南船場のパワースポット、スナック『よすか』の高橋愛さんが持ついろんな顔と、繋いでいきたい大切なご縁。

すらっと伸びた背に、美しく結われた髪、そして華やかな着物をまとったその姿は、キレイでとにかくかっこいい。今回ご紹介する高橋愛さんは、祇園の紹介制スナック『ぎをんせくめと』と、大阪・南船場の紹介制スナック『よすか』でママを務めるお方。『よすか』はオープンして2周年を迎え、南船場の夜を盛り上げるお店の1つとして人気を博しているんですが、スナック以外の活動もすごく精力的な愛さん自身の素性が知りたくて、インタビューをお願いしました!夜の世界に足を踏み入れたきっかけやそこに至るまでの経緯、そして気になるいろんな活動など、ご縁を大切に歩んできた愛さんならではのお話は必読。人生の転機って、やっぱりこれまでのご縁や出会いの積み重ねで訪れてくるんだなと。そう思わされるお話でした!

『よすか』は、“縁”という言葉の昔の読み方。たくさんのご縁が生まれる、そんな場所になれたらなと思って名付けたんです。

まずは2周年おめでとうございます!南船場はここ数年でいろんなお店が増え、街としての夜の顔もどんどんおもしろくなってる気がするんですが、『よすか』はどういった経緯でオープンしたんですか?

『よすか』が入っている船場裏路地は、南船場に残された路地裏の希少な町家を再生した施設なんですが、プロデューサーの方が知り合いで声をかけてもらったんです。施設のオーナーの方からも「南船場を盛り上げたい。そのきっかけになるお店になってもらえれば」という言葉をいただき、チャレンジしてみようと思いました。

愛さんは8年ほど前から祇園の紹介制スナック『ぎをんせくめと』で働かれてましたが、兼任しながら『よすか』を始めたと。

そうですね。今も『ぎをんせくめと』には週に1~2回立ちつつ、『よすか』は私に任せてもらうカタチで始めました。

南船場にはよく来てたんですか?独立するなら、慣れ親しんだ京都の方がいいのかなと思ったんですが。

南船場は昼に来るくらいで、夜のイメージについてもそこまで深くは知らなかったんです。でも、声をかけていただいたご縁があったり、昔から商人の街だったり、江戸時代には近くに遊郭もあったと聞いたので、おもしろそうな街だなと。私の中では大きなチャレンジでしたが、逆に深く知らないからスタートできたのかもしれません。

確かに、何事も知りすぎると二の足を踏んじゃう場合がありますもんね。船場裏路地は、通りから奥まった場所へ続くアプローチもポイントだと思うんですが、愛さん的にはこのロケーションも決め手の1つになったりしましたか?

南船場という街中にありながらも、異空間に足を踏み入れていく感覚が素敵だなと思いました。『よすか』へと続く階段には赤い絨毯が敷かれているんですが、その流れでお越しいただけるようにお店の内装も赤にしたんです。和と洋を織り交ぜたインパクトのある空間にしたかったので、偶然ですが見事にマッチしましたね。

アプローチを歩いてる時もワクワクしますが、赤い階段から『よすか』の世界観に引き込まれていく感じがします。ちなみにお店の名前の『よすか』とは、どんな意味があるんですか?

“縁”という言葉は“よすが”とも読むんですが、『よすか』はその昔の読み方になります。古くは“寄す処(よすか)”で、身や心のよりどころにするという意味があり、そこから縁が生まれる。このお店もそんな存在になり、たくさんのご縁が生まれる場所になれたらなと思って。

なるほど!そういう意味だったんですね。

お店を紹介制にさせていただいてるのも、ひとり、ひとりのお客様とのご縁を喜び、そのご縁から生まれる人の繋がりを大切にしたいからなんです。敷居をすごく高くしたいわけではなくて、あくまでもお客様に楽しんでいただける空間、時間をしっかりと守るため。お店としてはスナックと言ってますが、別にそこに深いこだわりはないんです。もちろんスナックだと思うお客様もいれば、サロン、ラウンジと言う方もいますし、カラオケができるバーと言われる方も。そこの感じ方、捉え方はお客様それぞれでいいと思ってます。

赤い内装とは一転して、奥の部屋(写真右)は青を基調としたカラーになってます。

紹介制というのもそうですし、スナックの定義に縛られないのも、それぞれのお客さんがそれぞれの時間を楽しむのが1番だと考えてるからですね!愛さん自身が、お客さんと接する上で大切にしてることって何でしょう?

