攻めに攻め続ける独創的な料理と世界観。巷を賑わせる中華ユニット『民族中華』が、街に根を下ろして遊ぶように表現することとは。
出会ったときと変わらず、毎日一緒に遊んでるような感覚。そこを僕らは大事にしている。

こうしてお話を聞いていて、お互いがリスペクトし合ってる感じがすごく伝わってきますし、『民族中華』のグルーヴ感の理由なのかなと感じました。
ユウスケ:店以外でも『民族中華』のことばっかり話すんですよ。店の入口のガラスに貼ってあるポスターも、ユーヤが買ってきた絵に、俺がたまたま持ってたキョンシーのお札を貼ったらおもろいんちゃう? みたいなノリからだし、日常的にアイデアを練れて、すぐに行動に移せるのも俺らの強みな気がします。

失礼かもですが、揉めたりすることってないんですか?
ユーヤ:僕は飲食畑じゃないし、オモロさを見出すポイントが料理人とは違うベクトルだと思うんです。料理はもちろん、『民族中華』で過ごす時間をお客さんに楽しんでもらえるように、とにかく攻めたことをやっていきたい。普通のビジネスパートナーやったら破綻してると思うけど、ずっと一緒にやってきたから信頼してます。
ユウスケ:ユーヤは俺の意見もちゃんとキャッチしてくれるし、料理人の自分には考えつかないようなアイデアを持ってる。「こんな感じの料理を作れない?」っていうお題に対してアプローチしていくのがめっちゃオモロいんですよね。

まさに“相棒”ですね。ちなみに、間借りの期間決まってるんですか?
ユーヤ:だいたい半年ぐらいっていう感じでお話してます。今も物件はずっと探してて、もし良い物件が見つかれば、もっと早く動き始めるかも。僕らの目標はやっぱり実店舗のオープンなので、それに向けていろんなチャレンジをここでやらせてもらってます。
桜川で『民族中華』が楽しめる希少な期間かもしれませんね。ふたりが目指していくお店の姿ってどんなところにありますか?
ユーヤ:体験として絶対に満足してもらえるような場所にしたい。それは料理だけじゃなくて、店の空気感含めて全て。アパレルで言えば、たとえばギャルソンに行った時ってちょっと緊張するじゃないですか。あれってお店から出てる空気感からやと思うんです。『民族中華』としては、酒場とレストランの間くらいの立ち位置で、「ちょっと気持ちオシャレして行こうかな」って思わせるような、雰囲気を放つ場所にしたいんですよ。


メニューを見ても、値段を安く見せようとせずしっかり付けている印象があります。
ユウスケ:ここに移ってきてからは仕込みにすごく集中できるようになったし、席数も8席だけだから、お客さん一人ひとりにしっかり向き合って料理を出せるようになりました。料理のクオリティはこれまでより確実に上がってると思いますし、正直、どの金額にしようが高いって思わせない自信はあります。

ユーヤ:この場所は僕らのショーケースであり、ラボなんです。わかりやすい看板もあえて用意してないので、知らない人からしたら入り辛さはあると思います。でも、間口を広げすぎると、自分たちのやりたいことがブレてしまう気がして。だからこそ飛び込んでくれたお客さんの心と胃袋をしっかりキャッチして、お店から一歩出るまでの体験を、満足させられる空間でありたい。入ってみたらラフな接客で居心地のいい空間なので、気になったらぜひ足を運んでみてください。
自分たちのステージに上がってもらうような感覚で。これだけ自分たちのやりたいことを詰め込めるのはすごいですよね。
ユウスケ:もちろんお金をいただいているんですが、「遊びやけどやるからにはガチで時間も労力も使って、ちゃんとお金を産んでみたい」ってところから僕らはスタートしたので。良くも悪くもですが、ビジネス感は今もないかも。“仕事”って感覚になると、きっと二人とも嫌になると思う。大事にしているのは、出会ったときと変わらず毎日一緒に遊んでるような感覚なんですよね。

<ユーヤさんとユウスケさんのお気に入りのお店>
2店とも物や人への愛を感じられて、毎回ワクワクドキドキさせられます。僕らもそんなお店づくりをしたいと、モチベーションが上がります。LOVE!
太陽の村(大阪市中央区西心斎橋2)
11年前に大阪に面接で来た時から通い出して、1番行った回数の多いお店で、『民族中華』でイベントを初めてやらせてもらいました。愛情たっぷりの美味しいご飯も食べられるし、僕らのことを誰よりも応援してくれてます。(ユーヤ)
THE BEST SHOP(大阪市中央区博労町4)
南船場にある古着屋さん。店長のタケルさんとも長い付き合いで、僕らの好みやサイズ感もわかってくれているので、毎回ぴったりなアイテムを用意してくれます。(ユウスケ)

ヤマサキ ユウスケ
高知県出身。高校卒業後、大阪の調理師専門学校に入学し、中華料理を専攻。イノベーティブ中華料理店などで修行を重ねた、中華一筋の料理人。