飲食店で働く、を変える。二甲、横目、喫酒オルタナを仕掛けてきた前田貴紀さんが伝えたい、残したい、変化していくことの強さ。


飲食業をもっと昇華させたいんですよ。働いてる人の立ち位置も、給料面も、労働環境も全て。僕らの会社で働いてる時は、「飲食店で働いてる」とは言わないようにしたい。

お店の歴史をいろいろ伺ってきましたが、次なるお店のオープンが控えてるんですよね?しかも阿波座だと聞きました。

街の中心地にサードプレイスを提供するという発想でつくられた、『ESC Garage & Club』に出店します。会員専用のガレージやラウンジ、サウナがある特殊すぎる施設で、周囲は完全な住宅街。今まで商業施設の出店は断ってたんですが、商業施設ではないし、コンセプトもロケーションも素敵で、飲食店は僕らだけ。だからどうしてもチャレンジしたかったんです。

なんか、めちゃくちゃすごそうですね。

八光カーグループさんが顧客向けにつくった施設なので、すごいです。でも、僕らのお店は会員制じゃなくて入店自由だから安心してください(笑)。僕がこんな感じやし、大丈夫です。

それは安心です(笑)。どんなお店になるんですか?

二甲ブランドを復活させて、『二甲立食店』としてオープンします。ビシャカツも復活です!

二甲ブランド、新章突入ですね。

正直、今まで接したことのないような人と出会えそうですし、客層も未知。飲食店も少ないエリアで、『MERICAN BARBER SHOP』の結野君がプロデュースするバーバーも出店するから、僕らとしてもワクワクしかないですね。9月22日(金)のグランドオープンを楽しみにしててください!

また新しい人の流れが生まれそう。今まで話を聞いてきて、やりたことの領域やステージがどんどん広がってると思うんですが、前田さんがこれからしたいことって?

あくまでも全てが上手く起動に乗っての話ですが、2026年までの計画はありますね。まず来年は京都の二条城周辺に、その翌年は名古屋の鶴舞に出店予定で、お世話になった街に帰っていくスタイル。京都は学生時代に過ごした街だし、名古屋はお世話になってるデザイン会社のビルを活用させていただくんですが、仲良しの友だちもたくさんいるんですよ。そして、2026年は地元の福岡へ。そこで直営は一旦終わらせて、以降はフランチャイズ展開や食物販の事業を考えてます。

すごい計画!全部載せちゃってもいいんですか?

全然いいですよ。でも、もしかしたらズレるかもしれないし、なくなってしまうかもしれないから、計画ってことで(笑)

了解です(笑)。でも、お世話になった街に帰っていくのって、いいですね。凱旋というか、故郷に錦を飾る的な。しかも、飲食業だからその街と再び深く交わり、関われる。

僕から飲食業は切っても切り離せないですし、人のライフスタイルや衣食住には事業として関わり続けていきたいんです。その未来に向けて、一緒に歩めるメンバーを今集めてるところ。飲食だけが好きな人は別に採用してなくて、わかりやすいけど服が好きとか、写真が好きとか、音楽やってるとか、モデルやってるとか、結果的にちょっと変わった人ばっかりが集まってますね。

店も、街も、やっぱり人がおもしろくするものですからね。どんどんいいチームになっていく気がします。

働いてくれてるスタッフも同じ人間だし、「代わりがきかない人になりなさい」って常々言ってるんです。誰でもいいと思われるのは不憫だし、そういう感覚で人を選ぶような人間にはなってほしくない。採用も育てることも、すごく気にしてますね。それに、飲食ってめちゃクリエイティブな仕事。だからね、「飲食店で働いてる」という言い方を、他の表現にできないか今考えてるんです。

接客、料理、空間、全てにクリエイティブが求められるし、そのどれもがコミュニケーションだし。

飲食業をもっと昇華させたいんですよ。働いてる人の立ち位置も、給料面も、労働環境も全て。僕らの会社で働いてる時は、「飲食店で働いてる」とは言わないようにできる言葉を生み出して、言葉だけではなく、そう実感できる会社にしていきたいなと思ってます。

