「夢も希望もないスノードーム」を作るAto1snowさんが小さなドームに閉じ込めるのは、見てはいけない裏側の世界。
たくさんある人形を見ながら、このポーズの人形がこう切られたら面白いかもとか。

絵を描いたりとか、何か表現活動を以前からされていたんですか?
一切ないです。大学も普通の文系でしたし、一般企業で営業をしてました。
営業さんだったんですか!
意外と成績がよくて、ご褒美に海外とかも行かせてもらいました。人のものは売れるんですよね…。自分のものを売るのは苦手で。
絵や造形の勉強とかされてたのかなと思ったので、びっくりしました。
でもアートを見るのは好きでした。あと、父がとても器用な人で、自分で何でも作るんです。ファミコンの修理までしてしまうような人で、そんな父の姿をずっと近くで見てきました。ないものは作れと育てられたので、欲しいものがないときは、まず自分で作ってみるようになりました。
お父さんの手先の器用さと、ないものを作る精神を受け継いで。中のパーツなどは全部、一から作るんですか?
お人形だけはあるんですよ、ドイツ製の小さいのが。そのほかの情景部分は自分で作ります。素材はプラスチックや天然の石、あとガラスとか、水に影響を受けないものですね。

作りたいものってどういう時にひらめくんですか?
たくさんある人形を見ながら、このポーズの人形がこう切られたら面白いかもとか。あとは、直接作品にするわけではないですが、映画で気に入ったシーンとか、本を読んで気になった一節とかをメモしておいたりとか。展示会とかでお題が決まってると、いっぱい浮かぶんですよ。今までストックしてた引き出しがちょっとずつ開く感じで。
例えば、飛んでいきそうになるお母さんの魂を子どもがキャッチする「行かないで!」とか、こんなシチュエーションをどうやって思いつかれるのかなと思って。
自分でもよくわからないんですけど。魂のは、魂が抜けてる瞬間を作りたいっていうのがあって。でもただ抜けてるだけだと面白くないから、アイデアを寝かせてたんです。でもある日ふっと、それをキャッチしたら面白いかもと思って。誰にキャッチさせるかを考えたら、子どもになりました。

かわいかったです、手を伸ばして魂の尻尾をぎゅっとしてるのが。
でも戻せないんですけどね。
そこもちょっと切なくて良かったです(笑)。Ato1snowさんは今まで作家として活動されてきて、大変だったことってありますか?
特にないんです。スランプみたいなのはありますけど、そういう時はインプットの時期だと割り切って、本を読んだり、映画を見たりする時間にして。それで何週間かしたら、また作りたくなりますね。作り出したら止まらなくなるタイプなので、没頭できないときはやめます。

技術のレベルアップも実感されてますか?
器用にはなってきたかなと思います。最初はガチャガチャで出てきたフィギュアとかで作ってたこともあったので。その頃と比べたら、細かいところまで作り込むようにはなりました。誰も気づかないけど、窓のところはちゃんとガラスをはめてるみたいな。
どれくらいのペースで作っておられるんですか?
最近数えだしたんですけど、1年で100ちょいくらいですね。画家の人から、ペースが早すぎるってびっくりされました。今年に入ってナンバリングを始めて、管理している作品は今で800弱くらいです。
800!それだけ作っても、まだまだ作りたいものがあるっていうのもすごいと思います。
だいぶ悪いやつですね。やっぱり性格良くなってないかもしれない(笑)

Ato1snow(アトワンスノウ)
大分県別府市出身、堺市在住。実家は戦後から約70年続いた玩具店。大学進学を機に大阪へ移り、2013年からスノードーム制作を開始。クリスマスや観光地のモチーフにとどまらず、ある情景を切り取り、前後のストーリーを想像させる作品を手がける。従来のスノードームとは一線を画す作風で、コレクターからアート愛好家まで幅広く支持されている。