【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.3】 いざ、あの不夜城へ。『LOCK STOCK』ヤスさんと巡る「三ツ寺会館」人物図鑑。


昔の怖いアメ村も好きやったけどね、あれは若いから面白かったんかな。今はもう毎日揉めごとにハラハラするんも嫌かな(笑)

お客さんはどんな感じの方が多いんですか?

ヤス:前の店からのお客さんが半分ぐらいかな。一時期みんな結婚したり子供生まれたりして来てなかった人らが今また、後輩連れて来てくれますね。あと、3割ぐらいは大阪以外の人。

え、大阪以外の人ですか?

ヤス:僕、休みの日はだいたい大阪おらんので、そこで知り合った人とか。旅先で仲良くなったお店の人らが、自分とこのお客さんが大阪行くってなったらうちを紹介してくれたり。それで北は北海道から南は沖縄まで、けっこう来てくれて、それはうれしいなと思ってますね。最近は、新宿ゴールデン街の子が、若い子連れて来てくれます。

ここに大阪以外の人が来てるとは意外でした。

ヤス:今日来てくれてる2人も、愛知の大府市から。

大府市で飲食店を経営されているオーナーさんとスタッフさん。ここに来るのはひとえに「ヤスさんの人柄」。

愛知から!

ヤス:僕も大府にある彼らのお店に行くし、彼らも大阪来たら寄ってくれるし。もう10年ぐらいの付き合いかな。

そんなに長いんですね。

お客さん:僕ら月1ぐらいでここ来てます(笑)

ヤス:なんなら、彼の結婚式も行ったし。

すごい、めっちゃ仲良しですね!

お客さん:地元よりむしろ、ここのほうが落ち着きます。ヤスさんのいる空間が好きっていうか。

森下:その感じわかる、ヤスくんちにちょっと遊びに来てるみたいな。

ヤス:まあでも、バーってそういうところかもしれないですね。僕はあんまり特別なことはしないです。そんな器用でもないから。

でも、飲食業界も栄枯盛衰じゃないですか。その中で、アメ村でこれだけ長く続けて来られた秘訣というか。

ヤス:それはもうお客さんですよ。僕が云々じゃないですね、お客さんに助けてもらってます。

森下:こうやって大阪以外からも会いに来てくれる人がいるっていうのはすごいよね。

ヤスさんはこの『LOCK STOCK』というお店をどんな場所にしたいとか、コンセプト的なものはあるんですか?

ヤス:それ聞かれるんですけどねえ。コンセプトないのがコンセプトちゃいますかって答えるんですけど、あんまり考えてやってないんです、成り行きで。

お店を大きくしようとか、そういう野望はなかったですか?

ヤス:昔はありましたよ。イベントいっぱい詰め込んだり、その時は気付かんかったけど、だいぶ無理してたと思います。服屋もやったり新地にも店出して潰したり。でもそういうのは苦労っていうか、いま振り返るとアホやったなって。

森下:ヤスくんはフジロック手伝いにいったり、ここが個展会場になったり、アーティストさんとのつながりも深いよね。

ヤス:僕もともと浜崎健さんのマネジメントしてる人とすごい仲良くて、アートショーのお手伝いとかしてたんですよ。そのつながりで、年齢の近いアーティストさんが大阪に来たときに僕がアテンドするみたいな感じになって。ロンドンからフジ(ロック)に来るスマッシュUKのアートチームとも仲良くなって、そいつらはフジの1週間前からうちに来て、一緒にフジに行って、そのあとうちから朝霧JAM行ってって、5か月ぐらいいてますね。

若かりし頃は、街の先輩によく怒られたというヤスさん。「刺青入れて商売すなとか。いろいろ言われました」

すごい長期滞在。でもそこでも、人とのつながりがきっかけなんですね。

ヤス:そうですねほんと。こういうこと言いたくないけど、まあでも人が好きなんだと思います。

若いお客さんとかも来られますか?

ヤス:うちは30代から上が多いかな。でも紹介とかで来られることもありますけど。喋って仲良くなったら、東京行ったらまた一緒に飲みましょうとかね。僕、初めて会った子でもごはん行くんですよ、なんか大阪っぽいもん食べた?とかって。次の日予定ないって言ったらどっか連れてったりとか。

お客さん:僕も愛知から初めて来たとき、ごはん連れてってもらいました。自分の店のオーナーに大阪行きたいですって言ったら、ここの店行ったらいいよってヤスさんとこ教えてもらって。それで、初めてやのにごはん行こうって誘ってくれて。

ヤス:飯で釣ってんねんな(笑)

森下:でもヤスくんのそういう人を選ばない懐の深さもそうやし、自分からいろんなとこに会いに行く行動力もすごいよね。

ヤス:会いに行きますね。岡崎からも、高校野球が好きで春夏来る人がいるんですよ。たまたまうちに来た人で、岡崎で店やってるって言うから、じゃあ行きますねって3か月後にほんまに行ったんです。そしたらめっちゃいい店で。その人もそれから毎回来てくれて、夏には岡﨑の飲食店の人も一緒に連れてきてくれて。そういうつながりが、いろんなところにあるっていう。

森下:すごいなあ。なんていうか、全国にいろんな星が散らばってて、『LOCK STOCK』もそのひとつっていう感じやね。

ヤスさんはこれから、お店をどうしていきたいみたいなことは考えておられますか?

ヤス:どうなんですかね、最近はアーティストの方が個展をやってくれたりもあるから、また違った形でここも面白くなるのかなと思いますし。

森下:アメ村がこうなってほしいみたいなのはある?

ヤス:昔の怖いアメ村も好きやったけどね、あれは若いから面白かったんかな。今はもう毎日揉めごとにハラハラするんも嫌かな(笑)。でも、若い人がバーに飲みに来てくれたらいいなっていうのは思いますね。バーとかそういう社交場って、すごい勉強になると思うんですよ。僕らもいろんなこと教わってきたし。アホな話でもいいし、真面目な話でもいいし。人間の幅が広がる場所やから、僕はやっぱりバーが好きなんですよ。

森下:カウンターやからこそ、偉い人もお金ない人もみんな平等に喋れる、ひとつのラインになるよね。

ヤス:足を運んで人に会わんとね、広がらへんっていうのはあるよねやっぱり。


LOCK STOCK

カウンターメインの落ち着く店内は、ヤスさんの人柄そのままの心地よさ。自然にくつろげる雰囲気で、初めてでもすんなりなじめる(なじませてもらえる)のが魅力。アーティストとのつながりも深いヤスさんらしく、店内のあちこちにはサインやステッカーも。

住所:大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ツ寺会館 3階
Instagram:@yasslock

テーマとかコンセプトとかめっちゃ聞かれるんですけど、私その質問好きじゃないんですよ。例えばみなさんが画家で展覧会をして、説明したいですか、したくないですか?
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