【私的録 -My Private side-】 落語家・桂九ノ一さんのプライベートは、人情噺を地でいくような、谷六なごやかご近所ライフ。


いつもの空堀通り商店街をぶらぶら散歩。

続いては九ノ一さんの案内で、空堀通り商店街へ。松屋町筋から上町筋にまで東西約800mのアーケード商店街で、どこか懐かしい風情を残しつつ、個性的なショップも充実。今回は九ノ一さんのおすすめ&行きつけを教えてもらいました。

最初に訪れたのは、いつも散髪に行くという『理容セイコウ』。3色のサインポールがくるくる回る、昔ながらの理容室です。「ほんまに古くから谷六にある店。めっちゃ古いんちゃいますかね。まだ地下鉄の谷町線ができる前の話をしはりますから」。街のことを知るには散髪屋さんがいいそうで、九ノ一さんは旅先でも時間があれば理容室に行って情報収集するそう。

「どないしたらあんたの頭かっこよくなるか、いつも考えてるねん」と、この店を切り盛りするお姉さん。

次に向かった『MARADONA RECORDS』は、DJをするときの7インチレコードを買ったり、棚に入りきらなくなったレコードを売ったり、時には買い戻したり……と、よく足を運んでいるお店。店名はマラドーナながら、店主さんがイギリスの出身だそうで、「お店の名前を決めないといけない日の前日に、マラドーナが亡くなって。好きだったし、覚えやすいいから、それでマラドーナに」というのが名前の由来。ちなみに九ノ一さんは「知らんかった…」そうで、「ずっとアルゼンチンの人やと思ってました!」

「幅広く取り扱ってはるんですけど、僕が見るのは7インチのシングル盤。ほどよい広さで見やすいし、面白いレコードもありますね」

商店街に入ってすぐのコーヒー&ケーキ『Tiffany』は、「噺家の先輩とコーヒー飲んだり、ネタ繰りしたり」するときに利用するお店。ネタ繰りとは、覚えた落語のネタをすんなり出せるようになるまで、何度も繰り返し練習すること。人それぞれにスタイルがあって、九ノ一さんは「耳栓して、ひたすらぶつぶつ言う」。散歩をしながらネタ繰りすることも多いそうで、「ぶつぶつ言いながらずーっと歩き続けて、そのまま銭湯行ったり」することもあるそう。

さらに商店街を西へ進み、最近では本当に珍しくなった手づくりのお豆腐屋さん『岡田屋本店』で豆乳を一杯。「ここも噺家の先輩に教えてもらったんですけど、豆乳がめっちゃ新鮮なんです。ほんまに美味しい」。

小さな路地があちこちにあるのも、空堀ならではの景色。路地裏の名店として人気のあった『ことみ』は惜しまれながら閉店。

そして本日のお目当て、『FAT DOG STAND』に到着!以前MARZRLでも紹介したこちらのホットドッグ専門店は九ノ一さんの行きつけだそうで、この日はオニオン、ピクルス、ベーコン、チーズのBC DOGをハラペーニョトッピングでオーダー。九ノ一さん的にハラペーニョは絶対だそうで「辛いの大丈夫やったら間違なくのせたほうがいい。なんならダブルでもいいくらい」。おすすめを聞いてみたところ「全部ですね。マジでむちゃくちゃうまいんで」とのこと。

大事な賞レース前にもここのホットドッグを食べて気合いを入れたという九ノ一さんの話に、「そんなん言うてもらったらめっちゃうれしいわ」と店主の佐竹さん。

西から東へ、上り坂になっている空堀通商店街。お店が閉まった後の夜更けは、信号がないためウーバーイーツの最速ロードになるとか。

谷六の暮らしはすごくしっくりきているという九ノ一さん。「旅仕事が終わって谷六の駅を降りたら、帰ってきた!っていう感じがしますね」

住んで2年半とは思えないほど、「自分の街」感があるなじみっぷり。
取材から2年、桂九ノ一の現在進行形。
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Profile

桂九ノ一

1995年生まれ、大阪府豊中市出身。箕面高校の先輩であり、高校の50周年記念式典で落語を披露した桂九雀に感銘を受け、2016年3月に弟子入り。大阪の天満天神繁昌亭や神戸の喜楽館などに出演するほか、定期的に東京でも公演を行う。「令和六年度NHK新人落語大賞」 では決勝に進出。趣味は古着屋巡りとレコード収集。DJとしても活動中。いつか『POPEYE』に載るのが夢。目下の悩みは、落語の入門者が減っているところ。「興味ある人、インスタのDMに連絡ください!」

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