日本舞踊家とファッションブランド<Jungle & son’s>のディレクター。二役をこなす重岡大智さんが発信する、新しいカルチャーのかたち。


親父からはずっと「踊り(日本舞踊)以外でも何か自分で表現できることを見つけろ」と言われていた。

並行して日本舞踊もずっと続けていたわけですし、いずれは跡を継ぐ事になるかもという状況で、ファッションの分野に片足を入れることについては問題なかったんですか?なんか、それこそこちらの勝手なイメージですけど「そんな暇があるなら芸を磨け!」みたいなことには…(笑)

(笑)。親父(鵬扇玄治朗)からはずっと「踊り(日本舞踊)以外でも何か自分で表現できることを見つけろ」と言われていたんですよ。自分でイチから何かを創り上げることを経験させたかったのか、僕にも妹にもそれはずっと言っていて。

素敵なお父様ですね。大学に進学してファッションを学び始めてから<Jungle & son’s>を作ったんですか?

<Jungle & sons>をきちんとスタートさせたのは大学2年からなんですけど、 実は高校の頃にロゴだけは作っていたんですよ。ステッカーなんかも作っていて、それを高校の友達に配ったりして。「これから自分のブランドをやるからよろしく!」という、自分なりのプロモーション活動のつもりで(笑)。 高校生の時はみんな移動手段がチャリで、けっこう広範囲であちこちウロウロするじゃないですか。みんなステッカーをチャリに貼ってくれていたから、 近いところから「あ!これ知ってる!」「見たことある!」という声がチラホラ聞こえてくるようになって。チャリの広告塔パワーは侮れないですよ(笑)

侮れない(笑)。そこからプロダクトの展開はどんな感じで動かしていったんですか?

次に作ったのは自作のTシャツでした。その時は店舗どころか卸先も持ってないし、まだWEBも使っていなかったから、高校時代のステッカー拡散と同じように近い友達に配って、着てもらってという地道なプロモーションを続けていました(笑)

ステッカーからTEEにマーキングの道具が変わったんですね(笑)

そうですね。そもそもプロダクトを作ったはいいけど、そこからどうしたらいいのかがわからなかったんですよね。身内界隈にいくら配ってみたところで、それ以上に知られることはなかったし、自分の熱量的にも「ここからどうしたらいいのかわからへん」という感じで燻っていました。それでも友達や先輩たちが力を貸してくれて『Road runner』さんの店舗に置いてもらえたり、イベントに声をかけてもらえてブース出展させてもらったりと、少しずつ自分の周辺だけの限られたコミュニティから外に出て行くきっかけをもらえるよう になりました。

バイクカルチャーを起点に、そのコミュニティにいる人たちに受け入れてもらってからのスタートだったんですね。でも、オリジナルプロダクトにはいわゆる“バイカーのためのファッション”という、限定的なデザインはあまり感じられない気がしますが、どんなコンセプトを考えていたのでしょうか?

最初に作ったロゴには“Jungle & son’s Motor Cycle”と描かれてあるんですけど、コンセプトというか、その当時に考えていたのが“架空のバイク屋”だったんです。その架空のショップが出しているオリジナルのTシャツみたいなイメージで。当時は、「ロゴに“Motor Cycle”と入れたからには、何にせよバイクやバイカーのコミュニティに通用するものを作らなければ」という思いもありました。まずプロダクトの世界観を作ろうと思ったのも、その世界観を持ったオリジナルアイテムたちが、自分のお店の空気感を作り上げることに直結するものだと感じたので。

実際に店舗を持つということより先に、まずプロダクトありきで、その背景にあるストーリーと世界観を作ったと。そこからはどんな展開を?

プロダクトを本格始動させた大学2年の頃にはWEBショップもスタートしていましたし、卒業後しばらくして「そろそろ実店舗を持ちたいな」と考えていた頃に、ご縁があって神戸のバイクショップ『FONK MOTORCYCLE』さんの 一角をお借りする機会をいただけて、1年間実店舗経営をさせてもらえたも良い経験でした。

念願の実店舗経営はどうでした?

めちゃくちゃありがたかったですね。色んな方と直接知り合うことができるし、仲間のみんなとも「ここに来れば会える」という場所を共有できるのがすごくいいなと。それと同時に、店舗の経営・運営ということの難しさも勉強になりました。プロダクトを仲間に着用してもらったバイク動画をTikTokやリールでマメにアップしたお陰でフォロワーはかなり増えていたんですけど、SNS上でのフォロワーが増えたことと、実際の顧客が居ることはまったく別なんだな、 ということを学びましたね。

単純に「ウケるんじゃないか」っていう気持ちだけ。 みんなに笑ってもらえる遊びというか、笑える程度のシモネタって平和的じゃないですか。
12345
Profile

重岡大智 / 鵬扇小玄治

兵庫県加古川市出身。姫路を中心に活動する日本舞踊の家元<鵬扇流>の3代目であり、ファッションブランド<Jungle &son's>のディレクター。10代の頃に出会ったバイクをきっかけに、バイカーズカルチャーやファッションプロダクトで様々な発信を続けている。来年には、加古川でオリジナルアイテムを中心としたコミュニティショップがオープン予定。

Profile

鵬扇流

主に姫路、播州地方を拠点に活動する日本舞踊。古典舞踊の「日本舞踊鵬扇流」と新舞踊民舞踊の「鵬扇流 新舞踊 なないろの会」を主催し、毎年 4月には「鵬扇 流新舞踊 なないろの会」を開催。入場無料で、古典に親しみがある人も初心者にも楽しめる公演内容が魅力。

https://housenryu.com/

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE