ラーメン×甲子園×カルチャー。いろんな縁と運命にたぐり寄せられた『ストライク軒』のアッシーさんが描く、人と人との繋がりの先にあるもの。

2022年4月5日、阪神甲子園球場のレフトスタンド1Fにラーメン屋さんがオープンしました。その名は、『ストライク軒 NOODLE STUDIO』。『ストライク軒』と言えば、関西はもとい全国各地にもファンがいる大人気のラーメン屋さんですが、野球の聖地・甲子園に出店するとなればまた話は別。簡単な話じゃないってことは、ラーメン通ならずとも理解できるんじゃないでしょうか。ってことで、代表の芦田雅俊さんことアッシーさんにいろいろ伺ってきたんですが、そこにはたくさんの縁と運命を感じる出来事があったんです。人生の歩み方はまさに魔球そのものだけど、貫いてきたことは1本筋の通ったど真ん中ストレート。『ストライク軒 NOODLE STUDIO』出店のエピソードも含めつつ、アッシーさんの人生をとくとご堪能ください。そして、これから甲子園の地から生まれてくるもの、発信されるものを、みんなもガッチリと受け止めてもらえれば!きっと、街はもっとおもしろくなるんじゃないかと思います!!

ラーメンとエロスが見事にシンクロした。そんな体験が僕の中にはある。

『ストライク軒 NOODLE STUDIO』って、スタイルや空間、立地も含めて普通のラーメン屋さんではないと思うんです。カルチャーにも深く関わるアッシーさんならではというか、そうした部分も紐解きつついろいろと伺っていければと。まずは、アッシーさんとラーメンの出会いのお話から聞かせてください!

初めてラーメンを食べたのは、確か小学1年生の頃。兵庫県豊岡市のおばあちゃんの家に行った時、偶然にも隣がラーメン屋だったので出前してもらったんですよ。ひと口食べて、「なんて食べもんや!」という衝撃を受けましたね。どんぶりのラップを外すとスープの香りが立ち上がり、真ん中にもやしが乗ってチャーシューが盛られて…というシチュエーションとフォルムは今でも鮮明に覚えてます。

そこまで鮮明に記憶が残ってるのは、相当な体験だったんですね。

完全に自分の中にラーメンという食べ物がインストールされた瞬間でした。愛媛県の宇和島出身なので、地元に戻ってからは事あるごとに「ラーメン食べたい!」って親父に言うてましたね。そして、1985年に伊丹十三さんの監督作品『タンポポ』が公開された後、テレビの金曜ロードショーでも観れる日がやって来たんです!

ラーメン映画の名作ですよね。しかも、いろんな刺激的な描写も…。

「ラーメンの映画やぞ!」と言われて家族みんなで観てたんですけど、大人のシーンがね(笑)。両親が「これ、子どもに観せていいんか?」と話し出して、「あかん!もう観るな!」ってなったものの、僕の中ではラーメンとエロスが見事にシンクロした体験になったんです。

アッシーさんが衝撃を受けた映画『タンポポ』のDVDは、いつでも観れるようにお店に置いているそう。

それはハイブリッドですね(笑)

でも、映画の最後の方でみんながどんぶりを持ってスープを飲み干すシーンがあるんですが、映像がスーッと明るくなっていくんです。そのシーンを観て「ラーメンは人を幸せにする!」と、幼いながらにも確信した記憶が今でも残ってますね。

クライマックスの名シーンですが、そこでそんな風に思えたのはラーメンが大好きだったからこそですよね。その後はどんな少年時代を?

ラーメン好きは変わらぬまま、小学5年生くらいからどんどん音楽カルチャーへと傾倒していくんです。ジュン・スカイ・ウォーカーズにRCサクセション、ポコチンロックのアンジーやレピッシュ、ユニコーン、岡村靖幸…、かっこいいと思ったのはジャンルレスで聴いてましたね。

日本のロックミュージックの黎明期的な時代ですよね。今と比べて得られる情報も限られてたと思いますが、どこでインプットしてたんですか?

ちょうどNHKが音楽番組を始めるようになってたので、ジャストポップアップやミュートマジャパンといった番組、後は雑誌の宝島とか先輩とかですね。たまたま入った塾が進学塾だったんですが、そこに坊主頭で耳に安全ピンを刺してた先輩がいて、その人が勝手に僕の手提げにCDを入れてたりもしてて(笑)

めちゃファンキーな先輩ですが、どんなCDを?

パンクのCDですね、小学生の僕に。ザ・スター・クラブとかが入ってて、聴いてみると疾走感があってめちゃいいなと。だから、ザ・セックスピストルズよりも先に日本のパンクロックを聴いてたんです。中学に入ってからはさらにロックを掘り下げていき、CDに付属してたライナーノーツを読み漁りながら好きなアーティストのことをどんどん深く知るようになっていきました。歳上のいとこの影響で洋楽にも目覚めたし、マンガとかも読みつつ複合的にカルチャーを吸収してた感じですね。

ライナーノーツを読むことで、アーティストの見えざる部分が見えてくるし、さらに好奇心も掻き立てられるというか、貴重過ぎる情報源でしたよね。ってことは、高校時代もどっぷりと音楽に浸かる感じですか?

さらにエスカレートしますね。高校の入学式で先輩に目をつけられて、なぜか応援団に勧誘されてしまって(笑)

応援団?いきなり硬派な道になってますが。

実は、屋上に連れて行かれて「高校野球の応援してる!」と聞かされたんですけど、それ以外はバンドしてるって言うので、僕も思わずテンション上がってしまって(笑)。そのまま先輩の家に行ったら、ガンズ・アンド・ローゼズとかモトリークルーのポスターが貼ってあり、「ヤバイ!ここには、すごい世界あるわ!」と思って入部することにしたんです。中学まではわりと優秀で神童と呼ばれることもあったのに、高校に入って大クラッシュしましたね。

より濃い時間を過ごすことになるわけですね(笑)。応援団とバンド、表現者としては同じだと思いますよ。応援団としてはどんな日々だったんですか?

練習はしつつ、先輩の命令で近所の商店街のお店にエールをきったりしてましたね。そのお礼でお店のおばちゃんにうまい棒をもらったり。でも、僕が1年の時に甲子園出場が決まって、春夏・春夏の4季連続で甲子園にも行けたんですよ。

『ストライク軒 NOODLE STUDIO』のエントランス。阪神甲子園球場のレフトスタンドの真下という、縁と運命を感じずにはいられないロケーション。

それは、めちゃくちゃスゴイ!そして、いきなり甲子園との縁が生まれるんですね!

そうなんですよ。しかも、僕らの前の試合がPL学園と神戸弘陵だったんですが、試合終了後に次のチームとエール交換するのが甲子園のお決まりとしてありましてね。僕が、PL学園に向けてエールをきったんです。

もちろんスゴイ貴重な経験なんですが、伏線の回収の仕方がドラマチックでマンガみたいですね。

当時はまさか自分が甲子園でラーメン屋をするなんて想像してなかったし、縁の結ばれ方が謎過ぎるなと。今でも不思議に思ってますよ(笑)

オーナーが残した200万円くらいの天満に居酒屋をオープン。ヤンチャな人や愚連隊みたい奴しか来なかったのに、急に医者とか社長とかが来るようになって…。
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Profile

アッシー/芦田雅俊

愛媛県宇和島市出身。グルメな居酒屋『マッシュアップ』やオールドスクールなラーメンスタイルを貫く『ストライク軒』を展開する株式会社無線飲食の代表。趣味は温泉&サウナで、『ストライク軒』は和歌山県湯浅町の二ノ丸温泉にも出店しており、公私に渡って風呂ライフも進行中。スニーカー好きで、STUSSYコレクターという一面も。

https://www.museninsyoku.com/

Shop Data

ストライク軒 NOODLE STUDIO

兵庫県西宮市甲子園町1-82 阪神甲子園球場レフトスタンド1F
営業時間/11:00〜21:30(LO21:00)、日曜11:00〜18:00(LO17:30)※ナイターゲームの場合は除く
定休日/月曜

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