感じてるんですよ。

気持ち高まりますねー、それは。『菊の湯』では<FRO CLUB>のアイテムも展開するんですか?

物販スペースも作ってますね。以前から「SHOP作らへんの?」と言われてたんですが、それは僕らの主旨とは違うからやらなかったんです。あくまでも風呂を楽しむことがベースだし、アパレルありきで活動してるわけじゃないので。でも、銭湯のロビーなら僕らの活動に一番リンクするから、商品をちゃんと展示するスペースも作ることにしたんです。

右足には菊の文字のタトゥーが。現地のスタッフが「菊の花のタトゥーを入れました!」と連絡が来たので、「じゃ、俺も!」という流れで入れたそう。

銭湯こそが、<FRO CLUB>が最も生きる場所ですもんね。めちゃ楽しみです!今、夢が叶っていく過程にいるので重複しちゃうかもですが、MICHIさんのこれからの夢を聞かせてもらえれば!

とりあえず今は『菊の湯』に全てを注ぎ込んでます。これからの夢としては、『菊の湯』が軌道に乗ったら京都や関西でも銭湯を始めたいですね。これはまだ先の夢のような話なんですが、<FRO CLUB>のメンバーでもある湘南乃風の若旦那さんや周りのクルーとおもしろいことを喋ってたんですよ。僕らが50〜60代になった時に、1人1軒の銭湯のオーナーになってたらヤバいよねって(笑)。みんなでそれぞれの銭湯に行き合うっていう、かなり大きな夢なんですが、その1人目が僕。銭湯をやりたいと思ってる人は多いので、僕のノウハウや経験をみんなに共有して、夢を実現できたらめちゃおもしろいですよね。

うわー、風呂愛が熱々の夢じゃないですか!それぞれの銭湯に入り合って、「あれ?前より水量増やした?」とか、そんな深い会話ができるわけですよね!!

めっちゃ幸せやと思います。今、銭湯やサウナはブームにもなってるし、どんどん好きになると僕らみたいな考えに至る人も増えてくるかもしれない。そうなると、銭湯やサウナの未来はもっと楽しくなっていく気がしますね。

確かに!閉業に追い込まれてる銭湯も多いですし、いろんな人の風呂愛がカタチになれば、日本の銭湯文化はこれからも大切に継承されてくでしょうね!では最後に、MICHIさんにとって、銭湯とは?

生活の一部ですね。衣食住じゃなくて、衣食住湯。ほんま、そんな感じです。人が生きていく上で欠かせないものだから、若い子にも伝えていきたい。そして年長者は若い子のことを考え、若い子も年長者のことを敬い、お互いが銭湯の中で楽しく過ごせるような時代を作って行きたいと思ってます!!


<MICHIさんのお気に入りの銭湯>

白山湯 高辻店(京都市下京区舟屋町)
僕ら<FRO CLUB>のホーム銭湯で、熱めの湯と圧倒的な水量の水風呂、ドライサウナが最高です。いつも清潔感があって気持ち良く入浴できるので、感謝しかありません。近所にある支店の六条店もぜひ!

大黒湯(京都市東山区山城町)
熱い湯が有名な銭湯で、25時まで営業してるので遅がけに入浴する時に重宝。月に1回は必ず利用してます!

五香湯(京都市下京区柿本町)
ホーム銭湯の『白山湯 高辻店』が定休日の日に利用してます。高温と低温のサウナがあり、水風呂は地下水!湯船の種類が多いのもポイントです。

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Profile

MICHI

大阪府高槻市出身、京都在住。本名は塩路道徳、通称はMICHI。「銭湯を日常へ」をコンセプトに、銭湯カルチャーを発信する<FRO CLUB>の中心メンバー。様々なブランドやアーティストとのコラボを手がけ、週5〜6回ペースで銭湯に通う生粋の風呂愛の持ち主。北海道旭川市にある銭湯『菊の湯』の経営を承継し、ただ今リニューアルオープンに向けて京都と旭川を行き来する日々を送る。ホーム銭湯は、『白山湯 高辻店』。

Instagram:@fro_spadupa_club26
Instagram:@kikunoyu_asahikawa
https://froclub.shop/

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