【ぼくらのアメ村エトセトラ vol.6】 <CMK>のJOEとCASPERが描いてきた、これからのアートシーンに痕跡を残す、想いと覚悟があるグラフィティアート。


絵も映画も音楽もスポーツも…、衣食住に関係ない仕事やからホンマにすごい作品で人が感動するものを創らないと意味が無い。趣味じゃなくてプロで芸術やるなら、そこが最低ライン…そんな想いで描いてます。

帰国後も精力的に描き続ける中で、高野山の恵光院に守本尊毘沙門天図、天橋立の和貴宮神社の拝殿に天井画を奉納されるなど、グラフィティの枠を超えたさまざまな活動をされています。そうした制作におけるJOEさんのこだわりを聞かせていただければと!

これは自分の見解ですが、基本的にグラフィティも他のアートも衣食住に直接関係するものじゃないので、極論を言えば、芸術はそもそも存在価値が希少で稀なケース。北斎や国芳やミケランジェロやダヴィンチ…、あそこまでの存在になるとやっぱり感動して見入ってしまうし、自分も描くからには、本当に人の心を揺れ動かすような作品を生み出したい。ひとつひとつの作品がとんでもない大作でなければいけない、そんな想いを持って描くようにしてますね。それがプロでやる義務でもあると感じます。

僕は、アーティストの方々って瞬間、瞬間に魂を削りながら描いてると思ってるんですが、JOEさんのその言葉を聞いてすごく納得しました。毎回、大作を生むって、相当な覚悟がないとできないですし。

今は6月15日(木)から始まる「コンテンポラリーアートコレクション」の作品制作の佳境ですが…、今回もアイデアを絞り出すのにたくさんの時間を使いました。もやもやしたアイデアを頭の中で具現化するのに適した精神状態がありますから、そこに持ってくのが大変ですね。ただ、描き始めたら速いですが。

出展されるこの作品も、めちゃくちゃかっこいいですよね!静と動が共存してて、重厚なのにグラフィティならではの躍動感もあります。

掴んだはずのアイデアが再現できずに行き詰まり…、発狂し…、ふと降りてきたアイデアをメモしたりして…、描いてみると納得いかずまた発狂して…の繰り返しですね。その絵を観た人の心を動す絵なんか簡単には描けません。集中できる環境でひたすら孤独に感覚を追い込むと少し描けたりするものなので、その少しずつをキャンバスに写し溜めていく繰り返しです。

魂を削ってますね…。ちなみに、これは作品として世に出せる!という、JOEさんの中にある納得のラインは?

言葉では説明しづらい部分もあるんですが、パッと見た時にパワーや美しさや想いが宿ってるかどうか。趣味で楽しんで描かれてる方々は別として、プロでやってる以上は観た人を感動させる何かが無いといけないですね。

確かに、この作品にはJOEさんのパワーとか想いが宿ってるように感じます。それがJOEさんのスタイルであり、作風なのかなと。

ありがとうございます。そんな力をもっと内包したスタイルを突き詰めて頑張っていきたいなと思います。誰かと似たようなスタイルを、オマージュやインスピレーションって言葉で片付けたくないので。スタイルを競い合うゲームだから、パクりはあかんと思うんですよ、芸術は。

今話していただいたように、作品は常に進化してると思うんですが、その一方で変わらない部分はあるんでしょうか?

自然の中にある力強さ、何か特別な法則に添った美しさ、昔から無意識のうちに利用していたんだなと今になって気づきますが、最近はそれらを意識的に取り入れて描くようにしてます。闇雲に描くことはなく、まず頭の中でイメージ高め、いいフィーリングが降りてきたら一気に描く感じですね。あとアーティストは生き様が作品に宿るので、そっちも磨いていきたいと思ってます。

めちゃ興味深いです。深層心理がいくつもの時間を超えて見えてきた。そう考えると、作品を描くまでのマインドセットもすごく重要な気がしますね

作品制作時は集中を高めたいので、外音をシャットアウトして携帯もOFFで酒も飲まなくなります。描くまでのプロセスも大切で、特別な絵を描ける精神状態にするために、絵を描く以外の暮らしから準備していくんです。そこから降りてきたものをキャンバスに継ぎ足していく…、そんな感じです。

やっぱり作品への向き合い方が真摯的だなと。今回の「コンテンポラリーアートコレクション」で展示される作品がさらに楽しみになったんですが、何点くらい出展されるんでしょうか?

CASPERと二人で、トータル30点くらいの数を制作して展示する予定です。

お二人をご存知の方はもちろんですが、そうでない方にもグラフィティアートの力を伝える機会になりそうですね。

自分たちを応援してくれている方々に感謝と恩返しも込めて、全身全霊で作品を仕上げます。展示には他にもたくさんのアーティストさんが参加されていて、全体で500作品ほどが出展されるので、絵が好きな方なら楽しみながら観ていただけるかと思います。

「コンテンポラリーアートコレクション」は心斎橋PARCOで開催されますが、アメ村の話や印象も少し聞かせていただければと。

多様性、サブカルチャーのアミューズメントパーク。どっぷり浸かり過ぎると、世の中の常識が見えなくなるんじゃないですかね(笑)。変わった生き方ができるのも、大多数の“普通”のおかげなんですよね。そんなアメ村が大嫌いでもあり、大好きでもあり…(笑)

では最後に、JOEさんとして、<CMK>としてのこれからのビジョンは?

グラフィティーライターがアートシーンで活躍できる場所を作れたらなと思ってます。昔はタグで街中に<CMK>の名をUPしてましたが、今はアートシーンに足跡を残したいですね。1997年にミナミで<CMK>が始まって、どんどん大きくなって一時期は30人位まで膨らみました。良いことも悪いことも色んなことがあって今の少数精鋭になったんですが、仲間って数じゃないですからね。何か大きなことをやる時に、信頼や仲間の絆は絶対に必要なんです。失敗を繰り返してやっと分かったことなんで、若いヤツらが回り道せずに力を発揮できたらうれしいですね。今は一番信頼してるCASPERがいて、新しく能力の高い人材も続々と入ってきて<CMK>も自分も今が最強。そういう意味では、本当の仲間は誰も失ってないですね。KID君のこと以外は…。

グラフィティをゲリラ的に壁に描いて、走って逃げるのもアドレナリンが出て楽しいけど、人に感謝されて好きなものを描ける方が僕の性には合ってた。
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Profile

JOE

1997年にを結成。日本での活動後、渡米を経て2013 年に『CMK gallery』をオープンする。高野山の恵光院への守本尊 毘沙門天図、天橋立の和貴宮神社の拝殿への天井画の奉納をはじめ、世界のアートシーンを揺り動かす作品づくりから地元密着のアートプロジェクトまで、幅広いシーンで活躍中。

https://cmkgallery.jp/
Instagram:@cmkgallery

Profile

CASPER

<CMK>所属。2005年に水戸芸術館で行われた日本初のグラフィティー展「X-COLOR」、2007年「SUMMER SONIC」でのライブペインティング、FENDIのワールドプロジェクト「F IS FOR FENDI」、スノーボードメダリスト平野歩夢のX GAMES Aspenミューラルアートなどに参加。その他、店舗の内装・外装、著名アーティストのステージ衣装、ロゴデザインなど、さまざまなシーンで活動を続ける。

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