広く、浅くのお付き合い。日替わり店主のカフェバー『週間マガリ』の小西亮さんは、どのクラスタにも属せない<はざまの人>。


味園ビルとかでやったら、いかにもサブカル&アングラな店になってしまうから、就活で1回降りただけの南森町に決めました。

お店は、最初からこの場所で始められたんですか?

ここですね。別に何か縁があったわけではなくて、普通に不動産屋で探しました。南森町なんて就活で一回降りただけでしたけど、物件が気に入って。
だいたい物件見るときって、1件目に変なところを見せて、2件目にいい物件を見せるじゃないですか。ここ、1件目だったんですよ。「一応見ます?入口もわかりにくいし、よくわからない物件ですよ」って案内されたんですけど、この広さが気に入って。天満で日替わり店長やっていた店が、10人も入るといっぱいで、広いところがいいなと思ってたんです。でも20人ぐらい入れる物件って家賃がすごく高いんですけど、ここは予算内だったので、すぐ決めました。

たしかに変わったつくりですよね。2階で、畳敷きで、奥に細長くて。

普通の飲食店はまあ入らないですよね。でもそれが良かったのかなと思います。この店を路面店でやるのも違うし、スナックビルでやるとハードルが上がるし。あんまり水商売っぽい感じにもしたくなかったので。こういうタイプの店は味園ビルとか裏なんばとかってなりがちですけど、そことは一線を画したいなと。あ、僕は味園ビル自体は好きですし、よく行きますけど(笑)。
ただ、この店をもし味園ビルとかでやってたら、いかにもサブカル&アングラの店になってしまうと思ったんです。僕はもうちょっと幅広い人に来てほしいなと思っていたので。

わかりにくい入口、入りにくい2階にある店舗。勇気を出して階段を上った先が『週間マガリ』。

そう考えると、南森町というのはいい場所だったんですね。

南森町は天神橋筋商店街や中之島公園もあるし、結果的にここでやってたから、幅広い客層にリーチすることができたんだと思います。

キタでもミナミでもなく、南森町って絶妙な気がしますね。お店の営業は、スタートから順調でしたか?

一緒に始めた相方が、半年ぐらいで辞めちゃったんですよ。編み物職人になりたいって。

え、いきなり大変じゃないですか。

いや、でも集客とかは困らなかったんです。僕あんまり友達がいないんですけど、知り合いが多くて。就活でも150社受ける間に、知り合いがどんどん増えるんです。当時はFacebookでつながってたんですけど、数友が1000人ぐらいいて。それと、大学時代もサークルに50個ぐらい入っていたので、とにかく知り合いだけは多かったんですね。その人たちが来てくれたので、最初から集客には苦労しなかったんです。

友達じゃなくて、知り合いが来てくれるんですか?

友達は来ないんですよ。友達はわざわざ店で会わなくても、ほかで会えるから。知り合いぐらいの距離感の人がわりと来てくれるんです。高校時代に1回しか喋ったことのない同級生が、いま常連になってくれてますし。数友が1000人いたおかげでスタートダッシュが切れたので、就活も無駄じゃなかったなと思ってます。

入口すぐのソファ席。畳敷きの店舗はもともと鍋屋さんだったらしく、天井のライトなどにその名残が。

たしかに、2年分の就活が報われましたね。「日替わり店長」というスタイルも、最初からですか?

最初からですね。自分だけでは勝負ができないのがわかっていたので。料理もできないし、おしゃべり上手でもないし、キャラが立っているわけでもないから、人まかせです。

「日替わり店長をやりたい!」という方は、すぐ集まりました?

協力してくれる人もいましたし、僕から声を掛けてお願いする場合もありました。でも、例えばイベントスペースとかだとしっかり企画を立てたり、誰かタレントや文化人を呼んだりしないといけない感じですけど、「面白い一般人」まで対象を広げると、やってくれる人はけっこうたくさんいるんですよ。

ゲストとかを呼んで「イベント」にしなくても、一般の人が自分の好きなテーマで、ゆるくやれる感じなんですね。

「探偵ナイトスクープ」みたいなイメージです。芸能人を出すんじゃなくて、素人の面白い人に出てもらうっていう。関西で目立ってるクリエイターさんみたいなご当地有名人って、「またこの人か」ってなりがちなんですよ。大阪って都会ですけど村社会的なところがあって、仲間以外のイベントにいかないカルチャーなんです。身内最強みたいな。だから、味園ビルとかロフトプラスワンとかの有名な箱で目立ってる人は絶対呼びません(笑)。そういうイベントは他でやってるから、うちの店ではやらなくていいかなと思って。

節操のない店と思われてるかもしれないですね、各分野の人から。Googleレビューにも書かれます、「サブカルの店としてマガリは中途半端」って。

『週間マガリ』は普通のカフェバーというより、小西さんが最初に意識されていたコミュニティスペースとしての役割も大きいと思います。その辺りは、今はどのように考えて運営されてますか?

