Interview & Writing
六車 優花
Photo
中島 真美
Styling
イーグル野村
Hair
井上 拓耶

3月18日(金)に配信した前編では、<THE モンゴリアンチョップス>のイーグル野村さんとその友人である<コウテイ>の九条ジョーさんに、“超不完全究極肯定完全感覚奇天烈不圧志音(チョウフカンゼンキュウキョクコウテイカンゼンカンカクキテレツファッション)”を提案してもらいました。

後編となる今回は、ファッションシューティングを終えた2人にインタビューを敢行。撮影を終えた感想や出会ったころの思い出、これから挑戦したいことなど、ざっくばらんにお話してもらいました。前回加えられなかった貴重なオフショットが見られるかも……?! 仲睦まじい2人の関係性をうかがわせる、和やかな空気感とともにお楽しみください!

自分の中の新しい扉が開いた感じ。不安もあったけど、存分に九条で遊んでくれたと思います!

早朝からの撮影を終えてホッとひと息。お昼ごはんのカレーを食べています。

朝早くから本当にお疲れ様でした! 今日の感想を教えてください。

九条:控え室に鏡がなかったので、自分がどんな格好をしてたのかほとんど知らないんですよ(笑)。知らない格好をして、人にジロジロ見られました、はい。

だけど、僕の新しい可能性を引き出してくれたようには思いますね。知らない自分がいっぱい出てきて、新しい扉が開いた感じ。最高でした。今日は5スタイル撮ったけど、服に合わせて髪型も変えてたからそれぞれ印象が全然違うし、九条でめちゃくちゃ遊んでくれたね。

九条さんとイーグルさんはいつから仲良くなったんですか?

九条:2018年くらいから、お客さんとして<THE モンゴリアンチョップス>に通っていてイーグルとも話はしていたけど、最初は芸人ということを隠していました。ある日お店に行こうと歩いていたら、たまたま道端にイーグルがいて、「芸人さんなんですよね?」って聞かれたんです。なんかで見てくれてたんかな?

イーグル:いや、これも九条が持ってるっていう話なんやけど、その日たまたま来た顧客さんが九条のことを知ってて、「ここにコウテイの九条さん来てますよね?」って言われたんです。最初は分からなかったけど、写真を見せてもらったら「この人か!」ってなって、休憩時間にいろいろ調べて確信しました。そしたらちょうど九条とばったり会って、僕から話しかけた感じかな。

九条:その時はバレたって思ったけど、そこからですね。「僕芸人やってて、いつも服買わせてもらってます」みたいなんから始まって、『過ぎるTV』とか『ロンハー』に出た時に、<モンゴリアンチョップス>の「グラデュエーター」を着せてもらいました。あの後もちゃんと売れてる?

イーグル:売れてるなぁ。オンラインが売り切れやったら、「店に在庫ありますか?」って問い合わせの電話もくるし。

九条:すごいな。一回アクセス集中しすぎてサーバー落ちたんすよ。

イーグル:「グラデュエーター」を着て『過ぎるTV』に出た後な。そう考えると、今や影響力すごいよね本当!

九条:出会いたてのころよりはね。

仲良くなるきっかけは、どちらが作ったんですか?

「意味わからんやん!もうアートやん!」と、九条さんもツッコまずにはいられなかったスタイル。

九条:僕かもしれないですね。服のことをいろいろ聞きたくて、「LINE交換してください」って伝えました。「新作のTシャツってどんな感じ?」とか聞いたりしていると、彼とはもう友達だと思うようになって、僕が「ご飯行きませんか?」と誘ったんです。

イーグル:そうそう、難波の漫才劇場前で待ち合わせしたよな。あれ何年前のことなんやろ。それ以降は、天満の「串寅」に行くのが定番になっていますね。店主の篤史さんも『座王』で九条のことを観てたらしくて、「まさか!」ってなってました。ただ、九条がずっと食べたがってる麻婆豆腐が一緒に行く日に限って無いんよな。

