心血を注ぎ作り上げた、唯一無二の『GAKUYA BURGER』を“壊す”理由とは。全ては美味いバーガーのために、オーナーシェフの飛松正輝さんの決意。


今までの『GAKUYA BURGER』を一度、全て壊そうと思ってるんです。

すごい先を見据えてるんですね。正直ビックリしてますが、めっちゃ最高ですね。

そんなタイミングなんですが、生まれてはじめてクラファンをしようと思ってて。……僕、杖を付いているじゃないですか。今まで家族だけにしか言ってなかったんですけど、実はコレ、病気なんです。

病気だったんですか…!?

尋常性乾癬関節炎っていう、関節がめちゃくちゃ痛くなる病気で。仕事中は杖を使わへんようにしてるけど、ちょっとの段差もキツい。杖なしやと10メートルぐらいしか歩けないんです。投薬はしてるけど完治はしないみたいで、ほんまに1ミリも動けないときも、年に何回かあるんです。だから、自分たちで手作りした店ですが、今の身体には合ってないし、結構負担にもなってきてて。

全然知りませんでした……。いつごろから具合は悪いんですか?

病気の症状が出はじめたのが3年前なんですけど、その前からなんとなく身体に違和感はあったんです。そして、病名が判明したのは1年前。カミングアウトしようと思ったのも、尋常性乾癬関節炎にそっくりな病名で人に感染する病気があり、それと混同して見られたり、勘違いしてしまう人も多くて。そのせいで不安になったり、メンタルに支障をきたしてしまう人も多いので、そういう偏見を少しでも無くしていきたいと思ったんです。今回クラファンをしようと決めたのは、海外進出に向けた準備をさらに進めていくためなんですが、それなら、病気のことも知ってもらった方が良いだろうと。クラファンを介して、『GAKUYA BURGER』の今とこれからのことを伝え、僕らが出会った生産者さんの物とかをお返しで送りたいと思ってます。

そうだったんですね。じゃあ、クラファンの目的としてはどのような準備を?お店の移転とかもあるんですか?

移転も視野に入れてますが、優先順位があって。まず第一に、自分たちの麹室(麹造り専門の部屋)を造ろうと考えています。普通の飲食店ならまず造らないものですけど、やっぱり麹の研究は海外を視野に入れて続けていきたい。病気だと知って情緒がおかしくなったときもあったけど、僕は優しい食べ物を食べて心が救われたんです。僕ができるのはハンバーガーを作ることだけやから、これからもハンバーガーで表現していきたいんです。

なるほど。すごく前向きで、お話を聞いててめっちゃカッコいいなって思います。

多分、ハンバーガーがなかったら僕は終わってたと思います。かれこれバーガーをはじめて13年経つけど、いまだに焼いてる時が最高におもろい!これはほんまラッキーやなって思って。やりたいこともどんどん増えてるからこそ、今までの『GAKUYA BURGER』を一回全て壊そうと思ってるんです。

壊す……とは?

たとえば、今までずっと名物だったチャコールバンズは、最近メニューから外しました。パティの犬鳴ポークも使わなくするだろうし、ウチのアイデンティティだった野菜の組み方も変えます。とにかく、今まで積み上げてきた『GAKUYA BURGER』っていうバーガー像を、全部捨てようと思ってて。

また新しいバーガー探しの旅に出られるということなんですね。

これまでの僕のバーガーが好きだった人からしたら、めちゃくちゃガッカリすることかもしれない。でも、今の路線はきっと、終点が近かったと思うんです。ハンバーガーの起源って、アメリカだったりドイツのハンブルグ地方だったり、諸説いろいろなんですけど、僕のハンバーガーは日本で発祥して、日本の独自の文化を歩んできた設定のハンバーガーなんです。なので、今年から自分らのハンバーガーに、「モダン麹料理」っていうジャンルを名付けました。

新しいジャンルですね。でも、まさに『GAKUYA BURGER』にピッタリな名前だと思います。

麹を使う人って肉も食べない人もいるくらい、めっちゃオーガニックな世界なんですよ。一方で、バーガーはジャンクで、ストリートで、パーティーでっていうカルチャー溢れる世界にあって。この二つって重なるのがすごく難しいと思うんです。

たしかにそうですね。

でも、僕は今、どっちの世界にも手が届くんです。どっちも最高っていうことを僕は知ってるから、お互いを引き寄せたい。これが繋がったらめちゃくちゃ面白いなと。

大学を卒業して店に飛び込んできたスタッフのキャップくんと一緒に。

それって唯一、飛松さんにしかできないことかもしれませんね。

僕が描いてるこの先の1年って、きっと周りから驚かれることしかやらないと思います。でも、やるんです。僕も来年の3月で39歳になるので、これまで先輩にいろいろ教えてもらってきた立場から、お返しするターンに回ってきたのかなと思ってて。この世界で他にない僕だけのバーガーを作ることで、それをこれから体現したいんですよ。

 

飛松さんの友人であり、映像作家のshirobonさんが撮り続けている映像シリーズ「今心 -konshin-」。飛松さんの想いを、こちらの映像でもご覧ください!!

<飛松正輝さんのお気に入りのお店>

田宮酒店(大阪府堺市堺区出島町1)
堺にあるめっちゃ古い老舗の角打ち。秋くらいから始まる一人鍋が最高で、鍋の汁をすすって、日本酒すすって、……を永遠と繰り返せます。『GAKUYA BURGER』の厨房横に飾ってあるカレンダーは、田宮酒店のお父さんから認められた人しかもらえないんです。いただいたときは震えるくらい嬉しかったです。

NOI
和歌山にある着物のブランドなんですけど、和歌山の繊維だけを使って着物を作ってて。セパレートで作ってる着物のトップスのシルエットの形がたまらなくて、今めっちゃ欲しいです。

BENI(大阪市西区北堀江3)
店のすぐ近くにある美容室なんですけど、カラーリストのKARINちゃんがめっちゃ凄腕で。髪色に困ったら絶対ココをお薦めしてます。


<INFORMATION>

GAKUYA BURGERクラウドファンディング

海外進出に向けて、麹室(麹造り専門の部屋)を造るためのクラウドファンディングを開始。自らのハンバーガーに「モダン麹料理」という名を付け、独自の道を歩みはじめている飛松さんと『GAKUYA BURGER』に、ぜひ応援を!!

“麹蓋”から“麹室”へ、発酵文化をハンバーガーで伝えたい - クラウドファンディング CAMPFIRE

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Profile

飛松 正輝

大阪府堺市出身。『GAKUYA BURGER 』オーナー。幼少期に見たアメリカ雑貨店でハンバーガーのデザイン性に惹かれ、ハンバーガー屋になることを決意。ソースは使わず、ポーク100%パティを使用するなど、従来のバーガーとは一線を画する唯一無二のスタイルで、全国に名前を轟かす。24時間365日、美味しいハンバーガーを作ることだけを考えているバーガー界のバガボンド。

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