自分の胸に届いた、ある日の言葉。FM802のDJ・板東さえかさんが、ラジオの向こう側にいるリスナーへ届けたいもの、伝えたいこと。


思い出の引き出しを開けられるような存在になりたい。昔は音楽が好きだったけど今はめっきり…になりがちな世代でも、ラジオDJならそこを思い出させることができる仕事だから。

いろんなエピソードを聞かせてもらいましたが、板東さんが実感するこの仕事の楽しさや、ラジオDJになって良かったなと思う瞬間のお話も伺えればと!

ずっと音楽が好きなままでいれて、趣味で終わらせずに仕事に生かせてるからこその難しさはありますが、毎日が楽しい。リリースが多い水曜日は出会い満載で、「音楽最高!!!」って毎週感じてます。いいものをいいと言えることが意味のある仕事ですし、いつの間にかいい部分を見つけるのが得意にもなりました。それって、めちゃ素敵なことだと思いませんか?他の仕事はできる気がしないけど、人に何かを伝える仕事って、いいなと。日々そう思いながら、音楽と向き合ってますね。

いい部分を見つけるのが得意になるって、マインド面でも絶対にプラスですよね。心もどんどんクリアになっていきそう。

そうかもしれませんね。あとは、「ばんちゃんがオススメしてて、好きになった!」とか、リスナーさんからの声が届くと、うれしいし励みにもなります。番組宛にメールをくれる人、DMをくれる人、普段は目に見えないことをしてるからこそ、リアクションがあると私の中に実感が生まれるし、ラジオDJになって良かったなって改めて思えるんです。それと「ばんちゃんでラジオが好きになった!」なんて言われると、まさに冥利に尽きるなと。これ以上に幸せな言葉はない気がしますね。

南森町のドーナツ屋さん『JUSTICE BROWN』。名物のドーナツを目掛けて、仕事中に買いに行くそう。

ラジオDJとして、最高の褒め言葉ですよね。言葉だけで何かを伝えるってすごく難しいですし、責任も伴うと思うんですが、板東さんがラジオに言葉を乗せる上で大切にしてることとは?

「私はこう思う。あなたはどう思う?」というスタンスを常に意識してますね。どんな言葉を使うかはケースバイケースですが、まずは自分が何を感じてるかをすごく考え、そこにしっくりフィットする言葉を探すようにしてるんです。自分の言葉が見つかった時は気持ちいいし、それが伝わると実感も生まれる。「あの言葉、わかる!」とか、スタッフさんから言われることもあるので、リスナーさんも含めて身近な人に届くことを心がけてますね。

なるほど!常に、今この瞬間の自分と向き合ってるんですね。

そのためにも、ちゃんとインプットできる自分の受け入れ態勢が大事!疲れてると入ってこなくなるので、コンディションを整えることも重要なんです。例えばライフワークでもあるライブを観ることで言えば、毎回すごく刺激的だから、自分の中の感動バケツがすぐに満杯になってしまう。あふれちゃうと次のことが受け止められなくなるので、「おもしろかったー!」とか、その時の気持ちを誰かにシェアするようにしてますね。

入ってくる情報が人よりも多いでしょうし、溜め込まずに自分から出すこともポイントなんですね。ラジオDJとして、本番前や日々の中でルーティン的にしてることって何かありますか?

ルーティンというか、本番前は声出しのために口をブルブル〜と振るわせるくらいで、特にはないですね。●●●しないとベストな状態にもっていけないと思い込んじゃうのがイヤで、いつでもフラットな状態が自分的にはベスト。唯一、デビューした『LNEM-エルネム-』から続けてることと言えば、本番中のスタジオでミラーボールを回してることかな。

へー、めちゃワクワクしそうな空間!

テンション上がるんですよねー。『LNEM-エルネム-』では新人DJがそれぞれのカラーを打ち出してて、私はキャンプが好きでそのイメージで選曲したりしてたので、飾りつけも大事だなと。当時はガーランドで装飾もしてましたけど、ミラーボールは今でもずっと回し続けてるんです。アーティストさんもテンション上がってくれますし、「暗くて光ってる空間が落ち着く」と言ってくれてます。

スタジオ内にキラキラと光るのは、ミラーボールによる板東さんのムードメイク。

アーティストさん的にも、ライブ空間のような雰囲気を感じてるのかもしれませんね。

ちょっと話が前後しちゃいますが、ラジオDJとしては空間づくりも大事にしてます。音楽も含めたムードメイクが、私のコンセプトでもあるんです。生放送の番組なので天気に合わせた選曲もしてますし、やっぱりリアルタイムの演出ができるのが理想。例えば、夕焼けがキレイな瞬間にシンクロするような曲が流れてきたら、感動もさらに深まるはず。リスナーさんの心にちょっとでも残ることが、ラジオという音声メディアでできればなといつも思ってます。

ムードメイク、めちゃいいですね。その時の状況とシンクロするような曲が流れてきたら、「うわっ!ヤバっ!」ってなると思いますし。

ムードメイカーはおもしろい人ってイメージですが、私はそんなにおもしろくないんでね(笑)。メイカーではないけど、メイクはできるかなって。

いいえ、十分にメイカーでもあると思いますけどね(笑)。ムードメイクの流れで聞きたいんですが、ラジオDJさんって毎回オープニングにいろんな話をするじゃないですか。やっぱり日々の小ネタは意識して見つけるようにしてるんですか?

