ラーメン×甲子園×カルチャー。いろんな縁と運命にたぐり寄せられた『ストライク軒』のアッシーさんが描く、人と人との繋がりの先にあるもの。


僕にとってラーメンって、親父と一緒に食べた味でもあるし、大切な思い出の食べ物だからこそ、にわかじゃできないんですよ。

ドン底時代を越えて『マッシュアップ』を立ち上げ、人と人の繋がりで支えられて来た中で、ラーメン屋さんを始めたのはいつ頃になるんですか?

『マッシュアップ』の場所で昼間の時間帯を利用して、『ぬんぽこ』という店名で始めたのが最初ですね。ラーメン屋さんをしたい想いはあったんですが、単一商材で開業するのもリスクがあるなと。昼間だけ別の顔を見せるようなスタンスで、トライアルも兼ねて始めました。『マッシュアップ』とは別人格になるので、僕自身もメガネをかけて全くの別キャラクターでしてたんです。

今で言う、間借り営業的なスタイルですね。

自分のお店なんですけどね。でも、店名も『ぬんぽこ』という別名にして、『マッシュアップ』のことを聞かれても、「夜のことはよく分かんないです」とか言ってましたね。

そこから『ストライク軒』をオープンするのは、どんな経緯で?

『ぬんぽこ』として昼間にラーメン屋さんを始めて1年くらい経った時に、知り合いがお店を閉店することになったんです。場所も近所だし、お客さんも少しずつ増えていてスタッフもたくさんいたので、これは神の思し召しかなと。ラーメン屋さんとして律するタイミングかもしれないと思い、スタッフたちに「本気でラーメンにシフトするから後は頼んだ!」と伝えて、『ストライク軒』をオープンしました。これも不思議な話で、別に狙ってたわけじゃないんですが、オープンした日が偶然にも甲子園の開幕の日だったんですよ(笑)

※『ぬんぽこ』は2017年にラーメン屋さんとしてグランドオープンした後、現在はアッシーさんから代替りして、居酒屋として元気に営業中です!

マジですか!?偶然にしても話が出来過ぎですね(笑)

昭和時代が大好きで、オープン日も昭和で換算してたんです。昭和88年8月8日で、西暦にすると2013年8月8日。8が揃っておもしろいと思ってただけなんですけど、友だちから「甲子園の開幕の日やん!」と言われてね。しかも、お店の住所も大阪市北区天神橋5-8-8で、これまた8に縁があったんです。

もう、アッシーさんとラーメンと甲子園は、運命の赤い糸で結ばれてたんでしょうね。そうとしか言いようがないです(笑)。ちなみに、店名の『ストライク軒』の由来も教えてください!

東京の千駄ヶ谷に『ホープ軒』という老舗があって、そこは店名の最後に「(旧ホームラン軒)」と書いてあるんです。味も好きだし、ホームランという響きはいいなと思ってたんですが、ホープ軒と比べると僕はホームランを打てる人じゃないし、何がいいかなとずっと考えてました。その時に思いついたのが、ストライク。たまにレビューで、「ボール!」とか「ど真ん中ではない」とか書かれたりすることもあるので、ハズすという野球的な側面も含めて、未完成で成熟しきってないのもいいし、それも含めてのストライクならありかなと(笑)。ただ、僕自身は野球にはそんなに興味はなかったんですけどね。

店名が『ストライク軒』となったのも、もはや必然としか思えません(笑)。ラーメンの味のコンセプトは、やっぱり映画『タンポポ』がルーツにあるんですか?

ちょっと話が戻ってしまいますが、高校の修学旅行が東京だったんです。みんなは渋谷とか原宿で遊んでたけど、僕の目指した行き先は『荻窪中華そば春木屋』。『タンポポ』のラーメンを監修してたお店なんです。

『ストライク軒 NOODLE STUDIO』で提供してるストレート(900円)は、鶏ガラをベースにした懐かしい昭和スタイルの中華そば。マイルドなカエシで旨みが深く、ややウェーブのある特注麺の咀嚼感も抜群です。

ちゃんと監修してるお店まで調べてたんですね!

友だち3人を誘って、学ランで荻窪まで行きました(笑)。しかも、ラーメン屋さんを3軒もハシゴしたから、友だちは今でも「修学旅行の思い出はラーメンしかない…」って言うてます。でも、『タンポポ』も含めて当時の体験や影響をずっと引きずってるので、ラーメンに対しては一貫性がありますね。『ストライク軒』で提供してるのも、ノスタルジックかつ昭和的で、思い出の味のようなラーメンです。新進気鋭のラーメン屋さんからは「昭和っぽいラーメンを作るんですね」みたいなイメージで話されることも多いけど、そこが自分のルーツでありベースですから。もちろん新しいラーメンも作ってますが、骨組みの部分があってこそだと思うのでね。

こちらは生揚げ醤油でより風味と醤油感が際立つ、ど真ん中節(1000円)。鰹の削り節をプラスすることで、スープの厚みがさらに増す逸品。ちなみに、麺線をテボで美しく整える手法はアッシーさんが考案したもので、ラーメン業界における大きな功績なのです。

自分のルーツがブレることなく具現化できるのって、想いの強さがあるからこそですし、それ故にハードルも高いなと。ただただおいしいじゃなくて、そこには歩んできた人生も乗っかってますもんね。

オープンしてから6年くらいの間は、店舗でも営業しつつ全国のイベントにも出店しまくってましたね。全国の有名ラーメン屋さんの店主と交流を重ね、イベントで出会う度に食べ比べしたりして、常に味をアップデートさせてきました。僕にとってラーメンって、親父と一緒に食べた味でもあるし、大切な思い出の食べ物だからこそ、にわかじゃできないんですよね。

甲子園に出店するなら、普通のラーメン屋さんをするつもりはない。カルチャーが生まれる場所にしたいし、発信基地にしていきたいと思って。
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Profile

アッシー/芦田雅俊

愛媛県宇和島市出身。グルメな居酒屋『マッシュアップ』やオールドスクールなラーメンスタイルを貫く『ストライク軒』を展開する株式会社無線飲食の代表。趣味は温泉&サウナで、『ストライク軒』は和歌山県湯浅町の二ノ丸温泉にも出店しており、公私に渡って風呂ライフも進行中。スニーカー好きで、STUSSYコレクターという一面も。

https://www.museninsyoku.com/

Shop Data

ストライク軒 NOODLE STUDIO

兵庫県西宮市甲子園町1-82 阪神甲子園球場レフトスタンド1F
営業時間/11:00〜21:30(LO21:00)、日曜11:00〜18:00(LO17:30)※ナイターゲームの場合は除く
定休日/月曜

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