布施の秋は、ハロウィンより妖怪!「妖怪あつめ」を仕掛ける彫り師・ぎんさんの深すぎる妖怪愛。


うちは親や親戚がみんな商売をやってて、お金を稼ぐ=自分でなんかやる、なんですよ。勤めるっていう発想がなくて。それで、屋台をやってみようってなったんですね。

ぎんさんはずっと、この布施商店街でお商売されているんですか?

そうっすね、出身は広島なんですけど、もうここにきて27年ぐらいですね。

広島からどんな縁があって布施に?

なんの縁もないんです。広島を出て埼玉に行く途中、友達がいたからたまたま立ち寄っただけで。それで、なんか良さげやなって思って、そのまま住んでます。

当初は、埼玉に行く予定だったんですか?

僕ずっとエレクトーンやってて、講師の免許とってキーボードプレイヤーになろうと思ったんですよ。で、なんか埼玉にそういう学校があるから、そこに行こうと思って。それまでバスを改造した屋台をやってて、お金が貯まったんで、学校行こうかなと。それが21歳の頃ですね。

広島で、バスを改造した屋台をやっておられたんですか?

そうそう、友達のおかんから小さいバスみたいなんもらったんすよ。いる?って。それで、何やろうかなって考えて、居酒屋みたいなんやったらおもろいかなと思って。それで、鉄工所の友達に、トランスフォームできる?って聞いて改造してもらって、商売始めました。

その当時っておいくつですか?

18っすね。うちはおやじが会社やってて親戚もみんな商売やってたから、お金を稼ぐ=自分でなんかやる、なんですよ。勤めるっていう発想がなくて。それで、屋台をやってみようってなったんですね。その店ではお酒とかおでんとか出してたんですけど、ラーメンもやってて。おやじがやってた給食会社のでっかい釜に豚の頭を30個ぐらい入れて、10時間ぐらいぶっ通しで沸騰させてスープとってたんですよ。これがむっちゃうまくて。豚の頭ってイノシン酸がごりごりに出るから旨味がすごいんですよ。これ屋台ではもったいないで、専門店で勝負できる味やでって言われました。今でもおかんに言われますね、あれもう食べられへんの?って。

すごい、18歳がやる商売じゃないですね(笑)。そこで貯めたお金を持って埼玉に行く途中で布施に来て、そのまま住んでしまったと。布施にこられた当初から、彫り師をされてたんですか?

いや、その頃はただ興味があっただけで。当時はヒップホップとかギャングスタスタイルが流行ってたんですけど、かっこええなと思って。で、電動歯ブラシを改造したやつで後輩の腕に「これ俺が好きなマークやねん」いうて、ジャミロクワイのあのマークを彫ったんです。そんで、よっしゃ完成した!って立たせて見たら、マークがきゅーって縮んでたんですよ(笑)。あれ?ってなって。そいつも、なんかちゃうっすねって。

腕の皮膚の伸縮性を考慮せずに彫ってたんですね。

今やったらちゃんと張って彫りますけど、当時はそんな知識もなくて。無責任ですけど、それが最初に人に彫った経験ですね。

そこから彫り師になるには、どんな修行をされたんですか?

大阪に来てた中学の同級生が、アメ村界隈で超有名な人の一番弟子やったんですよ。そんで、彫り場に行って見せてもらったら、全然できそうやなと思って。当時は誰かに弟子入りしたり、スタジオやったらそこで勉強したりするんですけど、弟子入りとかめっちゃ厳しそうなんですよ。これ絶対無理やなって思って、独学で勉強しました。上手な人のとこに彫りに行って、彫ってるところを見ながらいろんなことを聞いて学ばせてもらうっていう感じで。

彫り師の世界も、そんな師弟制みたいな感じなんですね。

だんだんそういう一門制みたいなのはなくなってきましたけどね。今はもうみんなYouTubeですよ。それが先生。でもむっちゃ上手いんですよ。

そうなんですか?

すごい合理的じゃないですか。弟子入りしたってちょっと遠めで師匠が彫ってるところをそっと見るぐらいやし、何回も同じこと聞けないですよね。でも動画やったら接写で針の動きを見せてくれるんですよ。しかも、世界のトップアーティストの技術を何回でも見れる。あと、海外の人とも普通に情報交換できるし、交流の場がめっちゃオープンにあるんですよ。どこの業界でもそうやけど、昔とは全然ちゃいますね。

師匠の技を盗む……みたいな時代とは違うんですね。

でもまあ、いまも変わった子とかやんちゃな子が多いっすけどね。

日本の奇祭として、海外メディアにも取り上げられたらゴール。布施はハロウィンじゃなくて、妖怪のコスプレして楽しめるような場所になったらおもろいなと思って。
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Profile

ぎん

広島県出身。地元でバスを改造した屋台を経営した後、21歳で大阪へ。たまたま立ち寄った布施を気に入って定住、布施商店街でタトゥースタジオを開業する。2017年からイベント「妖怪あつめ」をスタート、2023年6月に妖怪専門店「ビリビリモンスター」をオープン。

Shop Data

ビリビリモンスター

妖怪をモチーフにしたラグマットの展示など。オリジナルラグマットを作るワークショップも受付。タトゥーは妖怪以外のモチーフもOK、妖怪ガチャガチャも設置予定。

東大阪市足代1-11-15
Youtube:@user-ru7jk4pv7i

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