22歳で選んだ古着屋オーナーの道。服を軸に表現の領域を広げ続けている藤本 一笙心さんが描く、25歳からの未来。

中崎町の古着屋『然(ZEN)』のオーナーである藤本 一笙心さん。22歳という若さで独立して、現在は25歳。ヨーロッパを中心に買い付けたアイテムは、メゾン系ブランドのアーカイブを中心に、デザインの効いた古着にヴィンテージ眼鏡などが揃い、藤本さんならではの審美眼が光るものばかりです。いろんな古着屋がひしめく中崎町においても、そのセレクト力とセンスで若者たちから高い支持を集めています。今回のインタビューでは、そんな藤本さんが古着屋を始めた経緯から、スタイリストや映像の制作へと活動の幅を広げている現在と、これからのビジョンについて話を聞いてきました。まだまだ伸び盛りで、これからの大阪を盛り上げてくれそうな彼の人となりや想いを、20のQ&Aからも受け取ってもらえればと思います。

服、写真、映像、音楽、空間を横断して、自分の表現を。

大阪・中崎町で古着屋『然(ZEN)』を運営しながら、スタイリストとしても活動しています。最近は写真や映像も自分で撮るようになり、服を中心にして表現の幅を少しずつ広げているところです。

京都の福知山市出身で、高校を卒業して大阪に出てきました。工業高校だったので、その流れで工場に就職し、家族に恩返しすることを考えながら働いていたんです。昔から服は好きでしたが、ファッションの道に進むなんて当時は全く考えていませんでしたね。でも、大阪に出てきて服への興味がどんどんあふれてしまって。工場勤務の日々もなかなかツライ感じだったので、思いきって退職し、アメ村の古着屋で働き始めました。ちょうど20歳の頃です。

そして、独立したのが22歳の時。話を少し遡ると、古着屋時代の同僚が「中崎町にビルを持ってる方がいて、空きテナントで古着屋をやってほしいと言ってる。一緒にどう?!」と言ってくれて。最初は手伝い程度でしたが、自分も本格的にジョインすることになっていきました。オーナーはいますが、自分たちで自由にやらせてもらえて滑り出しは好調。特殊なディテールや奇抜なカラーのデザイン重視の古着をセレクトしてて、それが中崎町のお客さんたちにうまく刺さった感じでした。ただ、売り上げは伸びてるけど、生活はかなり大変で…(笑)。このままじゃヤバいなと思い、オーナーに独立したいことを伝え、快く送り出してもらえることになったんです。で、22歳の時に今の場所で古着屋『然(ZEN)』を構えました。だから、工場を辞めてからの約2年間は、本当に怒涛な毎日だったなと。その後、一緒に独立した相方は写真の道へ進むことになりましたが、おかげさまで来年の4月で『然(ZEN)』は4周年を迎えることになります。

独立以降は古着のラインナップも徐々に変わってきてて、今はイギリスなどのメゾン系ブランドのアーカイブアイテムが中心。「これが売れそう!」という視点よりも、その時の自分の気分や好みをラインナップに反映している感じですね。そして、店を始めてからは特に、人への興味がどんどんあふれてきていることを実感しています。「この人はなぜこの服を着ているのか」とか「ライフスタイルや趣味に合わせた服の選び方はどうしているのか」とか、人と服の関係性を汲み取ることに自分の意識が向くようになりました。だからと言って、釣りが好きな人に動きやすい服を提案するのとはまた違う話で。例えば、「朝はこんな音楽を聴くのが好きで…」という話から、朝からの1日のストーリーを含めたスタイリングやアイテムを提案する。そんな深掘り方が自分のスタイルであり、楽しさを感じる部分なんです。

最近はスタイリストとしての仕事も増えてきて、アーティストのライブやジャケット写真のスタイリング、テレビの衣装などにも関わらせてもらってます。「アーティストが何をどう伝えたいのか」「どうすればこの人の表現をより魅力的に伝えられるのか」。コミュニケーションは重ねつつも、楽曲など作っているものから汲み取って表現することを心がけていますね。自分の軸は服ですが、いろんな経験を通じて写真や映像も自分で撮るようになり、表現の幅を少しずつ広げているところです。今、セルフドキュメンタリーも編集中。自分を知ってもらうためというより、自分が何年後かに見ても大事なものを思い出せるための映像を作っているんです。

現時点での大きな目標としては、クリエイティブディレクターのような存在になっていきたいです。服、写真、映像、音楽、空間を横断しながら、自分の企画を発信していける人間になりたい。いろんな人、いろんなクライアントと仕事がしたいし、そこで得られたものをもっと大きくしていけたら、自分なりの“かっこいい”をたくさん形にできると思うので。古着屋『然(ZEN)』という場所を拠点に、そんな目標に向けてこれからも進んでいきます。

藤本 一笙心さんを知る、20のQ&A

Q.1 よく遊びに出かける街は?

