健康の話で盛り上がる、というのはおっさんの性である。鬼滅の刃よりもclubhouseよりも他のどんなヒットコンテンツよりも、我が肝臓のステータスの方が気になるのである。γ-GTPの値を育成ゲーのパラメータの如く気にしているのである。ある意味我々はポケモンと変わらないのだ。
とは言ってもまだ、私は30代としてはまだまだ下っ端の御身分なので、数値として気にするようなことはあるものの、自分でカラダの不調を感じることはなく、スクスクとワガママボディがサクセスストーリーを描いていた。
しかし、カラダとえんとつ町のプペルは絶好調の時ほど裏では事態がヤバい方に進んでいるもの、とはよく言ったものである。
先日、友人に
「肩、ヤバイよ」
と言われたのである。
私は、与田剛の肩よりはヤバくない自信があったので、「そんなに肩幅あるかな?」と返し、相手の口を噤ませようとしたのだが、そうではなく、肩こりの話だった。ちなみに私はどちらかというとなで肩なので、与田剛よりも三四郎相田に近い存在と思っていただいて構わない。
その友人に、「こんな肩固まってる奴見たことない」「このままだと10年以内に腕が上がらなくなるぞ」「まさか今泉佑唯より先に前田敦子が離婚するとは」「世も末」などと、かなり本気の心配をされてしまうことと相成ったわけである。
私は、肩こりを感じたことがほとんどない。これが良くないのだろうと思う。元々、どちらかといえば腰がたまに痛くなることがある為、将来は腰痛芸人としてひと花咲かせるしかないかと思っていた程であったため、肩への指摘は寝耳に水、いや、もはやこれは寝耳にミミズ状態であった。気持ちわりいな。
自覚症状は相変わらずないのだが、感受性がビンビンに豊かなので気になってしまい、人生初めての整体かマッサージにでも行ってみようと思い立った。
職場が近い友人に相談してみると、近くのお店によく行くとのことだったので、よっしゃ行ってみるべと調べてみると、なんとびっくり。結構なお値段である。抜きありか?
相場がワカランので実際には高いのかよくわからなかったのだが、まあいいやここに仕事終わり行ってみようか、となったのだが、連絡してみると予約いっぱいだという。予約しか勝たん。
仕方ないので他を当たることにする。大都会の大阪にはたくさんの整体・マッサージ店があるようで、すぐに代わりの店を見つけることができた。ネットで確認する限り、予約枠もまだ空いてるようである。根がのんきな私は、夕方になって行ける時間がわかったら予約しようと思った。ところどっこい。次にもう一度ネットを開いた頃にはもう当日の予約枠はペケペケペケ。放送禁止シリーズ第4話かよ。
悲しみに打ちひしがれる私。このままでは腕が上げられなくなり、誇張しすぎた野々村議員のモノマネができなくなってしまう。
そこで私は、駅ビルに行ってみる事にした。第一ビルは私の通勤の道からもさほど離れていない上に、マッサージ屋がウゾウゾと並び立っている。どこかひとつくらい空きはあるだろう。
我ながら見事な作戦である。勝算は運と勘。科学的見地から見ても、天才としか言いようがない。これでイケると思ってしまっているあたりが天才的にダメである。
皆さんの予想通り、全店舗門前払いである。なぜこんな事になるのか…科学の力を持ってしても予約ができない。これはもう裏で誰かが糸を引いて、私にマッサージを受けさせないようにしているとしか考えられない。まさか西野か?
その後、土曜日の予約に切り替えようとしても、家の近くの整体は全滅。
もうダメだ…俺は気持ちがレイムだからモノホン肩グニャプレイヤーになれねえんだ…俺は一生揉んでもらえずに非業の死を遂げるんだ…死後硬直でいつもより余計に固くなった肩をお届けするんだ…
もう!なんなんだよ!日本人!!整体行きすぎやろ!!!どんだけ疲れてんだ!!!
よく休め!!明日の君の肩が今日の肩より柔らかくありますように!!!カッチコチの僕より!!