ええ会社っすね。この記事を読んで、「前田さんたちと一緒に働きたい!」って思ってくれるおもしろい人がまた集まれば、僕らとしても本望です。ちょっと補足で聞きたいんですけど、人を見る部分の話はいろいろ伺いましたが、逆に、人に見られることに対してはどう考えてます?前田さんのこと、1回見たら忘れへんなと思って。鼻ピがこれからどこまで大きくなるかも気になりますし(笑)

鼻ピはね、多分これがマックスです(笑)。僕に限らず言えることですが、今の時代っていろんな情報を得られるし、見よう、知ろう、探そうと思えば何でもできるじゃないですか。でも、特徴のある人が少ないなと。うちのお店はスタッフやお客さんにも特徴のある人が多い方ですけど、その少なさがすごく気になってるんです。特徴をつくることって、自分をプロデュースしたり、ブランディングする感覚。僕は覚えてもらいたい、1回でもしゃべったら忘れてもらいたくない気持ちが強かったから、結果的にこうなりました(笑)

やっぱりそこにも意識が向いてるんですよね。

趣味嗜好やファッションはその時の気分で変わったとしても、ちゃんと芯はもっておきたいんです。例えば、「それどこのやつ?」って言われたいとか。今つけてるブレスレットは<ブルーナボイン>なんですが、お客さんが聞いてくれたので説明したら、同じものを買いに行ったみたいでね。後日、ブレスレットつけて来店してくれたんですよ。そんなん単純にうれしいじゃないですか。

前田さんに会いに来てくれてるわけだし、コミュニケーションも広がってる。

僕は働いてくれてるスタッフ1人ひとりが、やっぱりそうあるべきやなと思うんです。飲食業って見られる商売だし、そこも含めて何か芯をもっておいてほしい。料理を食べてもらうだけじゃないで、お酒を飲んでもらうだけじゃないでって。だから、おもしろいんやでって。


<前田さんのお気に入りのお店>

たつみ(京都市中京区中之町)
学生時代から入り浸ってた大衆酒場。今でも行ったら覚えてくれてるし、やっぱりおじいちゃんやおばあちゃんが働いてる店が好きなんです。

IMA:ZINE(大阪市北区中津)
尊敬する谷さんがディレクターを務めるセレクトショップ。谷さんのスタイルと影響力って、ほんますごいなと思います。

raw light space(大阪市北区中津)
照明やインテリアが好きなので、ちょくちょく通ってて、代表の尚哉さんとは照明のスタイリングの仕事も一緒にさせてもらってます!

LIGHT YEARS OSAKA(大阪市福島区吉野)
地元福岡に本店がある、アンティーク雑貨や民芸品を扱うショップ。何でもないけど惹かれてしまう、そんなオブジェなども多くあるので定期的に通ってます。


<INFORMATION>

二甲立食店

2023年4月に惜しまれつつも幕を閉じた街の料理店が、立食店となって復活。二甲ブランドがつくってきたあのストリート&カルチャーな雰囲気を立ち飲みスタイルで体感でき、名物のビシャカツとも再会できます。グランドオープンは9月22日(金)!!

住所: 大阪市西区立売堀6-7-12 ESC Garage & Club 1F
営業: 17:00〜23:00(昼は未定)

https://esc-gc.com/
Instagram: @nikoh_risshokuten

123
Profile

前田 貴紀

1988年福岡県生まれ。株式会社等白 代表。2020年4月に新町に『二甲料理店』、2021年10月に『お料理 横目』をオープン。2023年6月に『二甲料理店』の幕を閉じて、初のプロデュース店舗となる『喫酒オルタナ』を手がける。趣味は何も考えずに映画を観ることと、増え続けているガラクタ集めで、古物商の免許を取ることも目論み中。好きなお酒は、学生時代から愛飲し続けているハイリキ。

https://www.touhakuinc.com/
 
お料理 横目:Instagram@oryori_yokome
喫酒オルタナ:Instagram@kissa_alterna
二甲立食店:Instagram@nikoh_risshokuten

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE