大阪で商店、兵庫の山奥で宿泊施設！『Clan2F』の豚座大輝さんがカタチにした、人に喜びと豊かさを届けるための2拠点式の接客スタイル。
僕自身を含めて『Clan2F』『dim store』『オモテ』という場所があって、どこが入り口でもいいんです。喜んでもらう、豊かになってもらうというゴールは同じだし、これからも目の前にいる人の生活、人生に貢献できればなと。
話を聞いてきた中で、ご自身のお店『Clan2F』とその1階にある『Tosui』、そして宿泊施設の『オモテ』の内装をされてきてますが、高校時代に建築土木を勉強してたとはゆえ、ほぼ現場未経験の人ができるもんなんですか？
宿泊施設の『オモテ』を改装した時は、お金もなかったので自分でやらざるを得ない感じでした。でも、やっていくうちにどんどん楽しくなってしまって（笑）。実は稲葉さんのお店『Ii』の内装も、僕がやらしてもらったんです。全体のデザインを考え、専門的な部分は職人さんたちにお願いしつつ。
ちゃんとカタチになってるのがすごい。他にも手がけた内装があれば教えてください。
中崎町にあるおばんざいのお店『guuuuu』は、内装業として転機になった仕事でしたね。大学の友だちがオーナーのお店で、最初は内装やってる人を紹介してほしいと頼まれたんです。でも、「紹介するくらいなら、やらしてやー」ってお願いしたら、ほんまに発注してくれることになって（笑）
まさかの返答！
冗談半分でしたが、そこから販売員時代のお客様に水道屋さんや建設関係の人がいたのでソッコー連絡して、「店舗内装をすることになったから教えてください！」ってお願いしました。みんなほんまに優しくて、「おう！ええで！」って感じで…。手がけた内装も喜んでもらえて、そこからちょくちょく仕事をもらえるようになっていったんです。知り合いの方ばっかりですけどね。
みんなが応援してくれたんですね。
介護施設の事務所の内装、家具、美容室の本棚とか、なんでもやりますスタイルで動いてきました。きっと「豚座をみんなで助けたろ！」って感じで、仕事をお願いしてくれてたんだと思います。ほんまに感謝しかないです（涙）
そう思われるのも、喜んでもらえる接客をしてきたからじゃないですか。皆さんからの応援でもあるし、新たな道を進んでる豚座さんへの期待もあるでしょうし。ってことは、『Tosui』の内装を手がけるきっかけも、そのような感じですか？
『Tosui』オーナーの鹿野さんも、元々はロフトマン時代のお客様でした。僕が『guuuuu』の内装をしてる時に小汚いカッコで歩いてたら、たまたま会ったんです。近況報告的にいろいろ話してたら、「また独立する時に頼むわー」と言ってくれて。
それでほんまに頼んでくれたと。
はい（涙）。まずは相談に乗る感覚で話してたんですが、ほんまに発注してくれはったんです。あの小汚いカッコの時に再会してなかったら、『Clan2F』も始まってなかったかもしれないし、ほんまに縁はあるんだなと。
販売員とお客さんの関係を超えての繋がりが生まれてるから、ほんまに大切にしないといけないですよね、縁というものは。すごく素敵な話ばっかりなんですが、内装業で職人さんに怒られたとか、そっち系のエピゾードはないんですか？（笑）
現場では毎度怒られまくってますよ。まだまだ覚えきれてない専門用語とかもあって、「すみません…、どういう意味でしたっけ？」と聞き返す時もありますし。だから、とりあえず掃除と、コーヒーを切らさないよう買い出しする役目を担ってます（笑）。でもね、自分の考えたデザインや内装のポイントが具現化されていく工程を見るのと、完成した姿を見て喜んでもらうことがほんまに楽しんですよ。
人に喜んでもらうことが接客以外でも表現できると、また新たな広がりも生まれそうですね。宿泊施設のことも詳しく聞きたいんですが、元々は『KOBUTA HOUSE』という名前でしよね。それが宿は『オモテ』、ランチカフェや雑貨、家具の販売が『dim store』として改名されましたが、そこに何か理由があったんですか？
『KOBUTA HOUSE』名義で、服・雑貨・家具・ランチカフェ・宿もやってましたが、いろいろ詰めすぎかなと思いまして。最近は地元のイベント出店などの依頼もあり、いよいよ何屋さんか分からなくなってきたので、カテゴライズを明確にしようとしたのが理由です。『dim store』ではランチカフェや家具、雑貨の販売を、その別邸となる『オモテ』では宿の運営をという感じですね。そして『Clan2F』ではオリジナルのアパレルをはじめ、商店的な要素でいろんなアイテムを展開していく。今はこの3つが軸になってます。
なるほど、そういうことでしたか。ちなみに宿泊施設の『オモテ』というのはどんな意味が？“オモテ”だけに、“ウラ”も存在してるのかなと思いまして。
あーー（笑）。『オモテ』という名前ですが、日本家屋では玄関に入って1つ目の部屋を“オモテ”と呼ぶんです。それは、客人をおもてなしするための場所ということが由来してます。だから、表と裏とはまた意味が違うんですよ。
そーなんですね。それは失礼しました（笑）
でも、“ウラ”もあった方がおもしろいですね。
おもてなしならぬ、“うらてなし”的な。
実は、宿の横にカラオケ喫茶も作ってるんです。そこは母親に任せてるんですが、“ウラ”にもできますね。自然を感じる場所で但東町の食を楽しみ、サウナに入った後は山の水がかけ流しの水風呂か、目の前の川にダイブ。『オモテ』ではそんなネイチャー感を満喫しつつも、“ウラ”では超人工的なカラオケも楽しめるって感じで。DAMの最新式を導入してて、音響もしっかりしてますし、20人くらいは余裕で入れる広さ。ステージだってあります（笑）
まぁまぁ、ガチのカラオケ喫茶ですね。見事に自然と現代的なものが対比してるし。
普段は地元のおっちゃんやおばちゃんたちの憩いの場になってますが、お酒を飲んだら歌いたくなるお客様もいるので、予約していただければ全然“うらてなし”も可能です（笑）
お客さんに喜んでいただく、そのおもてなしの精神が隅々まで行き渡ってる（笑）。料理も豚座さんが？
そうですね。栄養士の資格も持ってて、料理の勉強もしてきたので、但東町や豊岡市ならではの地元の食材を提供してます。めちゃくちゃ凝った料理じゃないですが、素材の味をきちんと楽しんでもらえるような工夫は凝らしてますね。
ほんまに1泊2日丸ごと接客ですね。いろいろ話を伺いましたが、これまでやってきたことが全て今に繋がってるなと。
ようやくですけどね。当時は人生の迷子だったし、ただの点と点だけでしたが、少しずつカタチになってきてるかなと。自分の経歴を話した時に「お前は何がしたいねん」「スタイルがない」と言われたことも多々あったんですけど、まさかこのように繋がっていくとは想像すらできませんでした。
無駄なことなんて1つもないってことですよね。全てが経験になって、そこからやりたいことがカタチになっていくことを、豚座さん自身が体現してるなと。今後の展開がますます楽しみなんですが、オープンしたばかりの『Clan2F』をはじめ、豚座さんの目標やこれからの話も聞かせてください！！
『Clan2F』は毎月不定期営業にはなりますが、通常営業に合わせて誰かとタッグを組んでポップアップも開催したいですし、最初に話した朝市とかも企んでます。まず第1回目となる5月5日（日）から5月7日（火）は、東京から『Hoodmart』さんが登場するんですよ。オーナーの松坂さんには昔からお世話になってて、いつか一緒に仕事がしたいと思ってたので、その念願が叶いました。ポップアップでは、松坂さんセレクトのTシャツやおもちゃ、『Hoodmart』で大人気のキーリングの販売に加えて、シルクスクリーンも行う予定なので、ぜひ楽しんでいただければと思います！！お店の雰囲気もガラッと変わりますよ。
わお！いきなり『Hoodmart』さんが登場するとは、すごいことになりそうですね。今後のポップアップや朝市とかも含め、どんな商店になっていくのかワクワクします。
