【私的録 -My Private side-】 落語家・桂九ノ一さんのプライベートは、人情噺を地でいくような、谷六なごやかご近所ライフ。


取材から2年、桂九ノ一の現在進行形。

今日は落語家・桂九ノ一とは違う一面を見せてもらいましたが、谷六にめちゃくちゃなじんでますね。

ほんまに、管理会社の人もいい人やし、偶然イベントで知り合った人が同じマンションに住んでたりするし。すぐ近くに『casual KAPPOU iida』さんがあるんですけど、僕お店は2回くらいしか行ったことないけど、飯田さんとめっちゃよく会うから「おかえりー」とか言うてもらえるんですよ。もらった食材をどう使っていいかわからんときも、どうしたらいいですか?って聞きに行ったりしてます。

MARZELでも以前取材した、『casual KAPPOU iida』の飯田さんと。「飯田さんに鰆の調理の仕方を教えてもらったんですけど、僕がわからん顔してたら、もう塩焼きにしとけって(笑)」

お部屋の中もすごいこだわりがいっぱいで。本当に、もらったり受け継いだりするものが多いんだなと思いました。

たまたま、今は僕が持ってるっていう感覚ですね。僕が処分することはないので、将来はまた誰かの手に渡ると思ってます。落語も同じ感覚です。だから大事にするし、なるべくいい状態で保存しときたいなって思います。

前回の取材は2023年1月で、あれからちょうど2年になりますが、何か変化はありましたか?

めっちゃ変わりました。落語をやってて楽しいのは変わらないですけど、少し余裕も出てきたし、1人ひとりのお客さんを見れるようにもなりました。年を重ねて、話との向き合い方も変わってきたし。いろんな人と知り合っていろんなとこに行かせてもらって、より大阪の街とフィットしてきたなっていう感覚です。

最近は東京でもよくお仕事されてますよね?アウェー感はなかったですか?

最初はありましたね、距離感のつかみ方とか。でも、大阪はどこかしら「自分のほうがおもろい」と思ってるお客さんが多いから、大阪はやっぱり難易度が高いんですよ。

大阪のお客さんは、自分のほうが面白いと思ってるんですね(笑)

「ほうほう、そないくるか~」みたいな(笑)。大阪のお客さんはほんま難しいけど、でも僕はそこで育って、そこで鍛えてもらってるから。だから、意外と向こうに行っても大丈夫なんです。

4月29日には、初めての独演会を心斎橋PARCOのSPACE14でされるんですよね?

言うたら、今までは自分が落語を届けに行ってたんです。そうやって落語を知ってくれた人たちを、今度は落語をすごくいい環境で聴ける場に連れて来るっていう、それが僕の初めての独演会。街で会った、飲み屋でしゃべったあの兄ちゃんが落語をしてるっていうのを見てもらいたい。落語好きの人はもちろん、初めて落語を聴く人たちがわっと集まってくれるお祭りになったらええなって。

今までは落語を届けに行ってたのが、今度は来てもらうと。初めての独演会、本当に楽しみですね。

ある種、今までの活動の集大成にしたいなって。30歳になる前に一回やっておきたかったんです、20代の落語としての答えを出したくて。若い人間にしかできない落語もあると思うので、それを表現できたらなと。
すごく落語に向いているハコなので、ストリートでやる感じじゃなくて、もっと引き込んで、パッと離すような。落語は空間系のエンタメなので、その世界に引き込むような感じでやりたいですね。

今は目の前にある独演会の成功が目標だと思いますが、将来的にはどこを目指していかれますか?

最近は、落語の力をもっと信じたほうがいいし、お客さんのことも信じたほうがいいなと思って。今まではすごくオフェンシブな落語をしてたんです、胸倉つかんで笑わしたろうみたいな。でもこの頃はだんだん、お客さんの気持ちが集まったときの気持ちよさを感じられるようになってきて。そういう高座をもっとやっていきたいなと思います。名人上手と言われる人たちの、くっと前に出るような感じ。それをもっと繊細に扱えるようになったら、次のステップに進めるのかなっていう感じがします。

お客さんの気持ちを引き込んで、自分のものにするみたいな。

最近めっちゃいいときって、お客さん一人ひとりから紐が伸びてきて、それをこうくっと引っ張って、パッと離したら笑うっていう感覚があるんです。そういう紐が見えるねんっていう話を後輩にしたら、兄さんそれ、やすきよのやすし師匠が同じこというてましたよって。やすし師匠は、めちゃくちゃウケた時、客席に龍が見えるらしいですって言うから、いやそれおんなじ話ちゃうわって(笑)

客席に龍が見える!すごい光景ですね。

客席の上に渦巻いてるらしいです。いや、だからいつか、龍が見たいです、大ウケした会場の上に渦巻いてる龍。


<INFORMATION>

桂九ノ一独演会 in 心斎橋PARCO

日程: 2025年4月29日(火・祝)
場所: PARCO SPACE14(大阪市中央区西心斎橋1-8-3 心斎橋PARCO 14F)
時間: 【昼の部】 開演 13:30(開場 13:00) / 【夜の部】 開演 17:00(開場 16:30)
演目: 【昼の部】 胴乱の幸助 植木屋娘 / 【夜の部】 天神山 八五郎坊主
出演: 桂九ノ一 / 桂九寿玉
客演: 桂二葉
料金: 前売 ¥2,500 / 当日 ¥3,000円

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Profile

桂九ノ一

1995年生まれ、大阪府豊中市出身。箕面高校の先輩であり、高校の50周年記念式典で落語を披露した桂九雀に感銘を受け、2016年3月に弟子入り。大阪の天満天神繁昌亭や神戸の喜楽館などに出演するほか、定期的に東京でも公演を行う。「令和六年度NHK新人落語大賞」 では決勝に進出。趣味は古着屋巡りとレコード収集。DJとしても活動中。いつか『POPEYE』に載るのが夢。目下の悩みは、落語の入門者が減っているところ。「興味ある人、インスタのDMに連絡ください!」

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