お笑い、音楽、俳優……ジャンルレスに活躍する藤井隆さんが登場!今秋出演する舞台に対する想いや、大阪時代の思い出についてもインタビュー!

お笑い芸人として活躍しながら、音楽にも造詣が深くシンガーやプロデューサーとしても才能を発揮、さらにはドラマや舞台でも役者として独特の存在感を放っている藤井隆さん。ジャンルに縛られることなく、どの分野においても「藤井隆」らしさを輝かせ、多くのファンを魅了しています。そんな藤井さんは今秋、京都劇場で上演される舞台『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』に出演が決定! 稽古が始まったばかりという藤井さんに、今回の舞台にかける意気込みや、大阪時代の思い出など、お話を伺ってきました!

芝居の稽古場ってね、僕はすごく恥ずかしいんですよ。「初めまして」とか言いながら集まった人たちが、急に兄弟とか夫婦になって、喧嘩したりするんです。

この秋にご出演される『ガラパコスパコス~進化してんのかしてないのか~』は、<劇団はえぎわ>を主宰されているノゾエ征爾さん作・演出の舞台になりますが、まず、藤井さんの役どころを教えていただいてもいいでしょうか?

主人公・太郎の兄を演じます。この太郎くんが、特別養護老人ホームを抜け出した高齢女性のまちこさんと一緒に住み始めるんですけど、そんな弟を心配して翻弄されるお兄さんをやらせていただきます。太郎くん役は竜星涼さん、まちこさん役は高橋惠子さんです。

竜星涼さんのお兄さん役なんですね!

そうなんですよ。どんな親から生まれてきたのかって話ですけど。

藤井さんの役は、初演ではノゾエさんが演じられたと伺いました。

そうなんです。絶対に思い入れや愛着があるはずなので、それを藤井にやらせようと思ってくださったわけですから、その期待に応えられるように頑張ろうって思ってたんです。でもね、稽古場はすごく穏やかで。ノゾエさんのお人柄で、優しい空気が流れてます。

再演でその役を受けるというプレッシャーは感じておられますか?

本当のこと言うと、実はあんまり考えてないです。再演にはつきものなので、あまり悩んでも仕方ないかなって。始めて再演の作品に出演したとき、初演と同じ役を演じたんですけど、自分で演じてもやっぱり変わってるんですよ。初演で60公演とか経験して、もう全てやり切ったつもりやったのに、全く同じにはできないんです。再演って、難しいんだなと思って。だから、比べても仕方ないのかなっていうのが正直な気持ちです。

ご自身で同じ役を演じても、時間が経つと変化があるんですね。ノゾエさんから、役に対してなにかアドバイスなどはありましたか?

ノゾエさんは本当に誰に対しても平等な方なんです。最初に、「過去にやったものをなぞるつもりはありません。ここから新しい気持ちで取り組みたいと思います」って挨拶してくださったんです。でも翌日ね、「と先日お話したんですが、過去に上演してこうだったなって思うところがあるので、一度それをやらせてもらっていいですか?」って。そんなことをきちんと口に出して確認してくださる演出家さんってすごく誠実ですよね。

ノゾエさんの演出は、どのようなスタイルですか?

強要することがまずないですね。太郎くんとまちこさんとか、2人1組で会話するシーンが多いんですけど、その関係をすごく丁寧に教えてくださるんです。こういうセリフを言ってくださいじゃなくて、2人がどういう関わりをしていくのかっていうのをすごく丹念に見ておられるなって感じます。
こちらとしては、ノゾエさんの頭の中にあるものや、過去の経験からこう演じたほうがいいというところを言ってくださってもいいと思うんですけど、いったん僕らにゆだねてくださるんです。

「こうしてください」ではなく、役者さんにゆだねてくださるんですね。

やってみたものを受け入れてくださるから、ダメダメとはならなくて。「今の違うな」ってところがあってもおかしくないはずなのに、器が大きいなと思います。僕なんかはせっかちなので、演出家としての正解があるなら、それを教えてもらっても全然いいんですけど(笑)。でも「1+1は2!」じゃなくて、「1+1は3かもしれない」って可能性を探る時間に付き合ってくださるっていうのはすごいなって思います。

それは、演じる側としては幸せな時間ですか?

なんか文字にすると照れ臭いし、ちょっと違う感じもしますね。あくまでも稽古ですし。芝居の稽古場ってね、すごい恥ずかしいんですよ。「初めまして」とか言いながら集まった人たちが、急に兄弟とか夫婦になって、喧嘩したりするんです。お仕事ですからもちろん真剣にやりますけど、顔が真っ赤になることもあります。でも本番に向けて、そういう時間を重ねていくのが大切だなと思ってます。

長く続けられていても、恥ずかしいものですか?

これは長所かもしれないですけど、毎回フレッシュです。毎回もう恥ずかしい!って思いますし、慣れないです全然。

でもたしかに稽古場で、自分がこの役をこう解釈しましたっていうのを演じてみせるのは、大変な作業のように思います。

そうなんですよ、その解釈が間違ってる時なんてもうほんまに恥ずかしいじゃないですか。まだ自分が恥ずかしいのはいいんですよ、「違うよ藤井くん」「すみません~」みたいな。でも大先輩が違うよって言われてるときとか、いたたまれないっていうかね、ひゃあってなりますね。

この前ね、赤ちゃんの役をやったんですよ。赤ちゃんのわけないですよ、でもこれも舞台の醍醐味じゃないですか。だから「赤ちゃん!」って思い込んで演じました。
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Profile

藤井 隆

1992年吉本新喜劇に入団。2000年に「ナンダカンダ」で歌手デビューし、年末の紅白歌合戦に初出場。最近の舞台出演に、『おとこたち』(岩井秀人演出)、『ゲゲゲの鬼太郎』(田村孝裕演出)、『広島ジャンゴ 2022』(蓬莱竜太演出)、こまつ座『雪やこんこん』(鵜山仁演出)、大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』(宮藤官九郎演出)、『大地(Social Distancing Version)』(三谷幸喜演出)などがある。12月に『ジャズ大名』(福原充則演出)、2024年に『カラカラ天気と五人の紳士』(加藤拓也演出) に出演予定。

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