自らのかっこよさを自らの手で茶化していく、「かずき山盛り」のシャバくないスタイル。
例えば「ちんかすだらけの運動会」なんて、ほんまはコーラスしたくなかったですし。(モリヲ)
これまでの楽曲で、思い入れのあるものを1曲選ぶとすればどれですか?
イサム:1曲ってなると、「琉球サンライズ」かな。最初に作ったし。
では、2曲選ぶとすれば?
イサム:2枚目のアルバムを出すときに、アルバムの構成をどうしようか考えてたんですよ。おもろいとかっこいいをちょうどええ感じにしたいなと思って。けど音楽でのちょけ方って限界があるなって思ってたときに、一発で我に返ったなっていうのが「雑草抜きのプロ」っていう曲。5秒か6秒の。この曲ができたときは、ああこれこれ!ってなりました。
アズマ:原点回帰やな。
その曲はアルバムに収録されたんですか?
イサム:入れました。それで、締まった!と思いましたね、アルバムが。
モリヲ:イサムのこれや!っていう感覚が一生わからんわ。
アルバムの構成も皆さんで考えるんですか?
モリヲ:前は3人でしたけど、今はレーベルの人にも言われますね、暗い曲と明るい曲のバランスとか。
イサム:最近暗い曲が多いんで。
イサムさんが曲を作る上で、いちばん大切にしていることってなんですか?
イサム:頭とか耳に残るようにしたいなっていうのがあって。言うたら、同じメロディーを何回も繰り返せば頭には残るんですけど、でもメロディーと歌詞がセットになって、繰り返されるみたいな。頭に残るようにするためにどうするかっていうのは考えてますね。
だから先ほど、「歌詞と曲が一緒にドーン!」っておっしゃってたんですね。
イサム:あと、日本語ってカクカクしてるじゃないですか。やから、耳障りのいいように、英語っぽく聞こえるみたいな感じにはしてます。あんまりカクカクしないように。そのほうがみんな歌いやすいし。
歌詞の意味もあるけど、それ以上に音の響きとかのほうを大切にされてるんですか?
イサム:そうですね、響きは大切ですね。
モリヲ:そもそも歌詞に意味なんかあるん?
イサム:ないよ。
あ、歌詞には意味はないんですね。
アズマ:そこは、あるって言ったほうがいいんちゃう?
イサム:でもないから。
曲にメッセージ性みたいなものを込めているわけではない?
アズマ:たまにはあるやん、ちんかすとか。
イサム:ああ、「ちんかすだらけの運動会」は、なんかそういう曲調のバンドばっかり売れるなみたいな時で。ナインスコードの似たような曲が多いから、なんか一石を投じたれみたいな。
イサムさんが作ってきた曲に対して、モリヲさん、アズマさんが意見をおっしゃることもあるんですか?
モリヲ:めっちゃ言います。例えば「ちんかすだらけの運動会」なんて、ほんまはコーラスしたくなかったですし。外でライブ活動をするようになってからは、こういう系統の曲が出てきてもぜんぶ却下してます。
たしかに、すごい歌詞ですね(笑)
モリヲ:普通の大人として、人前でそういうこと言うのは恥じゃないですか。でもそれを2人に言うと、自分がやりたくないだけやん、そういうことせなおもんないし普通やでって言われて。たしかに変わったことをするのは大事やけど、でもそういう方向に振ったら、曲のセンスはいいのにもったいないやんって言いました。
せめぎ合いがあるんですね。
イサム:めっちゃヒートしますね。
モリヲ:でも最近はレーベルの大人も関わってくれるんで、あかんラインがわかってきました。
イサム:僕はそのあかんラインを、どうすり抜けようかなって考えるようになりました。
バンド内でそういう葛藤があるっていうのが意外でした。
モリヲ:でも私の感覚もちょっと鈍ってきて。ライブで「ちんかすだらけの運動会」を歌うのが日常になってきて、私ふだん下ネタとか絶対言わないんですけど、ちんかすっていうワードを口にしても、自分は下品に思われるみたいな感覚はなくなってきましたね。
イサム:ちんかすって下ネタの中ではだいぶ上のほうにおると思うで。
たしかに(笑)
モリヲ:そういえばこないだ親に、あんた最近バンドがんばってるけど、なんか変な曲ない?って聞かれて。音楽活動とかに口をはさむつもりはないけど、ちょっと気になって…って言うから、たしかにあの曲は嫌かもしれへんけど、あの曲以外はもうやらへんからって。
イサム:でも配信では常に一位やねんな。
モリヲ:バイトの面接でバンドやってますって答えたらバンド名を検索されて、いちばん上に出てきたMVがこの曲やったりとか。いろいろあるんですよ。だからもう二度とこういう曲は増やさないって言い切ってますね。
いろんな苦労があるんですね。
アズマ:うちのおかんも、ちんかす聞いたとき、ちょっと困ってたもんな。そんで困って、なんかサザンオールスターズみたいやねって言うたな。
Mステとか出たいっすね。Mステの階段、僕らのときだけスロープにしてもらって。(イサム)
いろいろ活躍の場が広がって注目度も上がっている中ですが、これからどうなっていきたいっていうのはありますか?
