【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.3】 いざ、あの不夜城へ。『LOCK STOCK』ヤスさんと巡る「三ツ寺会館」人物図鑑。
ISOKOって名前知ってるん、ヤスくんぐらいやで。まだみんなBLOWやと思って来てるもん。「BLOW最高!」言うて盛り上がってる。
3軒目に伺ったのは、地階にある『ISOKO BAR』。サーフボードが飾られた店内は、テーブル席もある広々とした空間。ヤスさんとの付き合いも長い土井さんは、界隈にまつわるエピソードの宝庫でした!
森下:土井さんはヤスくんとは長いんですか?
土井:ここの店は僕の先代がおって、当時はこの横のサンフラワービルにおったんですよ。そんときに知り合って、もう20年ぐらいかな。
このビルにもよくいらっしゃってたんですか?
土井:2階やったか、アムステルダムカフェってオランダのマフィアの息子がやってた店とか、めっちゃかっこよかったな。でもちょっといろいろあって本国に強制送還なって。
ヤス:そんな話、書かれへん(笑)
土井:あと、うちと同じフロアに、黒魔術の店とかあったやん。
ヤス:あったなあ。なんていう名前やったっけ…。
土井:いっぺん前を掃除してるときに、なんか燃えてるにおいするなと思ったら、その店の中から火ついた人が出てきて、「俺とこが燃えてんねん」って。「どうしたんすか!?」って聞いたら、扉に火つけられたって。
ヤス:思い出した、ゴシックや。
土井:鉄のごっつい看板で、カラス飼ってた。
すごい店がいっぱいあったんですね…。このお店は、土井さんが始められたんですか?
土井:もともとはBLOWっていうバーやって。師匠のこうじさんって人がやってた店なんやけど、その人が沖縄に行きはって、そんで自分がやらせてもらうことになって。でも今も、BLOWの看板とかは置いてるんです。
森下:だからか。BLOWの看板あるなって思ってました
土井:ISOKOって名前知ってるん、ヤスくんぐらいで、ほかの人まだBLOWや思て来てるもん。外国人とか特に。ほんで「BLOWやっぱ最高やな!」って盛り上がってるところに、「ちゃいますねんISOKOですねん」って言われへんし。
ISOKOやけど、BLOWでもあると。
土井:BLOWはもともと東心斎橋でやってたんですよ。ワンコインで飲める、500円バーの走り。そこからイズント(Bar,Isn't It)とかサムアンドデイブとかができるんやけど、最初にBLOWが始めて。
懐かしいですね!22~23年前ぐらい前ですよね。
土井:そうそう。それで、なんでも500円やねんけど、石も売ってて。あれ、これも言うたらあかん話かな(笑)。サーフィンするから海行くじゃないですか、そこで石拾うんですよ。ほんで、石売ろ!言うて。そんなん誰が買うねん、とりあえず500円って書いとけ!とか言うてたら、ほんまに買ってくれる人おって。駐車場代出たなあ言うて。
森下:今も海は行ってはるんですか?
土井:行ってる。日帰りで行けるとこで、磯ノ浦とか、静岡、四国、鳥取、福井ぐらいまで。今月か来月ぐらいは、新潟か山形行こうと思って。
めっちゃいろんなとこ行ってはるんですね。ご出身は大阪ですか?
土井:奈良やねんけど、奈良言うても当麻町やから、みんなわからんのよ。
海のない奈良出身で、サーフィンを。
土井:もともとは大学生のときにスキューバの免許取りに行ったらそこの人にえらい気に入られて、学生やけどお客さんガイドしたりしとって。そんで、この店(BLOW)に飲みに来てスキューバやってる言うたら、そんなもんあかんサーフィンせえって言われて。
もともとBLOWのお客さんやったんですか?
土井:ここに飲みに来て、皿洗いしたままずっとここにおるっていう。洗いもんしてたら飲ましてもらえるから。
そして、そのまま20年。
土井:そやねんこれ。もうどうしようもないで。
喋りすぎやってよう言われる。ちょっと聞いてやほんでなーって俺の話で終わる劇場型。俺のミニシアター(笑)
森下:土井さんにとって、このお店とかアメ村っていうのは、どういう存在なんですか?
