みんなの人生に音楽で関わりたい。『日本音泉紀行』をリリースしたビートメイカー・NICKELMANが生み出す、そのビートから始まる体験と世界。
何十万回再生を誇ったり、狙ったりするよりも、体験と重なるものを生み出したい。例えば僕の作品が、その人のレコード棚に10年間ある方が価値はあると思うし。

NICKELMANさんのバックボーンも見えてきたところで、2026年2月6日(千年に一度の大風呂の日)にリリースされた『日本音泉紀行』についても伺えれば!どんな経緯でリリースすることになったんですか?
2023年4月に平野区の末広温泉で、KEITAが『音礼祭』というイベントをしてたんですよ。そこで初めて桶美さんと出会い、その後に僕が作ったアルバム『PLEASURE TRIP』を聴いていただき、ご近所さんということもあって銭湯にもよく連れて行ってもらうようになりました。僕自身、それまでは地元の千寿温泉がメインでしたが、初めて行った末広温泉で温冷浴に興味を持ち、桶美さんのおかげでいろんな銭湯や温浴施設と出会えることもできたんです。

ビートメイクとアートワーク、そして銭湯ですもんね。
そんなある日、桶美さんに「ニッケルのビートは風呂っぽいよな」と言われたんですよ。僕自身、スネアとか水っぽい音が好きで、銭湯でも水の音に癒されていたから、ビートの下に無意識で水の音を入れてて…。レコードで言えばヴァイナルノイズみたいな、自分でも気づいてないような水の音に桶美さんは気づいてて、そんな音楽の話をしてるうちに「風呂のビートを作ってや」と頼まれたのがそもそもの始まりなんです。
そんな経緯があったとは!
ただ、今まで風呂好きアピールはしてなかったし、行ってる銭湯も限られてたので、桶美さんにいろんな銭湯へ連れて行ってもらってる間に受けたインスピレーションをまとめてアルバムにした方がいいなと思って。桶美さんのレコードコレクションの中からサンプリングしたり、アドバイスも色々いただきましたね。自分の中でも「銭湯は日本の文化→末広温泉の温冷浴10回→10トラック」って感じで、あの気持ちよさをビートに置き換えたらおもしろいなと。試しに1〜2曲作って聴いてもらったら桶美さんにも気に入っていただき、そこから2年くらいかけてさらにいろんな銭湯や温浴施設に出かけるようになったんです。

なるほど、そう聞くとまさに銭湯文化を表現する大作!残りの曲はどれくらいで作り上げたんですか?
去年の10〜11月の間で、アートワークも含めて8曲を一気に作りました。一度スイッチが入ると止まらないタイプなので(笑)。桶美さんが主宰する<桶 MUSIC FACTORY>のサポートでリリースすることも決まり、そこから京都の芋松温泉でのリスニングイベントに繋がっていくんです。


Format:Cassette tape(DL付き) Cat.No.:OKE-TP-26-X PRICE 2,200YEN(税込)
『日本音泉紀行』をはじめ、NICKELMANさんの作品はこちらのサイトから購入可能です!

すごいスピードですね。それに芋松温泉でリスニングイベントが実現できたのも素晴らしいなと。
僕が初めて行ったのは芋松温泉が一度閉業する直前だったんですが、その後再開したタイミングで桶美さんと伺い、リリース前のプロモ版のテープを渡したんです。すると女将・成田さんが番台で流してくれてたみたいで。お客さんからの反応もよく、リスニングイベントも実現できることになりました。銭湯の浴場で音楽を聴く、この理想を実現できたのは桶美さんと<桶 MUSIC FACTORY>、そして芋松温泉のおかげです。

僕もリスニングイベントに伺いましたが、みんなめちゃくちゃ気持ちよさそうでした。浴場に流れる『日本音泉紀行』の音と、今そこにある湯や水や人の音がシンクロして、最高の時間だったなと。
北海道や岩手、静岡、岐阜、山口、そして関西各所から集まっていただき、本当に感謝です。しかもイベント料金は取らず、入浴料のみという一番シブい形でできたのもよかった。

先に話していただいてた「体験がセットになる」という通り、銭湯という場所で素敵なリスニング体験が生まれていました!また次回があればとても楽しみなのですが、最後にNICKELMANさんの今後の話も聞かせてください!
ビートとアートワークをリンクさせていくこと。いろんなリリースがこれから先も決まってますが、このスタイルで自分の作品を生み出していきたい。そして本質的な部分で言えば、人の心に響く作品を作りたい。自分の音楽で豊かになってもらえれば、それは本当に最高のことだと思うので。今回は風呂文化にまつわるアルバムを作って銭湯でリスニングイベントをしましたが、そんな文脈をこれからも作っていけたらなと思います。そして、音楽を通じて皆さんの人生に関われたら幸せですね。
音楽、アートが、NICKELMANさんの作品を通じてより身近なものになっていく。
今は数字で言われることが多い時代だけど、何十万回再生を誇ったり、狙ったりするよりも、体験と重なるようなものを生み出したいんですよ。例えば僕の作品が、その人のレコード棚に10年間ある方が価値はあると思うし。レコードやカセットとして作品を物質化させながら、またおもしろい企画を考えて実現し続けていきたいですね。今月末は九州ツアーで、福岡と熊本でライブします!福岡の『STEREO COFFEE』では僕のアートワークのポスター展示があるので、ぜひチェックしてもらえればと思います!!

<NICKELMANさんのお気に入りスポット>
末広温泉(大阪市平野区背戸口2)
定休日の金曜日以外はほぼ毎日通っている銭湯。温冷浴をしっかりキメる日常から、僕のビートやアートワークは生まれてます。
nutty base(大阪市東住吉区北田辺3)
今日の取材場所でもあり、アパレルブランド<nutty clothing>の基地です。週末土日は営業してて、僕もいるのでフラッと立ち寄ってもらえれば!
ISANDLA(大阪市中央区博労町3)
上海ツアーのきっかけをくれたレコードショップ。若いDJたちが集まってラジオをしたり、いい音・いい人が集まる場所です。銭湯用で愛用してるバッグも、ISANDLAのもの!
ODD TAPE DUPLICATION(埼玉県戸田市本町4)
昔から親しくしてるカセットテープレーベル。台湾ツアーも行ったし、今度の3月27日から福岡で開催するカルチャーイベントにも登場してもらいます。

NICKELMAN
数々のレコードやカセットテープのリリースで知られる日本人ビートメイカー。日常生活のリズムから生まれる感情を、音楽とアートで表現することを大切にしている。その型にはまらない自由な表現方法で、リスナーから着実にPROPSを集め、自身の作品にコラージュやドローイングを施すアートワーク名義「55555」 としても活動。レーベルメイト FROGMANとのビートメイカーユニット FREEMANZ PRODUCTIONとしても活動し、大阪を拠点にdeepconstruction recordsを主宰。様々なアーティストとのコラボレーションや、URBNETやVINYLDIGITALといった海外の著名レーベルからのリリースなど、幅広い活動を精力的に行う。近年では日本全国ツアーに加え、LA(Scenario、Beat Cinema)、台湾(NODTOWN)、上海(FRUITY GROOVE)での海外ツアーも成功させている。2026年2月6日、毎日の銭湯通いを経て湯煙の中で生まれたアルバム 『日本音泉紀行』 が、桶 MUSIC FACTORYのサポートのもとLPとカセットテープでリリース。