人間の脳の仕組み的には、何かしてもらうよりも、何かしてあげるほうが喜べるようになってるらしいんです。

植物にかわいい鉢をコーディネートするスタイルは、どんな経験から思いつかれた事だったんですか？

僕は地元が奈良なんですけど、奈良に好きな植物屋さんがあって、よく遊びに行っていたんです。そこのお店がこのスタイルで販売されていて、自分もこんなことを仕事にできたら楽しいだろうなと思ってました。でも当時はそれが実現するなんて思ってなかったですけど。

お兄さんから「スペースあるからやってみたら？」と言われて、それから植物のお仕事を始めようかなって思われたんですか？

そうですね、本当に初めはネットとかで調べたりしながら。でも、黒いポットに入った植物をたくさん仕入れて販売するっていうのは面白くないなと思ったので、自分がいちばんかわいいと思って完成させたものを、いいと思ってくださった方に買ってもらうのがいいなと思って、最初からこのスタイルにしました。もともと自分で鉢を探して、かわいい鉢とかわいい植物を合わせるのがまさに趣味だったので。

お客さまはどんな方が多いんですか？

20～30代の女性が多いです。僕が個人的にかわいい感じのが好きなので。あとはカップルの方も多いです。初めて買った方がハマっていく姿を見るのはやっぱり嬉しいですね。植物って沼るんです、ひとつ買うと、次々って。最初は興味なかったのにすごいハマって、来るたびに植物の写真を見せてくださる方もいます。

どういうところがハマる魅力なんですか？

お世話をするっていうのは多分、人間の本能的にすごく癒しと喜びになるものなんです。しかも、成長する姿を見られるから、子育てとかペットを育てるのと多分近いところがあると思います。

お世話する喜び。

聖書の中でいちばん好きな言葉に、「受けるよりも与える方が幸せ」っていう言葉があるんですけど、実は人間の脳の仕組み的には、何かしてもらうよりも、何かしてあげるほうが喜べるようになってるらしいんです。だから、お世話をしてあげるっていう楽しさと、成長や変化を日々見られるっていうのが、沼る理由なのかなと思いますね。

人間は、何かしてあげるほうが喜びを感じるんですね。たしかに、成長が目に見えたり自分がお水あげたりすることで、植物が元気になるのは嬉しいかも。

本能的な喜びなんだろうなって思います。いろんな楽しみがあるじゃないですか、映画とかゲームとか、パチンコが趣味の人もいますし。そのなかでも、植物のお世話っていうのは無意識的に喜びにつながりやすいものなのかなって思います。

鉢を選ぶポイントや、コーディネートのコツみたいなのはありますか？

意識しているのは、やっぱり個性的でかわいい鉢を選んで、よくある感じにならないようにはしています。無難にいこうと思うと、すごくシンプルになっちゃうんです。シンプルなのも好きなんですけど、お客さんは他と違うっていうところを喜んでくださっているから。色が入っていたり形が面白いものをがんばって探しますし、自分でペイントすることもあります。

寺田さん自らペイントされるんですか？

他とはかぶらないように、自分で簡単なデザインとかはしてますね。作家さんにお願いして作ってもらったり、メーカーさんの展示会に行ったり。普通の焼き物の底に穴をあけて、鉢として使えるように作りなおしたりもします。オリジナリティを出しつつ、fytóの世界観を離れないようにしつつって感じですかね。

植物と鉢のコーディネートで、参考にする物とかってあるんですか？

服と一緒なんですよね、多分。服でもシルエットを意識するじゃないですか、トップスが短かったらボトムスはボリュームあってみたいな感じで。花瓶にお花を入れる時もそうなんですけど、人間って潜在的に心地良く感じるシルエットがあって、そこを意識するようにはしてますね。まとまった時のシルエットを意識しつつ、心地良いバランスからあえて崩してみたりとか。
あとは、植物に関わらず雑誌を見たり、いろんなギャラリーに行ってアーティストさんの作品を観たりとか。自分のセンスが良いとは思わないけど、でもセンスを鍛えていかないといけないなとは思ってます。