九条:全然食べれてないんすよ。偏見かもしれないけど、<THE モンゴリアンチョップス>みたいな個人経営の服屋の店員さんって、スタッフが気取っていてめっちゃ話しかけてくるイメージがあったんです。でもイーグルは全然そんなことなくて、根はやっぱり陰キャというか。

一同:(笑)

九条:だけどそういう部分が僕と一緒だったから、波長がすごく合って。

陰キャ感出てますもんね。

イーグル:出てますよね。それは自分でもわかりますもん。

九条:がんばってるけど、やっぱりそうですよね(笑)。今では飲みに行くたび、イーグルの知り合いを紹介してもらうような仲になっています。

服を選ぶポイントは“九条が着るかどうか”。人と被らないファッションが好きです。

芸人さんの普段着って、ほとんどもらいもののイメージがあって。九条さんみたいにきちんと選んで好きなものを買う方って珍しいんじゃないですか?

九条:確かにみんなもらいものを着ていて、そこにお金かけへんかも。言ってしまえば、ファンの方のプレゼントで全部まかなえちゃうんで。普段着ている服は誰かに見せるわけでもないし、舞台衣装があるからなんでもいいじゃないですか。だけど僕は“九条ジョー”なんで、ファッションもそうでありたいなと。そんな風に考えると、やっぱり<THE モンゴリアンチョップス>がピタッと合いまして、本当に最高のお店なんです。

ちなみに、今日のような系統の服はプライベートで着ることあります?

九条:まさか、着ないですよ! 一着ずつ見ると「なんやこれ」っていう服ばっかりだったけど、仕上がりみたら全部いいですよね。こういう新しいジャンルにも挑戦してみようかな。僕自身はわかんないけど、たぶん“九条ジョー”は着ると思いますし。

イーグル:そうやろ? “九条ジョー”が着る服を選んだつもりやから。

九条:そやな。アクセサリーもあまり持ってないから、集めてみようかなと思ったわ。

後輩に服をあげたりとかするんですか?

九条:あんまり服を売りに行きたくないんで、可愛がってる後輩にあげてますね。昔<THEモンゴリアンチョップス>で買ったプレシャスラブのロンTは、キングブルブリンの村上に渡しました。

イーグル:いや、誰なん!

九条:ってなると思う、そう(笑)。<キングブルブリン>の村上が今着てるねん。「誰なん」で全然大丈夫。

イーグル:いや、失礼かもしれんけど。

九条:失礼じゃない、その反応で合ってるねん。別の青いTシャツは<戦士>のたむかいにあげた。

イーグル:誰や!(笑)

九条:知らんの? あの<戦士>のたむかいやん。まぁ『ロンハー』の「私服-1GP」とかも出て思ったけど、お笑いやってて本当にこだわりのあるおしゃれな人って少ないのかもしれないですね。

九条さんのファッションのこだわりはありますか?

「これが僕?載せたくないくらいカッコいいっすね」と絶賛。

九条:矢沢永吉さんみたいなことを言いますけど、“九条が着るかどうか”ですね。はい、今たぶんすべってると思いますが、“九条が着るかどうか”で服を選んでいます。そう、「俺はいいけどYAZAWAがなんて言うかな」のやつですね。

もともと古着がめっちゃ好きで、人とあまり被りたくないんです。アメ村の古着屋<チャッピー>は結構通っていますね。新品だと気に入ったブランドをずっと使ってしまうので、それこそ<THE モンゴリアンチョップス>と<ニードルス>が好き。<ニードルス>は8年くらい前から集めていて、今日もパンツを履いているんですけど、最近めっちゃ流行っているのでこれからどうしようかなと。ビビッとくる出合いがあったらいいんですけどね。

<THE モンゴリアンチョップス>を知ったきっかけは何かあったんですか?

