「車も、カジュアルに着くずす感じ」。古着屋から中古車屋に転身した三上直記さんが提案する、“チープアップ”な車の楽しみ方。


車の価格と満足感は、比例しない。

「若者の車離れ」とかよく聞きますけど、感覚的にはどうですか?

僕は全然、感じないですね。20代の子が、ボルボ240乗りたいんですよ!とかって来てくれますし。今の20代前半って僕らの若い頃と似てて、けっこう勢いあるんです。高級車志向とかもなくて、素直に好きな車に乗りたいって感じ。ゆとり世代が一番買わないかな。僕らの若い頃は、車はどこでも自分の好きなところに行ける自由の翼みたいなイメージがあったけど、ゆとり世代は、車は税金や維持費が高くて、車を持つことが足かせになってるイメージ。それが20代前半になると、僕らと同じく、車があったら自由になれるって感覚を持ってるみたいです。

滋賀の飲食店オーナーさんに納車したボルボ240。「マット(艶消し)塗装にマッドテレーンを履かせたクロスカントリースタイル。渾身の出来です!」というこだわり仕様。

三上さんの肌感では、全然若者は車離れしてないんですね。

自動車メーカーが、若い子が欲しくなる車を作ってないんじゃないですかね。メーカーが想定する若者像が古いと言うか。若者がクーペとかスポーツカーを喜ぶって価値観がもう昭和。日本車もまだ1990年代は、みんなが胸を熱くする車があったんですけどね。バブル崩壊後はマーケティング主導になって、デザインも似たり寄ったり。

そういう車は、今の若い子には響かない?

最新型のギラギラした高級車じゃないと恥ずかしいって価値観は、若い子たちにはないんじゃないですかね。それに、収入は昔とそこまで変わらないのに、車の値段はすごく上がってますよね。軽自動車でも新車なら200万ぐらい。それなら、100万ぐらいで気軽に、好きな車にしませんかって。うちで200万円持ってこられたら、もうスーパーカーでも出しましょか!?みたいな感じですよ。

自分好みの安くておしゃれな車を選ぶって感覚、今までなかったのが不思議なぐらい。

車の価格と満足感って、比例しないと思うんです。自分が気に入ってカスタムした2002年製のフォルクスワーゲンポロと、好みじゃない新車を交換してあげるって言われても、いや結構ですってなりますよね。安くても、幸せは手に入る。そこに優劣ってないんです。

なるほど、「安くても、幸せは手に入る」。名言ですね。

注目してるのは、90年代のイケてないハッチバック。

屋号の「ゼロカートラブル」は、どんな思いを込めて命名されたんですか?

これ、1分ほどで決めた名前なんです。事業を始めるときに、まずホームぺージを作ろうと思って詳しい友達に頼んだら、SEO対策で頭にゼロをつけるといいって言うんですよ。それで、ゼロマーボードーフとか?って適当にふざけてたら友達が「こっちも忙しいのになにふざけてんねん!」って怒りだして、慌てて口から出たのが「ゼロ、ゼロ、ゼロ……ゼロカートラブル!」。それでドメインが決まって、14年間この屋号でやってます。

1分で決めたとは思えない、いい名前だと思います(笑)。三上さんはずっと、欧州車メインなんですか?

大人になってからはそうですね。子供の頃は日本車もアメ車も好きでしたけど、自分が乗るようになってからはヨーロッパ車。走りもデザインも好きで、プライベートでも歴代20台ぐらい乗ってます。今乗ってるのは、オペルですね。

個人的に気になってる車、これから来そうな車ってありますか?

90年代のダサめのハッチバックが僕的にはツボですね。僕らが中学生ぐらいのときに、親世代が乗っていたような車。おしゃれな90'sじゃなくて、イケてないほうの90's。シートの柄とか絶句しそうなくらいダサいやつがいいですね。うちでイベントしたときに、アパレルのお客さんと、ダサいシート柄のカーディガンとかあったら逆に欲しいなって話で盛り上がりました(笑)。

お店でイベントとかもされてるんですか?

カレーとか洋服とか、時々やってます。4月にも、屋台みたいにいろんなお店が出店するイベントを予定してたんですけど、残念ながらコロナで延期になってしまって。一応6月に延期して開催する予定です。

コロナの影響がそんなところに……。では最後に、今後の展開とか新たに挑戦したいことを教えてください。

それが、ないんですよね。ひとつのことしかできないので。強いて言うなら、ダイエットに挑戦したいですね。痩せたい、痩せたいです。

123
Profile

三上直記 naoki mikami

滋賀県出身。服飾の専門学校を卒業後、古着を扱うセレクトショップを経て、自身の古着屋をオープン。幼い頃から無条件に好きだった車を商売にするべく、資金を貯めて27歳で「ゼロカートラブル」を開業。元古着屋という経験もあり、レギュラー古着感覚で手ごろに自分好みの車を楽しむスタイルを提案。あえて鈍臭いカスタムでダサかっこよく仕上げる“チープアップ”を標榜し、注目を集める。現在、主食の代わりに二八蕎麦・十割蕎麦を食べる「蕎麦ダイエット」で8㎏の減量を達成。

Shop Data

ゼロカートラブル

〒 551-0031 大阪市大正区泉尾1-36-10
営業時間/11:00~20:00
06-6533-5045 (営業時間外は090-5040-2794)

https://www.zero-cartrouble.com/

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE