罪(Sin)×偶然(Synchronicity)×時(Clock)がリンクする時、人生が動き始める。2月10日公開の映画『Sin Clock』で主演を務める窪塚洋介さんにインタビュー!


誰にでも声を掛け合う関西らしいカルチャーや性格が好きだし、肌に合うって感じる。人生を変えたいなら、自分を信じ抜くこと。

撮影はオール関西ロケでしたよね。一見、そこまで!?と感じるくらいコテコテの関西人も出てくるけど、実際にいますよね、こういう関西人(笑)

この作品に関わっている人たち、9割近く関西人で構成されてたからね。俺は出身は関東だけど、とは言えもう関西に住んで11年目だから関西人みたいなマインドであるし(笑)。もともと友達も大阪に多かったし、飯も安くて美味しいし。関西人てすごいズケズケ入ってくるって言われるかも知れないけど、俺は誰にでも声を掛け合う関西らしいカルチャーや性格も好きだし、こういう感じが肌に合うって思うよ。

オール関西ロケだったことで、何か気分的な影響はあったりしましたか?

すごい新鮮だったよ。普段東京で使ってる社用車でマネージャーが自宅まで迎えに来てくれるのもそうだし、撮影場所がどこも自宅から1時間圏内で、撮影が終わったらそのまま自宅に帰れるっていうのもなんか不思議な感じがした(笑)。普段は、撮影場所とホテルの往復だったりするから。しかも関わってくれている人のほとんどが関西人で、現場で関西弁が飛び交っていたのも仕事というより普段の日常すぎて、それが何かおもしろかったね。

なかでも印象的な撮影スポットはありましたか?

撮影場所は神戸が多かったんだけど、すごく撮影に協力的な街だったね。劇中のタクシー会社も自宅からけっこう近所だったり(笑)

長田庄平(チョコレートプラネット)さんや般若さんら、まさかのカメオ出演も見どころのひとつですね。

自分は普段からテレビを見ないから、失礼ながらチョコレートプラネットさんもそれまで存じ上げなかったんだけど、YouTubeで彼らのネタを色々見てみたらすごいおもしろくて(笑)。長田さんはブチ切れて俺を罵倒してくる警官という役なんだけど、そのシーンを一生懸命に演じてくれてるのに、事前に彼らのネタを見てしまったもんだから、なんかその真面目な姿がツボに入ってきてしまって(笑)。「めっちゃキレてるやん」「ムカつくわあ」って思ってたらなんか笑えてきて、吹き出したりして(笑)

(笑)。異色のキャスティングのなかでも、Jin Doggさんのあれは、狂気の沙汰でしたよ……。

監督は実際に彼のライブを見てこの役をオファーしたみたいだよ。彼も最初は演技という表現に身構えちゃってたところがあったみたいなんだけど、劇中の冒頭の円卓のシーンを撮る時に、リラックスの意味も込めて「もう、マジでみんなで酒飲んじゃいましょうよ」って提案して。そうやって肩の力を抜いてから撮影スタートしたら、いつものJin Doggが戻ってきてくれた(笑)

あれが「いつもの」って怖すぎます(笑)

いや、あれがスタンダードはヤバいだろって俺も思うけど(笑)。何かのコメントに「この人、映画に出していいの?」「この人は素でやばいじゃん」て書き込まれてた(笑)

この物語は人生の逆転劇だけど、もし現実に「人生を変えたい」と思った時、窪塚さんならどうすると思います?