コミュニティスペースに興味を持って始めたんですけど、今はそこを全面には出してないですね。コミュニティとか場づくりとかサードプレイスとか言っちゃうと、そこのクラスタの人ばかりになってしまうんですよ。かといってサブカル売りをすると味園化するという現象もあって。そこの調整が難しいですね。今は普通に飲食店っていうスタンスですかね。

たしかにマガリは、コミュニティスペースでもないし、サブカルに全振りでもない感じはします。

節操のない店と思われてるかもしれないですね、各分野の人から。Googleレビューにも書かれます、「サブカルの店としてマガリは中途半端」って。でも、サブカルの店だと思われたくないので、そのコメントは逆にありがたいです。

「マニアじゃなくてミーハー」と言う小西さんが集めたレトロ雑貨。何に反応するかで、だいたいの年代がわかるそう。

どこかに偏らないように、あくまで「飲食店」という立ち位置に?

そうですね。例えば、『meets』のような街の一軍みたいな人と、ロフトプラスワンとかに行くサブカルの人と、『ソトコト』的な場づくり系の人、それぞれ1人ずつ来てくれたらうれしいみたいな(笑)。この人たちはきっとお互い、普通では出会わないと思うんですよ。それがマガリに集まって、こんな人がいるんだ!ってなるところを目指してるので。

異文化交流的な(笑)

コミュニティスペース界隈では、いろんな人がつながってイノベーションが生まれるとかよく言うんですけど、でも外から見てると、結局同じジャンルの人同士でつながってるんですよ。出会ったきっかけのイベントに参加してる時点で、同じ属性やんって思うんです。本当の意味のイノベーションって、これは僕の勝手なイメージの話ですけど、ミーツとロフトプラスワンが交わることだと思うんですよ。

たしかに、それは見てみたい気がします。

街場のおしゃれな店のコの字カウンターを陣取ってるミーツ系の人と、ロフトプラスワンのカルト宗教ナイトとかに行ってる人が、わずかの確率で意気投合してイベントやりましょう!ってなったりするほうが、僕としては面白いんです。

実際にジャンルの違う人同士が集まると、どんな感じになるんですか?

ほぼ交わることなく終わることもあるし、たまに揉めたりもします。そのプロレスを見るのも好きなんです僕は。でも、ここはさすがに交わらせたらあかんなと思ったら、一部の人はカウンターに座ってもらって、いけそうな人たちはソファ席で交流してもらってみたいな感じにはします。

なるほど、この広さがあれば、ちゃんと棲み分けができそうですね。

最近は、店内のレトロ雑貨が目当てのカップルとか、家族連れも来られるんですよ。ブックカフェとして本を読みに来る人もいるし。そういうお客さんは交流を求めてないので、入口近くのソファ席で普通の飲食店として過ごしてもらったり。入口近くのソファ席はレトロフューチャーな喫茶店、真ん中はミーツ×ロフトプラスワン×ソトコトが交わるプロレス場、カウンターはマガリの常連客が内輪ノリみたいな(笑)

壁一面に収納された書籍は約2000冊。「周りがわいわいしてる中、ひたすら村上春樹を読んでいる方もいらっしゃいます」

交通整理の人みたいですね。

そうなんですよ、僕の職業はバーデンダーでも経営者でも、もちろんコミュニティデザイナーでもなくて、交通整理員だと思いますね。ややこしいジャンクションで事故が起こらないように誘導してるみたいな。

陽キャにも陰キャにもなれず、かと言ってぼっちにもなりきれない、そんな次元のはざまみたいな人間なんですよ。
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Profile

小西 亮

『週間マガリ』オーナー兼アルバイト。大阪府豊中市出身。甲南大学卒業。ゆらゆら帝国が大好きな文系サブカル男子でありながら、中高時代は水泳部に所属。2013年に24歳で、一日店長が日ごとに店を「間借り」するカフェバー『週間マガリ』を開業。

Shop Data

週間マガリ

「ヘンな出会いがきっとある」がコンセプト。1000職種の日替わりマスターが様々なテーマを持ち寄り、バーやカフェやイベントを開催。テーマに関係なく、通常の喫茶バーとしても楽しめる。

大阪市北区天神橋1丁目11−13 2階
水~金 19:00~24:00/土・日 17:00~24:00(月・火 定休)
入館料チャージ ¥500(茶菓子付き・本も読み放題)+別途ドリンク代
※フードのご用意はありません。

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