中崎町。最近そんなに遊んでなくて、ほとんど仕事してます。

Q.2 あなたが住んでいる大阪という都市の好きなところは?

人の量も建物も店も、ちょうどいいバランスの良い街。

Q3. よく行く、または好きなお店は?

中崎町にある喫茶店『ミキヤ』。 仕事の合間にゆっくり休憩できる場所なので、多い時は週3で通ってます。おすすめはオムライス!

Q4. いつか行ってみたい街は?

アフリカ。いろいろな民族の歴史や文化を直接見てみたいです。

Q5. 子どもの頃の夢は?

プロサッカー選手。小学校1年生からサッカーを習っていました。中学のクラブチームで現実を見させられました(笑)。Bチームのキャプテンをしてましたが、Aチームとの壁を痛感する日々でしたね。

Q6. 学生時代に夢中になっていたことは?

高校生の頃はスノーボードとスケートボードに夢中でした。学校終わりに駅前で友達とよく滑っていました。

Q7. 自分の性格の中で武器だと思えるところは?

考えを固定しすぎないことです。毎日のように新たな考えや気づきを得るのに、そこを固定してたら吸収できないから勿体無い。何をかっこいいと思うのかは自分の中でも常に揺れていて、迷うことも多いですが、その時々の出会いや別れから刺激を受け、それを自分のパワーに変えながら、少しずつ感覚を更新しています。

Q8. リスペクトしている人は?

親父です。物事に対する考え方が似ていると大人になって気づいてきて、こんな考え方を持てるように育ててもらえたことに感謝してます。

Q9. いつか会ってみたい人は?

ファッションデザイナーのJohn Galliano。物語性のあるものを作る時に何から着想を得て、最後はどのような作品になっていくまでを実際に見てみたいです。

Q10. 初めて購入したアーティストの楽曲は?

The Weekendの『Starboy』です。

Q11. 最近、自分の心に響いた映画、音楽、本などは?

エーリッヒ・フロムの著書『自由からの逃走』。“自由”という言葉は日々の生活やスタイリングの時も使いますが、自分の中で不自由との明確な区別が定義できなくて、この本を読みました。

Q12. 影響を受けた映画、音楽、美術、芸術などは?

Daichi Yamamotoさんの『上海バンド』という曲。この曲に背中押されて工場員を辞めて、アパレルの世界に入りました。サラリーマンのことを歌った曲で、会社に勤めていた終盤の時期の自分とすごく重なって。先日、食事をご一緒する機会があり、「いつかスタイリングさせてください!」とお願いしました。

Q13. 最近買ってよかったものは?

190cmぐらいのトックリランという植物。家がジャングルみたいになって最高です。

Q14. 次に狙っているもの、欲しいものは?

ヴィンテージのキャビネット。

Q15. 1日の始まりでしていることは?

1回スッキリするためにシャワーを浴びる。

Q16. 気持ちを切り替えたり、リフレッシュする方法は?

1日中、爆睡する。

Q17. 人生の最後に食べたいものは?

母の唐揚げ!

Q18. 1年後、なっていたい自分の姿は?

自分のことを好きな自分。誰しもがいろんな一面がありますし、自分も同様に、その時々で好きな自分があります。例えば1年後には、プラスなヴァイブスでみんなを巻き込んでいいものを生み出し、何か結果がついてきている。そんな自分になっていたいですね。

Q19. 今の活動を通じてこれから実現したいことは?

自分には何が出来て何が出来ないのか、可能性と限界を知りたいです。それを知った先に自分でもびっくりするものを表現できる気がします。大好きな人の表現のお手伝いをしながら、勉強もしたいです。最終的には全員の可能性が広がる表現が出来たら最高です。

Q20. 関西のみんなにひと言!

心と身体だけは大切にしてください。

Profile

藤本 一笙心|FUJIMOTO ICHINOSHIN

京都府福知山市出身、2001年生まれ。2023年12月に中崎町に古着屋『然(ZEN)』をオープン。同店のオーナーを務める一方、スタイリストや映像&写真制作といったクリエイティブ領域での活動も広げている。トレードマークのショートアフロは、「自分史上、1番ハマっている」というほどのお気に入り。

Instagram: @1__noshin
Instagram: @zen_osaka_

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