南船場のパワースポット、スナック『よすか』の高橋愛さんが持ついろんな顔と、繋いでいきたい大切なご縁。
ずっとアパレル業界で働きたくて…。コレクションブランドや古着屋、ファッションPR会社でも働いてました。
先ほど銀座のラウンジで働いてたと言ってましたが、生まれは東京なんですか?
いえ、岩手県出身です。
そうなんですね!岩手時代の話も聞かせてもらえればと思うんですが、当時はどんな毎日を過ごしてたんですか?
岩手県の中でも田舎育ちで、学生時代はずっとバレーボールをしてましたね。あとは勉強したり、登山とかアウトドアな遊びをするくらい。けっこう地味に過ごしてたんです(笑)
ほのぼの系ですね。ファッションとかには興味があったりしました?
もちろんファッションや音楽も自分の知ってる範囲では興味がありましたけど、圧倒的に情報源が少なくて…。早く岩手から出たいと思ってましたし、そのためには勉強して大学に進学しないと!って感でした。
じゃぁ、大学で東京に?
大学は静岡なんです(笑)。静岡は人がすごく優しくて、程よく都会で富士山もあるし、自然も近い。サッカーも盛んでいろんなフェスも開催されてたから、アクティブに動いてた思い出がいっぱいありますね。バイトも<GAP>の販売員をしつつ、定食屋さんを掛け持ちしたりして。
一気に情報量が増えましたね(笑)。大学卒業後に東京に出たということですが、ちなみに就職先は?販売員のバイトもされてたからアパレル系ですか?
アパレル業界で働きたいとは思ってたんですが、最初は人と関わるちょっと特殊な仕事をしてました。東京だからなのか、今までの環境と変わったからなのか、とにかく時間の流れが速くて、身を任せるままに過ぎていたような気がします。通勤ラッシュとかプレッシャーに毎日押しつぶされながらも必死で働いてましたが、やっぱりアパレル業界への想いを断ち切れない自分がいたんです。
アパレル業界への想いがそこまで強かったのには、何か理由があったんですか?
バイトでしたが学生時代に働いてた<GAP>の仕事も楽しかったですし、大好きなファッションの仕事に関わりたかったから。すごくシンプルなんですが、その想いが強かったんです。
やりたい!という気持ちを抑えるのって、自分に嘘つくことにもなりますもんね。それで転職したと。
はい、踏み出しましたね。販売員の一般募集でしたが、代表の方が「経理とか総務もやってみると、会社の流れも分かるし、勉強にもなるからやってみて」と言っていただけたので、働き始めた当初からアシスタント的にいろんな業務も任されてたんです。海外とも取り引きのあるコレクションブランドで、同じビル内にアトリエがあったり、パタンナーのルームもあったりして、一連の流れを間近で見れる環境でした。
ちなみにどちらのブランドですか?
<ato>です。
マジですか!?ガチのコレクションブランドですね。ってことは、愛さんにいろんな経験の場を作ってくれたのは、デザイナーの松本与氏?
そうなんです。店舗だけの業務ではなく、東京コレクションをはじめ、いろんなファッションの仕事を見せてもらえたので素晴らしい経験ができました。
いろんな出会いがあったんじゃないですか?
ファッションの現場ではもちろんですが、お酒も好きでよく飲みに出かけてたので、たくさんの出会いがありましたね(笑)
なるほど(笑)。ちなみに銀座で働くようになったのは、どんなきっかけが?
