突っ走って足踏みして、いよいよ10周年。THE大阪なHIP HOPフェス『AIR CONTROLLER』のKEITAさんが仲間と築いてきたのは、純粋なHIP HOP愛と全部やっちゃうDIYスタイル。


さすがに3回連続開催できないと不安も募ったけど、このフェスがなくなるわけじゃない!何も気にせず開催できる日を待とう。そんな前向きな気持ちで過ごしながら、ようやく今年を迎えることができたんです。

2回目も錚々たるメンツが揃い、大阪のHIP HOPフェスとして認知されていく中で、3回目からは入場料が無料になりましたが、そのきっかけって?

<COCOLO Bland>のHARA-Qさんが、Jambo Lacquerとかに「入場料を無料にしてみたら?」ってアドバイスしてくれたんです。僕らはフェス=チケットという概念があったから、無料にするっていう考えすらなかったですが、それはめちゃくちゃいいなと!運営する上ではお金も必要だけど、とにかくフリーフェスでやってみることにしたんです。

でも、チケット収入がなくなるから、他に収益源は絶対に必要ですよね。

だから、ドリンクや物販だけじゃなくて、フードも自分たちでやろうってことになったんです。

記憶がないくらい忙しいのに、さらに自分たちを追い込んでいくんですね(笑)

それでもやっぱりフリーがいいかなと思って(笑)

どんなフードを?

WARAJIのメンバーであるブギ丸のオカンが作るペッタン焼きです。お好み焼きの小さい版みたいなものなんですが、幼少期の頃にブギ丸の家に行ったらいつもオカンが焼いてくれててめちゃ旨かったらしくて。当日のために作る練習もして、ちゃんとホットプレートも用意してたんですけどね……。

何か起きたんですね?(笑)

そもそもフリーフェスにしてるじゃないですか。だから、開場してすぐにめちゃくちゃ人が来てしまって…。しかも焼き上がるのに10分くらいかかるから、想定しない行列もできて、かなり悲惨な状態になったことをなんとなく覚えてます。

お客さんはどれくらい来たんですか?

1000人くらいですね…。

フリーフェスになって、一気に増えたと。

正直、そこまで一気に増えるなんて想像すらしてなくて。みんな例年通りと思って立ち向かってるし、相変わらずステージとの掛け持ちだし、そこにフードまでやり始めてエライことになったから、マジで大変でした。自分たちではもう1つのフードとしてカキ氷も販売したんですが、カキ氷機がすぐに壊れてしまって(笑)

ほんまに悲惨が連鎖……。

確かその翌年あたりは、ジャークチキンとかを自分たちで出店したりもしたんですが、やっぱり大変でした(笑)

チョイスが大変な方、大変な方って感じですね。

毎度疲れすぎて記憶がないのと、「やろうや!」っていうノリが原因かもしれません(笑)。かなりDIYなフェスですし、毎年ゼロスタートなんですよ。さすがにフードは懲りたので、自分たちで出店するのはやめましたけどね(笑)

ステージやいろんな業務を掛け持ちしてるから、それが正解だと思います(笑)。でも、お客さんからしたら出演者が物販だけじゃなくて、ドリンク販売もしてくれてたらより楽しめそうだし、距離もグッと縮まるなと。

フリーにしてからはずっと1000人前後の集客をキープできてて、お客さんがすごく楽しんでくれてるんです。終わった後はいつも感謝されて、僕らとしてもそれが実感できるからこそ続けられている。正直、やめるって感じにはなれないんです。年1のフェスなので同窓会みたいになってたり、再会を楽しんでるシーンもよく見かけるので、「このお客さんたちのために!」っていう想いは年々強まってますね。

記憶はなくても、その実感が残ってることが全てですよね!もし、うっすらとでも覚えてるような印象的な年はありますか?

うーん…、2017年ですかね。初の海外ゲストとなるRAS Gを招いた年で、エアコンの前後1週間くらいでジャパンツアーを組んだんです。東京、名古屋、加古川、大阪2箇所、そしてエアコンという感じで各地を巡ったから、特に印象深かったかな。ただ、例の如くエアコン当日の記憶はありませんが(笑)

そこはもうマストですね(笑)。大阪のHIP HOPフェスとして着実に浸透して、集客面でも安定してきた中、いよいよ10周年&10回目を迎える2020年にコロナ禍となり、足踏みするもどかしい時期が続きました。当時の心境はどんな感じでした?

スムーズに10周年を迎えられなかったのは悲しかったし、僕らもすごく楽しみながら企画してますが疲労もハンパないので、まぁ1回くらいは休んでもいいかなって。ただ2020年は開催できず、2021年も無理になり、「いつできるんやろ?」っていう不安はありました。幸い両年ともに会場費は返金されたから助かりましたけど、2022年は自己判断で中止を決めたのでもどかしさが残ってたのを覚えてます。

確かに2020年と2021年は行政の指示がありましたが、昨年は世の中的にも決断を迷う空気がありましたよね。

仕方ないことですが、さすがに3年連続できず、ずっと10周年&10回目を迎えられなかったのは辛かった。「残念やな」と言うてくれる先輩たちの顔が、ふと思い浮かぶ日もありましたしね。ただ、このフェスがなくなるわけじゃないし、あくまでも事象的な問題だけだから、何も気にせず開催できる日を待とう!そんな前向きな気持ちで過ごしながら、ようやく今年を迎えることができたんです!!

お客さんにHIP HOPを思いきり楽しんでもらいたいから、エアコンはこれからも続けます!スピンオフ的にDJのイベントもしたり、個人的には上田正樹さんと和レゲエのイベントもしたいなって。
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Profile

KEITA

DJ・選曲家、ライター、和レゲエ愛好家。大阪のHIP HOPフェス『AIR CONTROLLER』のオーガナイザーの1人であり、音楽レーベル『アイタル』を運営。HIP HOPと和レゲエと風呂をこよなく愛しながら、音楽にまみれた日々を過ごす。和レゲエへの深い愛と造詣がほとばしるnote『和レゲエ数珠繋ぎ』は必読。

https://italslang.thebase.in/
https://note.com/wareggae/

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