服だけにこだわらず、衣食住の全てに関わる展開をしながら、そのどれかを通じてお世話になった方々やお客様が喜び、豊かになれるようにしたいと思ってます。例えば、『Tosui』に来たお客様がフラッと2階にも立ち寄り、さらに満足度を高めてもらえたらうれしいし、そこから「休日には宿に行ってみようかな」なんて思っていただけたら最高。自分の考え抜いた表現で、お客様の「楽しかった！」が連続していけば素敵だなと。
目の前のお客さんに自分の言葉で伝えたいと言ってましたもんね。ただ発信していくのではなく、この『Clan2F』は喜びが連続していくためのスタート地点！またいろんな出会い、縁が育まれていきそう。
そうなれば、ほんまに理想的やと思います。これはちょっと個人的な話になるんですが、僕みたいに迷子になってた子がいたとして、もし自分に助けを求めてくれる機会があれば全力で手を差し伸べたいなと。具体的に何ができるかはその時で変わるかもしれないけど、僕が経験してきたことは伝えられるし、「じゃぁ、ちょっと下で飲んで話そうや」ってこともできる。めんどくさいおっさんになるつもりはなくて（笑）、迷ってる時に相談する相手がいれば、もっと気づきはあったかもしれないと僕自身も思うことはあるので。悩んでる若い子をちゃんと受け入れる、そんな存在にもなりたいなと。
めっちゃいい商店！“Clan”って名前に大家族的な意味があるように、腹割って話せる仲間にもなれる場所だと。そう考えると、豚座さんにとっての接客って、人とちゃんと向き合う、人とちゃんと付き合うってことなのかなと思いました。
僕自身を含めて『Clan2F』『dim store』『オモテ』という場所があって、どこが入り口でもいいんです。それぞれの場所で表現してることは違いますけど、喜んでもらう、豊かになってもらうというゴールは同じなんでね。少しずつですけど、これからも目の前にいる人の生活、人生に貢献できればなと思ってます！！
＜豚座さんのお気に入りのお店＆ブランド＞
おでんとお酒 Tosui（大阪市北区本庄西）
『Clan2F』の1階にあるお店で、オーナーの岩根さんには公私ともにお世話になってます。おでんもパスタもほんまに絶品なので、ぜひ味わってください！
Essential Store（大阪市福島区福島）
尊敬して崇めてる拓哉さんのお店で、僕が内装を考える上での原点になってます。扱ってる古道具やアンティーク、そして空間の全てがかっこよ過ぎます！
Willow Pants
イーさんこと、飯田裕一郎さんが手がけるブランド。アイテムのかっこよさはもちろんなんですが、イーさんの歩んできたカルチャーが反映されてて、ブランドにおける人の在り方を強く感じさせられます！
＜INFORMATION＞
Hoodmart POP-UP in OSAKA
日程： 2024年5月5日（日）〜5月7日（火）
場所： Clan2F（大阪市北区本庄西1-9-4 Tosui 2F）
日時： 5月5日 12:00〜21:00 / 5月6日 12:00〜19:00 / 5月7日 12:00〜18:00
初日の5月5日のみ午前11時より店頭で整理券を配布。12時のオープン以降に順次入店で、1階のTosuiで飲食しながら待つことも可能。
Instagram： @_hoodmart_
豚座 大輝
1991年生まれ、兵庫県豊岡市但東町出身。『ロフトマンコープ梅田』、『IMA:ZINE』を経て独立し、地元の但東町に『KOBUTA HAUSE（現dim store／オモテ）』を創業。その後は兵庫県垂水区のセレクトショップ『Ii』の立ち上げにも参画しつつ、現在は自身の事業である宿泊施設の運営と内装業に専念。2024年4月6日に、但東町の魅力を発信するための大阪の拠点として、『Clan2F』をオープン。商店的なスタイルで衣食住の側面から、人生を豊かにするためのコンテンツを自ら店頭に立って伝えている。4人の子どもを持つ、ビッグダディな一面もあり。
Instagram： @clan_2f_osaka
Instagram： @dim_store._omote_