九条:これも結構運命的なんですが、何年か前まで大正で芸人5人とルームシェアをしていて、家賃1万円で5LDKの一軒家に住まわせてもらってたんです。安いけどめっちゃ古いんですよ。ガレージを開けたら、ガラガラってソマリアの銃撃戦みたいな音がしてました。

そこから歩いて5分くらいのところに、『セカンドストリート』があったんです。ある時可愛いジャケットがあって、手に取ったのが<THE モンゴリアンチョップス>の「テンジカイジャック」。タグを確認したらブランド名が書いてあって、最初はどこやねんそれって思った。だって中古のくせに9,000円くらいするのよ。知らんブランドが9,000円もするってムカつきません? でも腹が立ちすぎて、逆に買っちゃったんです。

家に帰ってブランドを調べたらWEBサイトが出てきて、そこで今も愛用している「グラデュエーター」のセットアップを見つけました。ちょっと待ってくれ、めちゃくちゃすごいブランドちゃう?って思いましたね。それでお店を調べて行ってみたのが最初のきっかけです。『セカンドストリート』のラックにいっぱい服がかかってある中で、その一着だけが光って見えてん。今でもちょこちょこ着てますね。あそこで見つけてお店を探してなかったら、イーグルにも出会えてないしな。

イーグル:ほんまやなぁ。九条が『セカンドストリート』で見つけてくれて良かったし、テンジカイジャックを売った人にも感謝します!

仲睦まじい2人。肩に頭を乗せたりくるんと回ったり、なんだか愛らしいですね。

2人でブランドプロデュースができたら最高! 賞レースをきっかけに、もっと高いところで一緒に仕事をしたい。

2人は知り合って4年目くらいですよね。互いに当時より知名度も上がっていると思うのですが、印象の変化とかってありますか?

イーグル:今はいろんな意味で楽になりましたが、当時は自分の思うようにいかない日々が続いていて。接客もしてたけど人見知りだったし、ストレスで正直かなりキツい時期もあったんです。そんな中で、気を遣わず素で話せる九条の存在は大きかったですね。

九条:僕も最初は少しスイッチを入れて喋ってたんですけど、少しずつ関係性を深めていくうちに、イーグルには僕のことを全部知ってもらって大丈夫だと感じたんです。今はフランクに過ごせる、ただの友達になりました。裸は見てないから大事なところだけ知らないけど、それ以外は全部知っています。どういう人間性で、どこ出身で、家族構成とかも全部。

イーグル:九条は芸人だけど、映画やドラマの俳優をしたり執筆活動をしたり、僕より遥かに多岐にわたる活動をしていて。この前も年末の単独ライブを配信で買って観たけど、いろんな経験を経て、以前の彼と比べて表情に磨きがかかってるように感じました。

九条:イーグルもそんなの言えるようになったんやな。いいこと言うねぇ。

九条さん自身、“演じる”のは得意なんですか?

九条さん曰く、「一番普段の自分に近いスタイルです」。

九条:以前は本名で活動していて、5年前に“九条ジョー”に改名したんです。それから“九条ジョー”とはどんな人間なのかを必死に考えて、毎日コントしながら生活してるような感覚はありますね。ちょっとジョーカーみたいな話なんですが、何が正解かわからないから、どこかで気疲れしているし少し怖さもあります。本当に心の許せる友達がいないと、爆発してしまいそうになるかも。家の扉を開けた瞬間から、“九条ジョー”を演じないといけなくなった。芸名を手に入れた瞬間から、意識的にいろんなことを変えました。

そういえば、イーグルさんも同じようなことを言ってましたよね。“イーグル野村”という名前をつけてもらってから……。

九条:やっぱりそうや。我々陰キャは、そうでもしないと外での交流ができないんです。自分を大きく見せないとダメなんですよ。

イーグル:本当にそうです。僕も“イーグル野村”って命名される前は、鳴かず飛ばず過ぎて誰からも覚えてもらえなかったので……。

九条:みんなそうなんかもね。いろいろ探しながら、自分を見つけていくんですね。でも変えて良かったし、本名だったら今回みたいな撮影もできなかったと思いますよ。こんな格好してたら、街も歩けんのちゃうかな。写真見てると堂々としすぎてるわ。“九条ジョー”という人間を長いこと演じているからですね。全部カッコよくて、ほんとに最高です。

今後、2人で一緒にやってみたいことはありますか?

