【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.8】 努力を諦めない限り、成長は続く。CHOPPERさんが挑んできた、世界とアメ村でのスケートボードライフ。


アメ村も表層的な部分は変わっても、集まってくる人間の根っこのDNAの部分は変わってない。おもしろいヤツはやっぱり多いなって。

ここからはアメ村の話も聞かせていただければと思います。昔から三角公園でスケートされてきて、今もショップ『WHEV』がありますが、CHOPPERさんにとってアメ村とはどのような場所ですか?

事実は小説より奇なりという言葉がありますが、その通りやなと。今は日本だけじゃなく世界に向けて動いてるけど、三角公園でスケートしてた18歳の頃から、ほんまにいろんな人と出会ってきました。IOCのオフィシャルプロモーションに一緒に出演したHAROSHIや、同じ大阪出身で今や世界を飛び回るVERDYとかも元々はショップのお客さんだったんです。他にも大企業のナンバー2か3になって世の中を動かしてるヤツとか、立派になって活躍してるヤツらがいっぱい。俺にとってアメ村は、利害関係なしに人生の大切な時間を過ごして、ずっと影響を与え合える知人や友人を増やせた場所かなと。

ほんまに財産ですよね。

偏差値も低くて学もないし、スケートボードしかしてない俺でも、そんなおもしろいヤツらと出会えたのは、何か引き寄せ的なものがあったんかなと、信じざるを得ないんですよ。ちょっと固有名詞や立派な肩書きのヤツを引き合いに出しましたけど、別に承認欲求があるからじゃなくて、伝えておきたいことがあったから。

ショップには、昔から三角公園で一緒に滑っていたアーティスト・HIROTTONの作品集も。

CHOPPERさんが伝えたいこととは?

これからはAIの時代と呼ばれてるし、いろんな物事が平均化されていくと思うんです。でもね、人間まで平均化される必要なんてない。スケートボードに限った話じゃなくて、何か思いきり振り切ったことをすれば、きっといい出会いが生まれてくる。そんなことを伝えたいなと。俺の場合はその起点がスケートボードだったって感じです。

実体験から生まれたその言葉、めちゃ強いです。ちなみにCHOPPERさんは30年以上もアメ村を見てきたわけですが、変化を感じたり、逆に何も変わってないと感じるのはどんなところですか?

昔からこのショップと三角公園やスポタカ(現在はBIG STEP)を行き来する道ばかり滑ってたから、たまに別の道を滑ったらすごい様変わりしてることに気づく。大きな変化として感じるのは、そういった街の景観的な部分かなぁ。スケートボードに特化した話で言えば、若い子が増えてどんどん低年齢化してるけど、おもろいヤツはやっぱり多いですよ。最近仲良くしてる小学生や中学生もそう。アメ村も表層的な部分は変わっても、集まってくる人間の根っこのDNAの部分は変わってない。子どもたちと接してると、変に毒されてないから分かりやすいんですよ。今は丁寧語を喋れる子も増えてて、それはいいことではあるけど、スケートボードしてる個性あるヤツなんかは平気でタメ語やから。俺らの時もそうだったし、時代は変わっても普遍的なものはあるんやなと思います。

昔と変わらず、やっぱりおもしろい人が集まる場所なんですね。それにしても、小学生や中学生のスケーターはほんまに増えてますよね。

俺の場合、スポタカによく顔出してるのでそこで出会うんです。別に教室とかはしてないけど、子どもたちと喋りながらたまに教えてあげたりもしてます。

子どもたちからしたら、めちゃラッキーなこと!

それもテクノロジーの進化のおかげですよ。一昔前やったら、ごちゃごちゃ言って教えてくるおっさんはウザイだけの存在でしょ。でも、今は小学生でもインスタしてるし、俺が口だけじゃなくて、ちゃんと難しいトリックができることを知ってくれてるんですよ。だから、とりあえず老害扱いはされてません(笑)

テクノロジーに感謝ですね(笑)。CHOPPERさんに教えてもらったら、子どもたちもどんどん成長してそう。

みんな素直なんで、言った通りにやってくれるんですよ。感覚的に言うんじゃなくて、力学的に指摘したり、顔の向きとかも細かく伝えてるから、とりあえず短期的な成功体験は得られてると思います。みんな「できた!」って、びっくりしてますから。

上手くなるには、受け入れる素直さも必要ってことですかね?CHOPPERさん自身も、先輩たちの導きで気づきがあったように。

上手くなるヤツは、年齢に関係なく耳を傾けてくれるし、その素直さは大切やと思います。でもそこからさらに上を目指すなら、自分の体ととことん向き合うこと。俺はもう50歳やし、フィジカル的に跳躍力とかが上がることはないかもしれないけど、バネを必要としない技術については今でも向上してる。根性論や物理的な負担、危険なトリックは徹底的に減らして、身体能力という努力では補えない部分をちゃんと見極めながら練習してるんです。それでも老化はあるし、受け身が昔よりも取れなくなることもあるけど、体と向き合うことで上手くなってますからね。スケートボード業界を見渡しても、根性論だけでやれてる先人はやっぱりいないし。

今でも自己向上を体現してると。

この歳になると、100人いたら95人くらいはエンジョイ系に切り替わって、過去にやってきたことの現状維持を楽しみながらやってると思うんです。ただ、俺はその全てを疑ってて、やってみないと分からんやん!って。50歳でも上手くなっていくのを体感できるのは、ほんまおもしろいんですよ。

そんな姿を見てると、これからの子どもたちのスケートボードライフも変わりそうな気がします。

体を気遣いながら「これは大丈夫かな?」「これくらいだと体を壊せへんな」とか、常に考えながらスケートボードしてます。めちゃ遠回りしながらですが、未来へのレールを作ってる感じですね。この日々が、これから10年、20年後に子どもたちが大人になった時に、もっと合理的で効率のいいやり方に繋がってるかもしれない。そう考えたら、俺が人柱になるしかないなと。それでもいいと思ってます。

これからリリースする作品の結果次第で、自分の新たな動き方が始まる。50歳でまた大きなターニングポイントがやってくるんちゃうかなと。
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Profile

CHOPPER

本名、中村泰一郎。大阪発のスケートクルー・OSAKA DAGGERSを牽引し、オリジナリティあふれるトリックとセレクションは世界的にも知られている。スケートボードブランドの<HEROIN SKATEBOARDS>にも所属し、25歳だった当時は日本人初の国際プロライダーとしても活躍。2013年にリリースされた作品『VIDEO NASTY』でのパートは、『THE BERRICS』でもフィーチャーされるほど。現在は今春のリリースを目指して、新たな作品制作に挑んでいる。

https://store.whev.com/

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