土井:店はお客さんが作ってくれるもんやから、俺がどうこじゃなくて。俺は師匠がおったから教わったままそれを守ってるだけで。誰とでも喋れるから、それを生かすには喋り続けるしかないかなって思うけど。でも喋りすぎやってよう言われる。俺がしゃべってみんな聞いてるみたいな(笑)。ちょっと聞いてやほんでなーって俺の話で終わる劇場型。俺のミニシアター(笑)
これからの目標とか、次のチャレンジとか何か考えておられることあります?
土井:コロナの前はすごい外国人のお客が多くて、フロリダのUSJを手掛けてた工務店のやつとかめっちゃ気に入ってよう来てくれとって。で、外国人向けにもういっこ店やりたいなと思ったらコロナになって、全部終わって、お金もなくなって。
飲食店はほんと大変でしたもんね。
土井:ほんまは、お金貯めて移住したいなと思ってたんですよ。もう海まで車で行くんもしんどいし、できるだけ海に近いとこがええなって。でもコロナになって店を休んで旅に行くようになったら、その旅ができるのは大阪で稼いでるからこそできるわけで。もう沖縄とかに住んでもうたら、そこから動かれへんようなる。って気付いたら考え変わって、今はまだ旅の途中やなと思って。しばらくまた旅を続けようと思ったんよ。ちょっとまあ再び一人になって、身軽にもなったことやし。
あ、身軽になられたんですね。
土井:そんで、もうすぐ大阪万博もあるし、人がおるんやったらここで店やっててもええなって。自分の時間は旅にささげて、旅で得たものを持って帰って、その話をここでしながら続けられたらええなと思って。
森下:ヤスくんもじゅんこさんもそうやけど、大阪のすごいコアなとこにいる人たちが、意外と全国いろんなとこに友達がいて、そこからまた人が集まってきてたり、万博とか海外にも目を向けてるっていうのが今日は僕すごい意外でした。
土井:うち会員制って書いてるから、日本人あんま入ってけえへんもん。ほんで外国人でもちょっとめんどくさそうやったら、「ソーリー、メンバーズ」って断るから。コワモテの屈強な外国人3人とか俺無理やもん。一回あったからね、重戦車入ってきて、ここで交通事故なったっていう。
でも外国人のお客さんが来てくれたら嬉しいという想いはある?
土井:うん、BLOWの時もよう来てくれてたし、外国人もおってうちの常連もおって、そんなカオスな感じが楽しいかなって思ってる。あとは、若い人に来てほしい。
ヤス:そうか、やっぱり共通してますね。僕らこんな話はお互いあんまりしないけど、じゅんちゃんもそうやし、僕も近いところはある。ただ僕は万博にはそれほど期待はしてなくて。うちは狭い店やし、常連さんが入られへんようになるから。
土井:ヤスくんの言うのもわかる。ふだん来てくれる人が大事やからね。俺はずっと、隣との関係よりお客さんを大事にせなあかんって教わってきたから。昔は周年とかで他の店とか行ってたけど、それよりはお客さんを優先したいなって。
ヤス:僕もたまたまコロナもあって、19周年とか20周年とかできなかったんですよ。もう20年超えたら周年やめようと思ってたのもあったし。自分でも行きたいとこに行きたいし、会いに来てくれる人のとこに行きたいなって思ってますね。
森下:周年疲れじゃないけど、行かなあかんってなるのも違うしね。
ヤス:また30周年とかなればなんかあるかもしれへんけど。それまでに元気でお酒飲めてればいいかな。
土井:ほんまやな。年々健康は気になるな。
ISOKO BAR
サーフィンをテーマにしたリゾート感のあるおしゃれな店内と、土井さんのここには書けないディープな界隈ネタが最高。もうとにかく土井さんの話が面白すぎるので、ぜひカウンターで、生で(ライブで)聞いてください!
住所:大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ツ寺会館 地下1階
電話:06-6211-9090
Instagram:@isoko_bar