挫折、転職、運命の出会い。大阪ホットドッグ界の先駆者『FAT DOG STAND』店主の佐竹拓哉さんが歩んできたストリートな生き様と、新章。
もう一度、『FAT DOG STAND』としての店のあり方を考え直すフェーズに入ったのかも。
いや、オープンまでの話を聞かせてもらいましたけど、ストイックな生き様がカッコいいですね。自分のスタンスをしっかり持っているというか。
野球をずっとやってたので我慢強さはある方やと自負してますが、真面目なだけだと思いますよ(笑)。スタンスに関してはやっぱり、ストリートのカルチャーの影響がかなり大きいかなあ。ブレイクダンスでは誰かがやっている技の真似はバイト(パクリ)になるので、アイデンティティを作ることを学んだし、アメ村で働いていた時に遊んでたスケーターからは、めっちゃピースなストリートカルチャーを教わったし。
ステッカーだったり、グラフィティだったり、ストリートで培った経験がお店にも反映されている気がします。
正直言うと、内装にこだわりは全然なくて。お店を始めた時も、カウンターを作ってもらって、そこに機材を入れただけで、あとはDIYで何とかしようと思ってました。仲間が作っているアイテムを置いたり、逆に店に似合いそうなものを置いていってくれたり。僕のセンスっていうより、仲間と一緒に作っていった感じですね。
すごくステキな空間です。少し話は変わりますが、イベントのフード出店でよく見かける『DOCORICE』も手がけてますよね。あれはどういう流れで始まったんですか?
もともと、ソーセージを詰める時に出た素材の残りを、賄いとしてタコライスにして食べてたんですよ。ある時、たまたま店に来てた『ALL GOOD STORE』のFUNKYさんにタコライスを少しあげたら、「めっちゃウマいやん!」って褒めてくれて。それで、ホットドッグとは別ラインで出来たらおもろいかもなって思ったんです。
もともとは賄いだったんですね。
お店をオープンしてすぐから、ありがたいことに出店の話をたくさんいただいて。最初はホットドッグで出店してたんですけど、やっぱりお店で食べる方がおいしいので、ベストパフォーマンスじゃない商品を出すことに抵抗があって。だから、『DOCORICE』は誰でも作れるようにオペレーションも完璧に作り上げて、ブランディングもしっかり作り込んでて。
たしかに、容器だったりロゴだったり、世界観がありますよね。
僕はやっぱりこの店が一番好きなので、ほんまはこの場所だけでやれたら良いんだけど。ひとりでやってるから、イベント出店すると店が開けられない。外のイベントで出稼ぎすることで、今の生活がキープ出来てる感じもあるので、メイクマネーできるコンテンツとして価値はすごく感じてます。いざフタを開けてみたら、全然コスパのいい商材じゃなかったんですけどね(笑)
それこそ今はお店にずっと立たれてますけど、誰かに任せるとか考えはないですか?
職人気質というか、人と一緒に働く自信があまりなくて。でも、『That's PIZZA』や『JACK'S PIZZA&BURGERS』とか、仲良しな店が人をちゃんと育てて何店舗かやってる姿を見て、いろいろ勉強中って感じかもしれません。ちゃんと管理しながら僕のホットドッグを表現できるなら、さっき話した『DOCORICE』も今以上に動かせるし、ケータリングとかもできる。今よりもいろんな場所で僕のホットドッグを食べてもらえて、他の人も稼げるようになったら、みんなハッピーやし!
そうなったらますます楽しみですね!
将来のこともめっちゃいろいろ考えるけど、何か変えたいところもあるし、ずっと変わらん大切なものもある。ちょっと語弊があるかもしれないけど、今の生活で家族が飯も食えてるし、満足してる部分もあるんです。
今の生活を続けていくっていうのも、ひとつのチャレンジだと思いますよ。
それもそうなんですけどね。妻も自分のコーヒーショップをオープンしたので、最初に思い描いていた街のハブ的な店として使うにはちょっとハードルが上がったのかなと。もう一回『FAT DOG STAND』という店のあり方を考え直すフェーズに入ったのかなって思いますね。ただひとつ、強く思うことはホットドッグ屋が増えて欲しい。
言われてみれば、ホットドッグ専門店って全然増えませんね。ポップアップとかではたまに見かけますけど……増えない理由って何だと思いますか?
やっぱり手間もかかるし、コスパはめちゃ悪いと思う。今や街で市民権を得たハンバーガーが辿ってきた道と同じやと思うんだけど、ホットドッグで800円って言われたら、正直高いなって感じちゃう。大阪ホットドッグの先駆者として、そこは何とかしないとアカンなって思いますね。街にもっといろんなホットドッグ屋があったら、お客さんもいろんな味を比べられて面白いと思うんですよね。
拠点はずっと谷六に置きたいですか?
その気持ちも実はあんまりなくて。もちろん最高の場所やし、すごくお世話になっている街なんですけど、もし自分たちが新しくやりたいことが見つかって、それがこの場所では難しいのであれば、全然ほかのエリアに飛び込むと思います。
なるほど。その辺りの考え方もでも飛松さんに似ているかもしれませんね。
今はとにかくホットドッグに夢中で、仕事が楽しくて仕方がない。これから将来、どうやって生きていくかの答えはまだ見つかってないですけど、やりたいことだったり、やらなアカンことはたくさん!とにかくこれからもずっと面白いことをしてたいなって思ってます。
<佐竹さんのお気に入りのお店>
ALL GOOD STORE(大阪市中央区谷町5)
Turtoise Store Osaka(大阪市中央区谷町6)
両店ともに谷六界隈のアパレルショップです。カラーはそれぞれ違いますが、スタイルのある街の先輩がやってるお店ですごくかっこいいんです。そして、両店ともにオーナーが、谷町の情報を発信するVALLEY TOWN broadcastのメンバー!
佐竹 拓哉
レペゼンVALLEY TOWN(谷町)なホットドッグスタンド『FAT DOG STAND』店主。愛称はたくちゃん。元B-boyで、現場の最前線でストリートカルチャーを吸収し、そのエッセンスは店やライフスタイルにも。現在の愛車は自らリビルドした『KONA JAKE THE SNAKE 700』。
Instagram:@fatdogstand