<ato>から転職して、ヌードトランプの系列店『ヒプノティク』で働いてた頃です。たまたま銀座を歩いてたら、ラウンジのマネージャーのおばさまに声をかけられて。なんとなく話してるうちに興味も湧いてきたんですが、「金銭面もラクになるし、昼の仕事とはまた違う素敵な出会いが増えるよ」という言葉で、働くことを決めました。
古着屋でも働いてたんですね!!どんどん興味の湧く方に進んでいくタイプというか、好奇心旺盛というか、やりたいと思ったことは実行していくスタイル。
やりたいと思う仕事だから楽しめますし、実際楽しかったので(笑)。それに昼と夜で仕事のジャンルは全然違いますけど、双方で常に出会いがあふれてる状況って、本当に素敵なこと。ご縁に恵まれてる毎日だなと思ってましたね。
いろんなご縁に恵まれるって、すごく喜ばしいことだし、心身ともに成長できるきっかけにもなりますよね。昼の仕事はずっと変わらずですか?
これもご縁があったりで、ちょっと転々としてるんです。<ato>、『ヒプノティク』でお世話になった後、東日本大震災を機に人の役に立つ仕事がしたいと思って転職し、そこから最後の昼の仕事はファッションPRの会社で働いてました。
PR会社にもいたとは!ってことは、プレス業務などもされてたでしょうし、これまでの職歴も含めてファッションの一連の流れを経験されてる。
今もアパレルのお手伝いをすることがあるので、この経験は本当に役立ってますね。でも当時、PRの仕事は特に忙しくて、ショールームなども運営してたから昼も夜も働き詰めの状態。さすがにちょっと疲弊気味で、自分の将来についても不安になり、どうしようかなと考えてたんです。
華やかな世界に見えますけど、激務ですもんね。コレクションとか展示会の時なんかは一段と。
でも本当にグッドタイミングというか、『せくめとⅡ』(ぎをんせくめとの本店)の大ママが京都の祇園に新しいお店を出すことになり、「愛ちゃんどう?」と声をかけてくれたんです!(涙)。京都には一度住んでみたいと思ってたので、そう伝えると「じゃぁ、行ってみて!」って感じで。
これもご縁というか、巡り合わせというか。それで『ぎをんせくめと』のオープンとともに、愛さんも関西に来ることになったんですね!
ちょうど8年前くらいの話です。
京都に住んでみたかったと言ってましたが、縁もゆかりもない街に来ることに不安はなかったんですか?
お店をオープンする前から大ママと京都によく飲みに行ってたので、友だちは増えてたんです。それに、もしイヤになったら3年くらいで戻ろうかなと思ってましたし(笑)
実際のところ、関西の印象はどうでしたか?
住み始めると楽しすぎて、東京には月に1度遊びに行くくらいで十分かなと思ってます。飲食店で言えば、京都も大阪も個性的なオーナーさんが多いですし、それぞれの土地に根ざした歴史的な建造物もある。素敵な街が多くて関西はおもしろい!というのが、素直な印象ですね。
関西人としては、そう言っていただけるとうれしいです!京都に来てからは昼の仕事も何かされてたんですか?
夜の仕事は決まってたので、当初は昼も何かしようかなと思ってたんですが、結局は『ぎをんせくめと』だけに集中する感じで働いてました。大ママからお店の運営も任されてましたし、京都という新しい地で生まれるいろんな出会いが、本当に楽しくて。そんな毎日を重ねてこれたから、独立して『よすか』を始めることもできたんだなと思ってます。
高橋 愛
岩手県出身。大学を卒業後、人と関わる仕事を経てアパレル業界に転職。コレクションブランドの<ato>、ヌードトランプの系列店『ヒプノティク』、PR会社で研鑽を積む。また、出会いや繋がりを増やすために銀座のラウンジでも働く。2016年4月に『ぎをんせくめと』のオープンを機に、京都へ移住。持ち前の好奇心旺盛な性格と、やりたいことを実現していくスタイルでいくつものご縁を重ね、2022年4月に自身のお店『よすか』を大阪・南船場にオープン。アパレルブランド『Arobe』や浴衣ブランド『月影屋』のサポートも行い、東京・八丁堀のギャラリー『CENTER』でもイベントに合わせて出張スナックを行う。
よすか
住所:大阪市中央区南船場4-10-22 船場裏路地 2F
営業:20:00〜夜更け
休み:不定休
※紹介制