ある寒い冬の夜のことである。

私はとあるカレー屋で一人呑んだくれていた。スパイスをアテに飲むビールは、私を下町のナポレオンに仕立て上げてくれる。

通常のカレー屋ではありえないほど酩酊してきた頃、一人の男が入ってきた。

妙な男であった。

このご時世、ロン毛の男なんてモテないにも関わらず髪を長く伸ばし、元・横浜ベイスターズの五十嵐をリスペクトしてか、口髭を蓄え、ジンとウォッカもびっくりな黒ずくめの出で立ち。

しかして時代は令和。人を見た目で判断してはならないことを私は知っていた。
だからこそ私は思ったのだ。

変なやつ来たな!!と

しかし私はナポレオンなのである。言うなればこのカウンター席の皇帝である。我が国に侵入したものは身元を確認する義務がある。
隣に座ったその男を、どれどれと面白半分でつついてみたら、意外といいやつで、すぐ仲良くなった。変なやつじゃないな、面白いやつだと思ったのだ。

それから年月が4年ほど流れただろうか。
今もその彼とは親交があるのだが、ひとつ分かったことがある。

あの時思った、「変なやつじゃない」という気持ち。

あれ、取り消したい。

やっぱ変なやつだった。いい意味で。

永遠にLINEが終わらないし、一切中身がない会話しかしないし、胡散臭いし。
あんまいい意味の例えが浮かばないけど気にしないで。

それにしても、たまたまカレー屋で出会って仲良くなり、たまたま私が引っ越した先が彼の家の目と鼻の先であり、転職先が彼の職場の近くであって…と、そうやってタマがタマタマと重なっていった結果、こんなところにこんな変な文章を書かせてもらえるようになった。
全く、人生は分からないものである。

私はもともと、奇天烈な文章を書く場所が欲しくて、ブログなりnoteなりでマッチポンプ的な活動(活動というのも申し訳ないほどにスローペースだったが)を続けていたのだが、まさかこんな形で人様から場所を与えていただけるとは思ってもいなかった。本当に感謝している。メガネのフレーム程度なら舐めてあげられると思っているくらいには感謝している。
これからも与えてもらうためなら革靴でもドブに落ちた飴玉でも辻利のパフェでも、なんでも舐めていく所存である。

これから少しずつ、私の赤裸々な私生活を切り取って皆さんにご覧いただくことになるので、私は遅かれ早かれ丸裸にされてしまう。そう思うだけでなんと表現したら良いか分からない謎の感情が湧き上がってくる。走馬灯かな。

まあそんなわけで死なない程度に頑張ります。

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じゅんぺい丸

ミナミを中心に四方八方で飲み散らかすいなせな男。しばしば長文のブログを書くが、生きていく上でまったく役に立たない事しか書かれていないことで有名。酒の隙を見てDJもしています。

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