先輩の方々はみんなすごいです。おもしろくてちゃんとオチもあるし、今でもオープニングトークは勉強になってますね。でも、同じようにはなれない。トークの進め方はスキルを磨けばなんとかなるかもですが、自分の視点は自分にしかないものなので、意識してネタを探そうとするよりも気になることを伝えた方が自分らしいのかなと。昔は毎日のネタ探しがライフワークな時もありましたけど、今は日々の暮らしのことを話したり、別に1ヶ月前の出来事でも「あ!そうそう、ちょっと思い出したんですけど」って感じで話したり。私の存在をリスナーさんが身近に感じてもらえることを大切にしてますね。

気取らないいつも等身大のばんちゃんをリスナーさんも求めてるだろうし、素敵やと思います。そんな板東さんがこれからチャレンジしたいことや、目指してる理想のラジオDJ像についても聞かせてもらえればと。

バイヤーですね!洋服が大好きだし、古着の買い付けをするのが密かな夢。めちゃ過酷だと思うけど、やってみたいなと。北堀江に『Born』というお店があるんですが、店主のアリサさんと話してる時に、「そう言えば私、バイヤーにもなりたかったんだ!」と思い出せて、機会があればアリサさんに付いて行きたいなって。今のお店は7月末で一旦閉店しちゃうそうですが、ポップアップやオンラインは続けながら次の展開も考えてるそうなので、1回ダメもとで聞いてみようと思ってます(笑)

いつもオシャレだなと思ってましたが、そんな夢も密かに抱いてたんですね!

自分でお店を出したいというイメージはないですが、ポップアップや委託でできると理想かも。アリサさんはかなり前からタイやカンボジアで買い付けされてて、今は世界中からアジアに古着が集まってる話を聞くと、いてもたってもいられなくて(笑)。いつか、いつかと思ってたらきっとできないだろうから、とりあえず年内目標で買い付けがしたい!いや、買い付けします!!

その時は僕らMARZELもぜひ協力させてもらえれば!さっきのネタ探しじゃないですが、板東さんの経験としてラジオDJの仕事にも生きてきそうだなと。

本業ではないですが、自分の人生で経験してみたいんです。やっぱり体験した人にしか喋れないことって、絶対ありますからね。

確かに。めちゃ楽しみです!!では、ラジオDJとしては?

今は毎週金曜日18〜20時の『Poppin’FLAG!!!』と毎週火曜日深夜24〜27時の『FLEEKLOUNGE』の2つの番組を担当させてもらってます。それぞれ時間帯は異なりますが、私の好きな音楽を2軸で発信できてて、リスナーさんに「聴いてもらえてるな」っていう実感もあるので、そんな時間をもっともっと増やせるように頑張ってきたいですね。これからの目標としては、同世代が働いてる時間帯の番組を担当すること。この目標は20代の後半から掲げてるから、ブレずに実現させたいと思ってます。世代の感覚ってすごく大事なので、「あの時聴いてたなー」「懐かしいなー」とか、思い出の引き出しを開けられるような存在になりたいんです。昔は音楽が好きだったけど今はめっきり…になりがちな世代ですが、ラジオDJはそこを思い出させることもできる仕事なのでね。

記憶の扉を開けるアシストができるって、まさにラジオDJならではですよね。

「久しぶりにライブ行きたくなった!」とか言われたら、マジで最高です。30代って仕事も家庭もバリバリ、主婦もバリバリな年代。そんな日常というか、ライフスタイルの一部に音楽やライブがあるといいなと。そのきっかけをラジオで作れたら本望です。同世代はもちろん、リスナーさんにいいインフォメーションが届けられるように自分のアンテナもどんどん張り巡らせて、リアルな情景や心情にフィットする音楽を届けていきたい!それが、今の自分の中にあるモードですね。


<板東さんのお気に入りのお店>

中崎町エリア
メンズライクなアイテムが多い古着屋『Orange』は、店主がカルチャー好きだから映画や音楽、ドラマなどの話も楽しみながら古着をチェックしてますね。誰かへのプレゼントを贈りたい時とかによく行くのは、セレクトショップ『WHY KNOT』。普通に喋りだけに行くこともちょくちょくです。

谷町6丁目エリア
エスプレッソベーグルバーの『CHAKRA』や、ホットドッグがおいしい『FAT DOG STAND』にも、ふらっと出没していろいろ喋ってますね。

ミナミエリア
ライブ終わりに一杯飲みによく行くのは、アメ村のクラフトビールのお店『iiie』。ここもマネージャーの儀間くんに会いに行ってる感じで、『THE MUSEN IN SHOCK』や『TASOGARE COFFEE STAND』、『FLAKE RECORDS』も同様に、どこも人に会いに行ってる感覚ですね。

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Profile

板東 さえか

1月30日生まれA型。大阪、堺出身。大阪芸術大学・放送学科アナウンスコース卒業後、DJオーディションを受け、2014年FM802『Ciao!MUSICA』『RADIO∞INFINITY』でアシスタントDJデビュー。同年10月スタートの『LNEM-エルネム-』でラジオDJとしてのキャリアをスタート。現在は、毎週金曜日の18〜20時の『Poppin’FLAG!!!』と毎週火曜日の深夜24〜27時の『FLEEKLOUNGE』を担当。読売テレビの『あすリート』のナレーターも務める。イベントMC/DJ、TVナレーション、コラム連載など、活動の幅を広げながらローカルの繋がりを大切にカルチャーを発信中。最近の趣味は、週1のパーソナルジムで自分を追い込む筋トレ。

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