布施の秋は、ハロウィンより妖怪!「妖怪あつめ」を仕掛ける彫り師・ぎんさんの深すぎる妖怪愛。

下町感あふれる布施の商店街で、地元を中心にめちゃくちゃ盛り上がっているイベントがあります。その名も、「妖怪あつめ」。2017年にスタートしたこのイベントは、商店街に隠れている妖怪を探し、すべての妖怪と2ショット撮影した人に抽選で賞金(今年は総額23万円!)を出すというもの。なぜ妖怪なのかという不思議と、賞品が現金という生々しさが妙に興味をそそります。このイベントの仕掛け人は、布施で20年以上商売をしている彫り師のぎんさん。妖怪好きが高じて7月に妖怪専門店『ビリビリモンスター』をオープンしたぎんさんにインタビューを敢行、想像を超える妖怪愛から熱い地元愛まで、たっぷりお聞きしてきました。これを読めば、妖怪あつめに行きたくなること間違いなし!

仕事は彫り師なんですけど、妖怪の絵柄のオーダーが入ると、その妖怪について調べるんです。妖怪の出身の土地まで行って、民俗博物館とか行ったり、現地の人にいろいろ聞いたり。

『ビリビリモンスター』は妖怪専門店ということですが、いったいどんなお店なのでしょうか?

いま扱ってるのはラグマットと、Tシャツとかのアパレル関係と、あとタトゥーですね。これから妖怪に関するものをもっと作っていきたいなと思ってます。

モチーフはすべて妖怪ですか?

妖怪です。妖怪だけの専門店。

まずは、ぎんさんがなぜ妖怪好きになったのか、お聞きしてもいいですか?

もともと目に見えないもの、不思議なことが好きなんです。世界中で信仰されてる宗教の対象とか、日本だったら物に精霊が宿るとか。空気とか音とかもそうですけど、目に見えないもの、あると証明されているけど肉眼で見ることはできないもの、そういうものに惹かれます。
妖怪も同じで、目に見えないものをキャラクターに擬人化して、絵に変換してる、そこが好きなんです。

なにか、そういうものを好きになるきっかけがあったんでしょうか?

うちのおかんが、ゴリゴリの宗教家やったんです。僕はいま無宗教ですけど、みんな信じるものが欲しいじゃないですか。僕も小さい頃からそういうものを欲していて、その想いが年をとっても心を離れないんです。

ご自身が、なにか信じるものがほしいという気持ち?

誰でも、死んだらどうなるかとか、不安じゃないですか。けど大人になると、そんなん当たり前やし、そういうもんやしってなりますよね。死んだらどこかに行くとか、生まれ変わるとか、そういう考えもあるし。でも僕はいろいろ知りすぎてて、なにを信じていいのかわからなくなったんですよ。宗教迷子みたいな。だから、そういうものをキャラクターにして楽しむっていうことに惹かれたんやと思います。

なにを信じていいかわからなかったからこそ、それを具現化されているものに惹かれたと。そこから、妖怪が仕事になるというか、妖怪専門店を開くようになるまではどんな経緯があったんですか?

仕事は僕、彫り師なんです。オーダー制でお客さんのリクエストしたものを彫るんですけど、いろんなモチーフがあって、神様も妖怪もあるんですよ。それで、妖怪の絵柄のオーダーが入ると、それをしっかり噛み砕いて彫りたいから、その妖怪について調べるんです。

注文された絵柄をただ彫るのではなくて?

そうっすね。自己満足なんですけど、妖怪のオーダーが入ったら、その妖怪について調べます。日文研(国際日本文化研究センター)のサイトに、妖怪に関する100年分ぐらいの論文が載ってるデータベースがあるんですよ。それを読んだり、その妖怪の出身の土地まで行って、民俗博物館とか行ったり、現地の人にいろいろ聞いたり調べたり。そのうえで、実はこの妖怪はこうやったんちゃうか?っていう仮説を立てて、その姿を描きなおすんです。

調べる前と後で、絵柄は変わります?

ぜんぜん変わりますね。例えばね、みんながイメージしてるカッパとかひとつ目小僧とかって、江戸時代に描かれてるんですよ。それを、いまの力をフルに使って、実はこんな感じちゃうかっていうのを作っていくのが面白い。

現地まで行って調べて、ご自身なりの解釈をした妖怪の絵を描くんですね。すごい、民俗学者のフィールドワークみたいです。

いろんなとこに行って調べるんが、めっちゃ楽しいんですよ。それが、僕のもともとの「妖怪あつめ」。別に教授とかでもないし信憑性があるとかでもないんですけど、お客さんに僕の仮説の話をして、それでOKやったらその絵柄で彫らせてもらいます。

カッパの伝説も北九州とか長崎とかに多くて、海沿いに目撃情報とかが続いてるんですけど、なんでかなって調べたんですよ。
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Profile

ぎん

広島県出身。地元でバスを改造した屋台を経営した後、21歳で大阪へ。たまたま立ち寄った布施を気に入って定住、布施商店街でタトゥースタジオを開業する。2017年からイベント「妖怪あつめ」をスタート、2023年6月に妖怪専門店「ビリビリモンスター」をオープン。

Shop Data

ビリビリモンスター

妖怪をモチーフにしたラグマットの展示など。オリジナルラグマットを作るワークショップも受付。タトゥーは妖怪以外のモチーフもOK、妖怪ガチャガチャも設置予定。

東大阪市足代1-11-15
Youtube:@user-ru7jk4pv7i

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