イサム:パチンコ台になりたいっすね、最終的に。当たったら全部俺らの曲みたいな。
あ、だから以前のアルバムのタイトルが「CRかずき山盛り」?
イサム:いや、それはあんまり関係ないです。来年やったらフェスとか。もうちょっと規制がゆるくなって、いっぱい人が入れるようになったころに爆発したいですね。コロナで離れてた人も帰って来てくれつつあるので、そういうところでライブやりたいですね。
モリヲ:私は、「しゃべくり007」に出たい。
アズマ:え、しゃべくれます?
音楽番組とかはどうですか?
イサム:Mステとか出たいっすね。Mステの階段、僕らのときだけスロープにしてもらって。
アズマ:それこそMステで、5秒しかない「雑草抜きのプロ」とかやったらヤバいな。
ちなみに、「バズリズム」の反響はいかがでしたか?
モリヲ:もともとのファンの方が録画して見てくれた感じですね。
イサム:ほんまは、ちんかすと琉球を取り上げてもらうはずやったんですけど、あかんかったんですよね。
さすがにちんかすはダメだったんですね。
イサム:担当の人もがんばってくれたみたいですけどね。
将来的にここ目指したいなとか、こうなっていきたいなとか、3人で話すことはあります?
イサム:3人ではないですね。バンドとして大きくなりたいっていうのはあるけど、わりと抽象的な感じで。
アズマ:フェスいっぱい出たいなとかそれぐらい。
モリヲ:武道館でやりたいとか、そんな話はこの3人ではしたことないですね。
こんなアーティストになりたいとかは具体的にはない感じなんですね。
イサム:あのイベント出たいなとかはありますけど、なりたいはないですね。「いつか武道館でワンマンやります!」とか言う人いますけど、エグい覚悟ですよ。でも、できんかっても誰もなんも言わないんですよね。俺は思いますけどね、言うたやん!って。
アズマ:イサムだけやでそんなん言うん。
最後に、バンドとして大切にしていることを教えてもらってもいいですか?
モリヲ:唯一真面目に考えてるのは、どれだけちょけても演奏はしっかりするっていうところ。ちょけてるからってガチャガチャした演奏したら面白くないお遊戯会みたいになるから、演奏スキルはちゃんとせなって思ってます。できてるかはわからんけど、少なくともそういう意識でやってます。
<イサムさんお気に入りスポット>
バーガリオン ミートクルセイダース(大阪市東成区)
玉造の駅の近くにあるハンバーガー屋さん。引っ越して最近行くようになったんですけど、めちゃめちゃ美味い。食ったら気絶するんすよ、血糖値あがりすぎて。それが気持ちよくて。
<モリヲさんお気に入りスポット>
ゲームパニック京都(閉店)
新京極にあったゲーセンで、2日に1回ぐらい行って音ゲーをやってました。他も行きましたけど、やっぱりゲームパニックが落ち着くんです。去年閉店して、今はくら寿司になってるみたいです。
<アズマさんお気に入りスポット>
アメリカ村三角公園(大阪市中央区)
ライブサーキットとかアメ村近辺が多いんで、打ち上げとかよくやってます。あそこで飲んでるといろんな人と仲良くなれるんで。誕生日には全然知らん外国人(デイヴィット)と4人で飲んで楽しかったですね。
かずき山盛り
TRUST RECORDS / LD&K RECORDS 所属
イサム(Ba,Vo)、アズマ(Gt)、モリヲ(Dr,Cho)からなる大阪発スリーピースバンド。2019年に1stデモ「琉球サンライズ」、1st EP『暴走天使』、2020年に1stアルバム『CRかずき山盛り』を発表。シングル「かもめのピーちゃん/バイキング行く前におかしたべるなよ」を経て、2021年のミニ・アルバム『R.I.P.かずき山盛り』でデビュー。2022年7月TVアニメ「KJファイル」エンディングテーマ「怪獣ファイヤ」リリース。
YouTubeチャンネル:かずき山盛り