九条:イーグルと組んでブランドプロデュースができたら最高ですよね。<グッチ>とか<シャネル>みたいに、僕がデザインしたバッグとかが街中で見られたらいいなって。ロゴは「ズィーヤ☆」の“Z”で。

イーグル:「ズィーヤ☆」の“Z”ね。かっこいいかもな。

九条:あとは2人でちゃんと古着屋を巡ったことないんで、いろいろ連れて行ってほしいですね。この間カンテレの番組に出演する時、イーグルにスタイリストをお願いしたんですけど、そんな感じで一緒に仕事していけたらいいなと思います。いつもほんま助かってるわ。

イーグル:そう言ってもらえるとありがたいですね。ジャンルは少し違いますが、九条は<THE モンゴリアンチョップス>のお2人と同じ“表現者”だと思うんです。今の職場で5年働いて、僕にはそういう人(表現者)と働く術みたいなものが、なんとなく身についてきたのかなと。そういう経験を生かして一緒にやっていけたらいいなと考えています。

九条:2人でいろいろできたら理想ですね。絶対スタイリストやってもらお。東京ひよりそうやけどいける(笑)?

イーグル:僕、今日の撮影も緊張してるくらいの小心者なんで。東京のテレビ局とかめちゃくちゃギラギラしてそうやし……。

九条:ギラギラしてるよ、すごい街よ。僕は将来まだどこで仕事するかわからないけど、東京も見据えてるっちゃ見据えてるんで。今は関西のレギュラーが多いから気軽に動けないけど、賞レースとかをきっかけに、もっと高いところで一緒に仕事できたらいいよな。

イーグル:僕もそう思うわ。


MARZELとしては初の試みとなるファッションシューティング、楽しんでいただけましたか? 連載中の「イーグルチャレンジ」第2弾を兼ねて行われたこちらの企画。スタイリスト兼モデルを務めるという新鮮すぎる経験に、イーグル自身もドキドキと不安でいっぱいだった様子……。でしたが、帰路に着く彼の表情には、今まで見たことのない疲労感と達成感が滲み出ていました。仕事の合間をぬって準備を進め、立派に大役を果たしてくれた彼に、最大級の賛辞と感謝を伝えたいと思います。

第1弾からかなり期間が空いてしまいましたが、今後も「イーグルチャレンジ」は継続する予定です。果たして次はどんなことに挑むのか?! そして九条さんと2度目の共演はあり得るのか、はたまた2人が目指すブランドプロデュースもチャレンジ企画として密着できるのか……?! いずれにせよ、今後も温かく見守っていただけると幸いです。

ご協力いただいたコウテイの九条ジョーさん、改めてありがとうございました。また一緒におもしろいことができますように!

Profile

九条ジョー

NSC 35期生、大阪よしもと所属のお笑い芸人。同期の下田真生と<コウテイ>というコンビを組んでいる。

今年放送された『ロンドンハーツ(テレビ朝日)』の「私服-1GP」で2位に、「よしもと漫才劇場 オシャレ&ダサい芸人ランキング」で優勝した経験を持つなど、お笑いだけでなくファッションセンスにも定評あり。月に3回単独ライブを開催しており、MBSラジオ『コウテイの銀蛾・流電音(毎週木曜25:30〜放送)』のパーソナリティーも務める。好物はハリボーのグミで、コンビニなどではあまり見かけないピーチ味がお気に入り。

Profile

イーグル野村

石川県出身。端正な顔立ちが特徴の<THE モンゴリアンチョップス>の看板スタッフ。

九条ジョーとは2018年に知り合い意気投合。最近では、九条がTV番組に出演する際のスタイリングを担当するなど、少しずつ活躍の場を広げている。よく訪れる古着屋はアメリカ村の『十四才』。

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