こういうのって「言うのは簡単だろ」って思われるようなことかも知れないんだけど、やっぱり「自分を信じ抜くこと」から始めていくべきだと思う。そこを起点にしておくことが何よりも大事なことだと思うから。そこから、まずは小さい1歩でもいいから前に進んでいく勇気を身に着けていくこと。自信を失っている時って、それが小さい一歩でもすごく恐いんだけど、それでも震える足を前に出す勇気を持つっていうか。

俺自身も落っこちちゃって怪我したり(2004年の自宅マンションからの転落事故)、そこから色んなものを失ったあの時期に、レゲエという音楽をやるという一歩に賭けたようなところがあって(卍LINE名義のレゲエDee-Jayとしても活動)。あの頃は、そっちに進んでいかないともう道が無いっていうところまで来ちゃってたから。結果的にはそれぐらい背水の陣であったことが、新しい方向に人生の舵を切る後押しにもなったわけなんだけど、音楽をやったことで自分自身に対する自信だったり、そこから先の希望とか夢とか、そういうものを少しずつたぐり寄せて、しっかりと掴み直すことができたから。時間はかかるかも知れないし惨めな思いもするかも知れないけど、その時間も今振り返ってみればすごく刺激的で面白い時間と経験だったなと思うよ。

こうしてスクリーンのなかにいる姿を見て改めて感じたことなんですが、窪塚さんの俳優としての存在感はやはり群を抜いているなと。俳優という表現を、自分自身ではどう感じていますか?

自分自身でも役者は天職だなと思う。音楽も好きな表現方法だけど、天職とはちょっと違うように感じるから。役者という表現に関しては自分は無敵だと思えるし、芝居をすること自体もどんどんおもしろくなってきてる。実を言うと『サイレンス(2017年日本公開のマーティン・スコセッシ監督作品)』でキチジロー役を演じた時に、正直「俳優やめてもいいかな」って思ったんだよね。もう、これ以上の舞台はないんじゃないかって思って。

そうなんですね……。

うん。あの役をやり遂げて、レッドカーペットを歩いてきて「この経験だけで俺は死ぬまで生きていけるわ」と思ってたんだけどね。でも、時間が経つにつれて、やっぱりまた演技をやりたいっていう衝動みたいなものが沸いてきて。「ああ、やっぱり好きなんだな」って改めて気付いたっていうか。この映画の高木じゃないけど、自分にとっては「生きている実感」を感じられるものだと思うから。


『Sin Clock』あらすじ

高木は鬱憤を溜め込んでいた。理不尽な理由で会社をクビになり、妻子から突きつけられた三行半。ようやくありついたタクシードライバーの仕事では、客から蔑ろにされる最低の日々。そんなある日、高木のもとにどん底の人生を変えるチャンスが舞い込んだ。“偶然”客として乗せた政治家・大谷が漏らした、数十億円もの価値を持つ“幻の絵画”につながる手がかり。高木はサヴァン症候群により驚異的な記憶力を持つ番場、裏社会に通じる賭博狂の坂口ら「3」という数字に奇妙な共通点を持つ同僚ドライバーと手を組み、欲に群がるヤクザ、アウトロー、闇ブローカー、ホステスらを巻き込んだ絵画強奪計画を画策。たった一夜での人生逆転を賭けた“完璧なプラン”だったが……。「3」という数字がもたらす想定外の“偶然の連鎖”に翻弄され、高木の思惑をはるかに越えた結末へと走り出していく。

キャスト

窪塚洋介、坂口涼太郎、葵揚、橋本マナミ、田丸麻紀、Jin Dogg、長田庄平、般若、藤井誠士、風太郎、螢雪次朗 ほか

スタッフ

脚本・監督:牧 賢治
配給:アスミック・エース
©2022映画「Sin Clock」製作委員会

公式サイト
HP:https://sinclock.asmik-ace.co.jp/
Twitter:@SinClock_movie
Instagram:@sinclock_movie

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Profile

窪塚 洋介

1979年5月7日生まれ。『金田一少年の事件簿(95’)』で俳優デビュー。その後『池袋ウエストゲートパーク(00)』でのキング役で注目を受け、『GO(01)』で第25回日本アカデミー賞新人賞と史上最年少での最優秀主演男優賞を受賞。2017年にはマーティン・スコセッシ監作品『Silence-沈黙-』において、物語のキーマンである“キチジロー”役を獲得し、ハリウッドデビューを果たす。俳優だけに留まらず、卍LINE名義としてレゲエDee-JAYや、執筆活動やプロダクト開発、YouTube発信など、多岐に渡るクリエイター/アーティストとしても活動する。

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