WEBで読めないから取りに来て!元カジカジ編集部メンバーが拠点となる中崎町を取り上げたフリーブック『NAKAZAKI ACT』は鮮度100%、「今」の中崎町を凝縮した濃厚な一冊。


大手アパレルが進出していない中崎町は、「いい意味でディレクションされてない」。

実際に中崎町を取材されてみて、どんな印象でしたか?

和島:「個」が立ってるなあと思いましたね。専門的なお店も多いし、店主さんとかお店のキャラクターが際立ってて、そこに集まるお客さんもまた個性的な感じで。流行に左右されず、純粋に好きなことを商売にされてる印象でした。

洗練とか流行とかは関係なく、ブレずに好きなことを突き詰めていると。

高松:テナントひとつひとつが小さくて、大型店がないんです。大企業のアパレルショップとかが入り込めない場所。だから個性の強い小さなお店が多くて、梅田にこんなに近いのに、都会の最先端が流れてこないんですよ。

そういえば、梅田とはぜんぜん空気感が違いますね。

栗山:大手のアパレルとかがないから、いい意味でディレクションされてなくて、個が乱立してるんです。ストリートカルチャーってまちにいる人から生まれてくるものだと思うんですけど、そういう意味では、中崎町にはそれがあるのかなって思いますね。

「お店の人もそうやし、まちを訪れる人もマイペースな印象」と和島美緒さん。

自分の好きなことを、自分のペースでできるまち、みたいな。

和島:そういう傾向があるというか、やりやすいんじゃないかな。マイノリティにも優しいというか、むしろ「マイノリティですがなにか?」みたいな。でも決して閉鎖的なわけではなくて、横のつながりとかはそんなにないんですけど、干渉しあわずお互いに自由なんです。

栗山:住んでる人も多いし、専門学校が近いから若い子もいっぱいいるし、休日はカメラを持った人もたくさん歩いてるし、今はコロナで少ないですけど、前は民泊とかもあって外国人の観光客も多かったらしいです。ほんとにいろんな人がいるんですよ。

中崎町は、多様性を受け入れてきたまちなんですね。

高松:だから巻頭に出てくるモデルさんたちも、中崎町の多様性を表現できたらと思って、外国人や若者、LGBTQ、いろんな人たちに登場してもらいました。

サウナのサ活はもちろん、中崎町のシンボルともいえる「大東洋」で撮影。ちなみに中崎町は、犬もすごく多いそう。

「作りながら、これは違うなって」。シュッとしたデザインから、ギリギリで全面変更を決断。

取材で苦労されたこととか、大変だったことはありますか?

高松:それが、ないんですよね……。カジカジを長年やってきたのでみんな慣れてるし、取材範囲がコンパクトな分、むしろやりやすかったですね。

村上:徒歩圏内なんで、アポイントも電話じゃなくて直接行ったり。

和島:お店の人も、中崎町を盛り上げたいっていう想いを伝えるとすごく快く協力してくださって、「いいですよ~!」みたいな感じで。

取材や撮影で苦労したことを聞くとしばし考え込んだ後、「……ほんまにないんですよ」と高松直さん。

苦労がなかったっていうのはすごいですね。

名越:村上くんはちょっと苦労してたけどね、サンドイッチ企画。

村上:そうですね、サンドイッチを取り上げることになったけど、知ってるお店がひとつしかなくて。食べ歩いて探しました。

和島:あとは、お店が開いてる時間がバラバラとか?平日は一日しか営業してなかったり、アポイント制だったり。みなさんそれぞれ自分のペースで営業されてるところが多いので。

サンドイッチを特集した村上竜一さんは、『納豆マガジン』やアパレルブランド<ネバネバビーン>を手掛ける納豆ラバー。以前、『MARZEL』にも登場していただきました。

そういうところが中崎町なんですね。

栗山:ご近所付き合いの延長で本を作らせてもらった感じで。むしろ大変だったといえば、取材のあとですね。最初はもう少し、シュッとした誌面にするつもりだったんです。もっと今っぽい感じに。でも取材してみて、これは違うぞって。それで、デザインをギリギリで全部変えたんです。

え、誌面のデザインを全変えですか…!?

栗山:表紙も一枚もののビジュアルだったし、フォントとかも全然ちがうものでした。もともとはシュッとしたデザインのほうにもっていこうとしてたんですけど、みんなの印象として、シュッとすることが中崎町にとっていいことではないなと。それで、思い切ってデザインを変えたときに、全員すごく納得できたんです。まちの個性を受け入れて、それをデザインに落とし込んだ感じですね。

和島:このデザインになったときにめっちゃハマってて、これこそ中崎やなって。すごくまとまって、しっくりきました。

デザイナーさんはびっくりされたんじゃないですか?

栗山:いや、なにか違うなっていう感覚は同じだったと思います。このままでもいいんだけど、でももうひとつ何か……っていうところは。だから撮影が終わってからここに来るまでが、いちばん時間がかかったんじゃないかな。

名越:みんなベテランですからね。外に対する苦労より、着地させるための苦労というのがあったと思います。

今っぽくおしゃれに見せるより、中崎町のありのままをどう見せるか、だったんですね。

栗山:昭和とかレトロとか古い街並みとかそういう印象があると思うんですけど、でもそれだけじゃないっていうのは絶対伝えたかったので。新しい中崎町は、見せられたんじゃないかなって思います。

デザインの全面変更を決断、「色校とか修正だらけでもう大変でした」と栗山さん。
「いらなくなったら返してほしい」くらい、想いを込めて、大切に作ったマガジン。
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Profile

STAND MAG

クリエイタークルー

中崎町を拠点に編集活動を行う、元カジカジ編集部を中心としたクリエイタークルー。フリーディレクター・エディター・ライターとして活躍しながら、ヘア、納豆、古着、麻婆豆腐など各々の「好き」をさまざまなカタチで発信中。拠点とするアパートメントに併設するはギャラリースペースでは、多様なイベントも展開。

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