なるべくお客様に話していただきたいと思ってるので、私からいろいろ質問したり、聞くことが多いですね。お仕事やプライベートなことよりも、趣味の話や「次は何を歌います?」など、もっぱらフランクな感じですが。やっぱりリラックスしていただきたいですし、日常とは違う安らぎを感じていただきながら、刺激を受けたり、出会いがあったり、何かしらの新しいきっかけがお客様の中でも生まれたらいいなと。

人とのご縁だけではなく、いろんな物事とのご縁も生み出していくと。

うちのお店では浮世絵専門店『西天満竹井』さんの作品を飾っているんですが、ここで見てから浮世絵にハマったお客様もたくさんいるんです。アーティストのお客様も多いですし、話すことで世界はグッと広がりますし。

きっかけであり、新たな世界の入口にも『よすか』や愛さんがなってるんですね!そんな愛さんと言えばお店での洋服姿も素敵ですが、着物姿は一段とかっこいいなと。いつ頃から着物は着るようになったんですか?

銀座のラウンジで働いてる時に教えてもらいました。京都出身のママで、「あなたは着物が似合うからもっと着なさい!」と言われて(笑)

その通り、めちゃくちゃ似合ってます!今の時代、若い子だけではなく大人の方も着物を着る機会が減ってると思うんですが、愛さんが思う着物の良さとは?

着物は帯や帯締め、髪型も含めて、全て自分でコーディネートしてるんですが、そこにストーリーを作れるんですよ。

ストーリーとは、自己表現的なものですか?

もちろん自己表現もありますが、柄や刺繍などには職人さんのすごい技術が込められてるので、そういったものづくりのストーリーもふまえてコーディネートできるのが魅力。実際に職人さんのお話を聞くと勉強にもなる上、表現の意図や着物に対する想いも知れて、どんどん興味が湧いちゃいます。価値あるものを身につける幸せもありますし、知れば知るほど奥深い世界だから、いろんな世代の人に楽しんでもらいたいですね。

洋服とはまた違う、沼的な世界ですね。お店で着物を着るのは週にどれくらいなんですか?

週に1〜2回くらいですかね。着物を着る日は京都に行って、『ぎをんせくめと』時代からお世話になってる『エメラルド美容室』で髪をセットしてもらってから出勤してます。

セットは大阪じゃないんですね!ってことは、その姿で電車に乗って…。

自分で着付けして髪もバッチリ決めて、電車に揺られて南船場に来てます(笑)。大阪ではこれだけの技術を持った先生とまだ出会えてないですし、すごく信頼もしてるのでね。88歳の素敵な女性の先生で、『ぎをんせくめと』時代からずっとセットしていただいてるので、先生と一緒にいつか本も出せたらなと。これ、密かな夢でもあるんです。

うわー、その夢も素敵ですね。愛さんは背も高いし、着物姿で歩いてると観光客からもよく声をかけられるんじゃないですか?

身長は171cmあって、着物姿で草履を履いてると180cmくらいはあるかも。洋服の時もだいたいヒールだから、同じくらいですね。それに、おっしゃる通りで、観光客の方からもよく声はかけられます。せっかくなので全身ポーズを決めてると、実は撮ってたのは頭だけだったり…。そんなこともよくありますよ(笑)

ずっとアパレル業界で働きたくて…。コレクションブランドや古着屋、ファッションPR会社でも働いてました。
123
Profile

高橋 愛

岩手県出身。大学を卒業後、人と関わる仕事を経てアパレル業界に転職。コレクションブランドの<ato>、ヌードトランプの系列店『ヒプノティク』、PR会社で研鑽を積む。また、出会いや繋がりを増やすために銀座のラウンジでも働く。2016年4月に『ぎをんせくめと』のオープンを機に、京都へ移住。持ち前の好奇心旺盛な性格と、やりたいことを実現していくスタイルでいくつものご縁を重ね、2022年4月に自身のお店『よすか』を大阪・南船場にオープン。アパレルブランド『Arobe』や浴衣ブランド『月影屋』のサポートも行い、東京・八丁堀のギャラリー『CENTER』でもイベントに合わせて出張スナックを行う。

Shop Data

よすか

住所:大阪市中央区南船場4-10-22 船場裏路地 2F
営業:20:00〜夜更け
休み:不定休
※紹介制

CATEGORY
MONTHLY
RANKING
MONTHLY RANKING

MARZELでは関西の様々な情報や
プレスリリースを受け付けています。
情報のご提供はこちら

TWITTER
FACEBOOK
LINE